様々な会社組織の中で奮闘するZ世代の若手社員たち。人事担当者の目から見て彼・彼女らには、ビジネスパーソンとしてどんな課題があるのだろうか?
ラーニングエージェンシーおよびラーニングイノベーション総合研究所はこのほど、企業の人事部社員277人を対象に「人事部アンケート」を実施。回答結果にデータ分析を添えて発表した。
本調査では、企業の人事責任者・人事担当者277名に、人事部として注力して取り組みたい育成対象や、階層別に抱えている課題について実態調査を行った。その結果を、従業員数が300名以下の企業(以下、『300名以下』と記載)と、301名以上の企業(以下、『301名以上』と記載)に分けて分析した結果を紹介する。
人事部が注力して取り組みたい育成対象者「管理職・リーダー」が約6割。新任よりも既任の管理職の育成が課題
はじめに、人事部として、今後特に注力して取り組みたい育成対象について質問した。結果、300名以下では「既任管理職」「リーダー」「中堅社員全般」がほぼ互角で59%前後、次に「新任管理職」57.1%だった。特に、「中堅社員全般」は、301名以上と比べ11.4ポイントも高い結果となった。
301名以上では「既任管理職」が64.2%と最も高く、300名以下よりも約5ポイント高い結果に。次に「新任管理職」が61.1%となり、こちらも300名以下よりも4ポイント高くなった。
従業員規模に関わらず、「既任管理職」の育成に最も力を入れたいという実態が明らかとなった。(図1)
人事が感じる新入社員の課題、トップは「主体性・積極性」
ここからは、人事部が社員の育成に関してどのような課題を感じているか、階層別に見ていこう。
まずは、2022年度に入社した新入社員の知識・スキルや業務への姿勢について、どのようなことに課題を感じているか質問した。
結果、最も高い課題は「主体性・積極性」であることがわかった。300名以下・301名以上、どちらも最高値であったものの、301名以上では53.7%と300名以下よりも16.3ポイントも高くなった。
300名以下では、「報連相」が28.0%、「目的・目標の理解」が27.5%と続いた。
一方、301名以上では「メンタルタフネス」が43.2%、「目的・目標の理解」が31.6%と続きました。特に「メンタルタフネス」は300名以下より20.1ポイントも高い結果となった。(図2)
入社2~4年目の若手社員の課題、こちらも「主体性・積極性」が最多となり301名以上では7割超
次に、入社2~4年目の若手社員の知識・スキルや業務への姿勢について、どのようなことに課題を感じているか、質問をした。
結果、最も課題がある項目は、従業員規模に関わらず「主体性・積極性」であり、300名以下では57.7%と半数以上に、301名以上では更に高く、7割を超える結果となった。新入社員と同じ項目ではあるものの、数値が大きく、より求められていることが伺える。
300名以下では「目的・目標の理解」が36.3%、「改善策の立案・実行」が33.5%と続いた。
301名以上では「メンタルタフネス」が43.2%、「タスク管理・進捗管理」が37.9%と続き、300名以下よりもどちらも10ポイント程高い結果となった。また、「思考力」においても同じく301名以上が10ポイント程高くなり、従業員規模で差が出た項目だった。(図3)
管理職の課題、8割以上の人事が「部下育成力」と回答
最後に、管理職についての課題を見ていく。
結果、従業員規模に関わらず8割以上の人事が「部下育成力」を課題として捉えていることがわかった。その他、「ビジョン・方針・戦略の立案・浸透」「チームビルディング」も半数以上の人事が回答した。
新入社員、若手社員の課題においては、301名以上の結果の数値が300名以下を上回ることが多く、より課題感がある結果となったが、管理職に関しては逆の結果となり、300名以下が上回る項目が多くなった。特に、「交渉力・説得力」は300名以下が14.9ポイント高く、「主体性・積極性」は14ポイント高い結果だった。(図4)
出典元:ラーニングエージェンシー「人事の課題」実態調査(社員の育成編)
構成/こじへい