ひとつの場所に何軒もの異なった業態の飲食店がつらなる、「横丁」スタイルの飲食店が増えている。一説には都内だけで20はあるといわれ、2022年にオープンした横丁だけでも、ざっと以下のとおり。
昭和の横丁は「自然発生型」、令和のネオ横丁は「開発型」
「小虎小路」
1月には、虎ノ門ヒルズの近くに、全国からエントリーした居酒屋の頂点を決める大会「居酒屋甲子園」参加店舗を中心に全10店舗の飲食店が軒を連ねる「小虎小路」がオープン。
「小虎小路」は、エントランスから「祭り」を軸とした懐かしさと賑やかさを感じさせる内装。
「新宿横丁」
同じく1月には、不動産事業を手掛けるテンワスが手掛ける「新宿横丁」がオープン。創業100年を越える「築地青空三代目」が新たに手掛けるすしスタンド「EDOMAE SS」、フランスの古典菓子であるファーブルトンを提供する店「KOBE FarBreton(ファーブルトン)」などが出店し、話題を集めている。
「浅草横町」
7月には株式会社スパイスワークスホールディングスが、台東区浅草の六区地区にある「東京楽天地浅草ビル」4階に、飲食と日本の祭りの殿堂「浅草横町」がオープン。
「浅草横丁」の飲食店は7店舗。着物で祭りが楽しめるように、横町内にレンタル着物屋さんもある。
「龍乃都飲食街~新宿東口横丁」
10月24日には、株式会社浜倉的商店製作所が、都内最大級となる全17店舗のエンタメ系飲食街が集まった「龍乃都飲食街~新宿東口横丁」をオープン。浜倉的商店製作所代表の浜倉好宣氏は、「恵比寿横丁」をはじめ全国のシャッター街などを再生し、新しいコミュニティの場として再生させるべくプロデュースを行ってきた“ネオ横丁の仕掛人”として有名だ。
「龍乃都飲食街~新宿東口横丁」外観。“龍乃都”とは深海の底にあると言われる竜宮城のある都のこと。外観は和の国の竜宮城を彷彿させる異次元の世界観をイメージしている。
「龍乃都飲食街~新宿東口横丁」地上階にはアジア5か国の専門店5店舗、地下にはクラブのようなDJブース、ミラーボール、大型ビジョンを囲んだ素材特化型専門店及び、地域特化型飲食店12店舗がある。
令和のネオ横丁が昔ながらの横丁と違うのは、本来の横丁は自然発生的なものだったが、ネオ横丁はディベロッパーによる「開発型」であること。また「横丁」といえば、古びた小さな個人店が連なる“おじさんのたまり場”というイメージが強いが、ネオ横丁はオシャレな空間と最先端のフードで若者が集うスタイル。高価格帯の名店がカジュアル業態で営業していたり、地方の名店が東京に進出するためのアンテナショップだったりと、価格帯は低めなのにクオリティが高くお得感が強いのも特徴だ。そのひとつに実際に行ってみた。