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わざわざ立ち寄りたくなる!?アートギャラリーのような公衆喫煙所が生まれた理由

2023.02.20

2020年に施行された改正健康増進法によって、屋内での喫煙場所が制限されたことから、オフィスビルや商業施設内に公共喫煙所の“ニーズ”が増えている

喫煙所といえば、灰皿の置かれた殺風景な空間を連想するが、まさに喫煙所革命とも呼ぶべきスペースが、東京・丸の内にオープンしたと聞いて、早速出かけてみることにした。

アートギャラリーのような公衆喫煙所が丸の内に現わる

場所はJR有楽町駅の国際フォーラム口を出て、飲食店が軒を連ねるJRの線路高架下を丸の内方面へ1、2分歩いた一角。高架下のアイコンであるレンガアーチのファサードが目印になっているが、ひと目では喫煙所とわからない何やら隠れ家的な雰囲気。しかも、鉄骨とコンクリートで作られた無機質な空間は、草木や鉄、江戸城にも使わる本小松石などの自然素材のテクスチャーをいかしてデザインされている。これがいい意味「変な喫煙所」として愛煙家の間でも話題になっている「THE TOBACCO 2:50.76」だ。

レンガのアーチが重厚なアートギャラリーと見紛いそうなファサード。中を覗き込み、喫煙者がいることを確認してから入店する人も少なくない。

「THE TOBACCO 2:50.76」の店舗内装。見上げればコンクリート造の天井と鉄骨が。中央には灰皿がオブジェのように配置され、周囲に座席も用意されている。

取材中に発見したBOSEのスピーカー。心地よい空間を創出するための音にもこだわっている。スピーカーの下には人の流れなどをモニタリングするAIカメラを設置。

「THE TOBACCO」ファンにはおなじみであるブランドのロゴ。各店舗ともこのマークが店を探す時の決め手だ。

「ネーミングディレクションはタレントの加藤浩次さんにお願いしました。“2:50.76秒”は、加藤さんが1本のたばこを吸ってる時間のアベレージに由来しています。超多忙な方なのでちょっと時間は短いかもしれませんが」。というのは、「喫煙のあり方をイノベーションする」をコンセプトに掲げる日本初の公衆喫煙所ブランド「THE TOBACCO」を運営し、2020年6月の1号店のオープンから、現在全14店舗の喫煙所を展開する「コソド」の代表・山下悟郎さんだ。

社会課題解決型事業として喫煙所運営をスタートアップ

「これまで、ネット広告の動画製作会社やペット系メディア会社などを起業してきましたが、ずっと社会課題解決型の会社をスタートアップしたいという思いがありました。いろいろ調べていくうちに、うちのような小規模なチームでもテコ入れができそうな身近な社会課題として、受動喫煙や吸い殻のポイ捨てなどが懸念される“喫煙問題”に取り組もうと、2019年に、喫煙所事業を軸とした『コソド』を設立しました」(山下さん)

株式会社コソド代表取締役CEO・山下 悟郎さん
関西大学卒業後、モバーシャル、MOVAAA、rakanu設立。2019年にコソドを設立。受動喫煙やポイ捨て問題などのある“たばこ”の社会問題に取り組んでいる。

喫煙所のイメージをくつがえす、このお洒落な空間デザインは、1号店を作る前に行った喫煙者を対象としたフィールド調査がヒントになっていると明かす。

「“理想的な喫煙所”をテーマに調査したところ、情緒面より機能面を挙げる方が多かったですね。例えば、煙くないとか、利用しやすい場所に立地している、女性でも入りやすい、清潔…。そこはまあ投資をすれば、フルスペックで対応できると思いました。例えば、どうすれば衣類にたばこのニオイが付着しないかという問題も、ニオイの有識者にヒアリングして“とにかく排煙率を高める”というアドバイスをもらい、パワフルな集塵機と排煙出力調整機能を導入して対応しています。ただ、わざわざ立ち寄りたくなる喫煙所とするには機能面だけじゃ弱い。そこで“どういうところでタバコ吸ってるのが理想ですか?”と聞いてみると、開放感がある、お洒落、といった空間の演出に紐づけされた意見を多くいただきました。私たちは使ってもらわないとポイ捨てによるゴミは減りませんから、“アウトドア”や“緑の中”など、機能のプラスアルファとして、店舗ごとにデザインコンセプトをたて、リピートしたくなる内装にこだわったスタイルを取り入れました」

ミニマルでモダンな雰囲気でありながらも、素材の温かみや細部のこだわりを感じることのできる空間をもつ「THE TOBACCO」神田店。

神田店と同時にオープンした「THE TOBACCO」赤坂店。

カフェのような佇まいの「THE TOBACCO」飯田橋店

豊島区とのコラボレーションから誕生した、グリーンを基調にした内装が特徴の「THE TOBACCO」池袋店。

この読みは当たり、利用者からは、「空間デザインがクールで居心地も抜群」、「喫煙時間が楽しい」という声が多数届いた。「『THE TOBACCO 2:50.76』は、これまでの設置経験と丸の内という立地を踏まえ、たばこ文化を感じさせる演出も最大限に活かしたデザインにしました」と山下さんは語る。

しかし、「THE TOBACCO」の利用料は無料。スタイリッシュで機能的な空間にすればするほどコストはかさんでいく。さらに立地場所は、銀座、丸の内、神田、秋葉原など家賃の高い場所なかり。どうやって儲けを生み出しているのだろうか。後編ではそのビジネスの裏側を取材した。

取材・文/安藤政弘 撮影/末安善之

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