ハイブリッドとEVのいいとこ取りをした、新型プリウスのハイパフォーマンスモデル
すでに新型プリウスのハイブリッドZグレードを公道で試乗済みだが、1周目のEVモード走行で、すでに新型プリウスのハイパフォーマンスモデルであるということを強く実感。発進から加速状態に至るスムーズさ、パワフルさはハイブリッドモデルの比ではなく、しかもモーターだけの走行だから、当然、静か。制限速度は80km/hでお願いします・・・と念を押されていたものの、80km/hまではあっという間。静かでスムーズすぎて速度感がないため(サーキットトラックということもある)、気づくとアウトホイールメーターがうっかり80km/hを超えそうになっていたほどである。動力性能的にはズバリ、先代PHVを圧倒。もちろんハイブリッドモデルよりもはるかに速い印象だった。感覚的には2Lエンジンを積む200ps級のスポーツカー並みと言っていい。
乗り心地についてはサーキット路面なので、ここでは言及するべきではないが、ハイブリッドではFFより4WDのほうがよりしっとり重厚で、段差越えなどでのいなし方も上回っていたから、ハイブリッド4WDよりさらに車重が増しているであろうPHEVモデルの一般道の乗り心地は(タイヤサイズが同じことも含めて)、新型プリウスのベストと推測できる。
2周目はHVモードで走行した。EV/HVモードが自動的に切り替わるのだが、スタートしてもEV走行を粘り強く行う。そして先代と比較すれば、最新のTNGAプラットフォーム、195/50R19サイズのタイヤの採用もあって、曲がりの性能も格段にレベルアップ、というか、先代PHVとは別格のスポーティカーを思わせるリニアなステアリングレスポンス、曲がりやすさ、コーナーに飛び込んでいってもオン・ザ・レールに近い抜群の安定感を誇っていたのだから驚くしかない。また、エンジンがかかっても、速度にかかわらず、エンジンノイズはほとんど気にならないレベルにある。もちろん、EV走行中のあの静かさとは違うものの、不快なノイズとは無縁と言っていい。そう、新型プリウスのPHEVモデルは、ハイパフォーマンスにしてスポーティカーに匹敵するファンな走りをサーキットでも見せてくれたというわけだ。
新型プリウスはハイブリッドモデルでも相当に速く、走って楽しいファンなハイブリッドモデルに仕上がっているが、ハイブリッドとEVのいいとこ取りをした、新型プリウスのハイパフォーマンスモデルと呼んで間違いないPHEVモデルの進化幅の大きさ、商品力の高さにも大注目である。
なお、発売の順番とは逆になってしまうが、すでに公道試乗済みの新型プリウスのハイブリッドZグレードのFFと4WDの試乗記については、ちょっと気になったことがあったため、近々、別車両での再試乗を行ってから、改めて報告させていただきたい。
文/青山尚暉
写真/トヨタ・青山尚暉