「セグメント」は一般的に「分割されたものの一部」を意味する言葉。しかし、ビジネスやIT、医療など幅広いシーンにおいて、ある特定の物事を表す専門用語として使用されることもある。
そこで本記事では、特にIT分野で使われる「セグメント」の意味を中心に解説する。自宅のネット環境にも関わる「セグメント分け」についても併せてチェックしてほしい。
セグメントとは
「セグメント」という言葉を見た時に、具体的にどのような意味を持つ言葉なのかイメージが湧かない方も少なくないはず。まずは、セグメントの意味と、IT用語としての使われ方を詳しく見ていこう。
さまざまな分野で使用される「セグメント」
セグメントは「区分」や「階層」などの意味を持つ英語。「分ける」という行動自体を指して「セグメント化」「セグメンテーション」などのように使われることも多い。
セグメントはさまざまな分野で使用される言葉だが、代表的な使われ方としてはマーケティングにおけるセグメントが挙げられる。市場分析をする際に用いられる用語で、さまざまな顧客を、属性や購買行動の特徴などの条件ごとに区分することを意味する。
また、デジタル放送業界では、電波の周波数の割り当て領域の単位としてセグメントを用いる。ちなみに、一時期話題となった移動端末放送サービス「ワンセグ」は「ワンセグメント」の略称だ。
IT分野のネットワークにおける「セグメント」とは
IT分野で使用されるセグメントには主に2つの意味がある。一つは、複数の機器から構成されたネットワークのこと。もう一つの意味は、大きなデータをパソコンで読み込む際にデータを分割する単位のことだ。いずれも大きなネットワークから細分化されたうちの1つを指すことをおさえておこう。
IT分野のセグメントを理解する上で役立つ「LAN」の意味とは
ネットワーク関連用語に「LAN(ラン)」という単語が存在する。「無線LAN」「有線LAN」などのように使われることが多いが、この「LAN」自体の意味を知っておくとセグメントも理解しやすくなる。
「LAN」は英語で「Local Area Network」と表記した3語の頭文字を取った言葉。同一の敷地や建物内など、限定された範囲内のネットワークを意味する。例えば、家庭で使用しているパソコンなどの集まりが一つのセグメントで、それらがLANネットワークを構成している構造になる。
セグメント分けとは?
IT業界では、ネットワークを分割したものの一つを指す言葉としてセグメントが使われるが、そもそも何のためにネットワークを分けるのだろうか。その目的を見ていこう。
セグメント分けを行う目的
IT用語では、セグメントを分割することを「セグメント分け」と呼ぶ。セグメント分けを行う目的には「ネットワークの混雑回避」と「セキュリティ対策」の主に2つがある。
ネットワークの混雑回避については、主にパソコンを多く使用する企業で懸念される通信速度の低下を防ぐのに役立つ。同じネットワークに多くの機器が接続されると、どうしても通信速度が落ちてしまう。そのような課題を解決するための一つの方法としてセグメント分けが有効だ。
また、ネットワークを分けることは、セキュリティ対策にも効果的。例えば、一台のパソコンがウィルスに感染してしまった場合、同じネットワークに接続している他のパソコンも被害を受けるケースが多い。しかし、セグメント分けをしていればウイルス感染リスクも最小限に抑えられる。
セグメント分けをするには
最後に、セグメント分けの方法を確認しておこう。基本的には、ルーターなどをネットワークの境界に設置することで、ネットワークを物理的に分けられる。
近年では、「VLAN」を活用してセグメント分けをするケースも増えている。VLANは「Virtual Local Area Network」の略語で、言葉の通り、物理的ではなく仮想的にネットワークを分ける技術を指す。
VLANは、パソコンの台数が多く、複数フロアにまたがって設置されている機器のネットワークを分ける場合に活用できる。設定方法は複雑であることから、少ない機器のみを使用する家庭で利用されることは珍しく、大企業などで取り入れられる場合がほとんどだ。家庭ではルーターを活用したセグメント分けに取り組もう。
※データは2023年2月中旬時点のもの。
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文/編集部