2021年に発売され、SNSで大きな話題となった「ショートケーキ缶」。まるでショートケーキの断面をプリントして缶に貼り付けたかのような見た目が印象的だが、実際は缶が透明なため、中身が見えているのだ。
ブームから1年以上経った今、類似商品も出回っているが、「ショートケーキ缶」の元祖は札幌市と東京にリゾット専門店と夜パフェ専門店を構える株式会社GAKUだ(https://risotteria-gaku.net)。
今回は「ショートケーキ缶」の現状や今後の展開についてGAKUの取締役社長の小笠原典剛氏に話を聞いた。
ショートケーキ缶とは?
ショートケーキ缶 250ml 980円(税込)
現在は北海道、東京、大阪の自販機にて購入可能な「ショートケーキ缶」。値段はひとつ980円(税込)だ。GAKU公式サイトのオンラインショップでは、単体では買えないが、3つセットになったものを購入できる。
ショートケーキ缶のメリットとして大きなポイントは、まず自動販売機なので24時間購入できるということだ。ケーキ屋さんは閉店が早いイメージだが、自販機なら仕事帰りでも購入できる。
そしてGAKUの公式ホームページに「ケーキは崩れやすく、持ち運びしにくい。そんな『不』を取り除いたらケーキ缶が生まれました」との記載があるように、持ち運びしやすさもかなりのポイントだ。ケーキは見た目の美しさを楽しみたい商品でもありながら、とにかく崩れやすい。そんなケーキの難点を取り除き、見た目の可愛らしさもしっかりと保っているのが「ショートケーキ缶」と言えるのだ。
現在はショートケーキ缶以外にも、シフォンケーキの「ふわ缶」も販売中だ。ドット柄に盛り付けられたフルーツピューレが可愛らしい。
ふわ缶 250ml 800円(税込)
ブームから1年経った現状は?
発売すると同時にブームが起こった「ショートケーキ缶」。具体的にはどのような反響があったのだろうか?
「SNSなどでは、特に見た目の可愛さに反響がありました。また、『手土産にピッタリ』とか『蓋を開けるのが楽しかった』『見た目だけではなく味のバランスがいい』と言った声もありました」
ブームから1年経った現在、類似商品も登場している中、どのような変化があったのだろうか?また、今後、他との差別化などは考えているのだろうか?
「購買層の変化は特になく幅広い方にご購入頂いております。息子が誕生日に買ってきてくれたなどの投稿もありました。他との差別化は特に考えてなく、私たちが作りたいものを作ろうと思っています」
GAKUでは季節により過去さまざまなバリエーションのショートケーキ缶を商品を販売している。現在はバレンタイン缶を販売中、3月には桜缶などを予定している。
意匠登録と海外進出
GAKUの商品は、見た目の美しさと利便性を兼ねたデザインが大きな特徴だ。2022年度グッドデザイン賞も受賞しているGAKUは、「ショートケーキ缶」や「ふわ缶」の意匠登録を出している。具体的にどのような部分が意匠として保護されているか尋ねると「商品の見た目そのもの」とのことだ。つまり、デザインを模倣することは、意匠権を侵害することになる。
見た目の完成度に気を使う「ショートケーキ缶」や「ふわ缶」はすべて手作りされている。そのため現時点では1拠点につき1日最大500個程度の生産が限度だという。
「製造が難しいのですが、これからは製造の最適化を図り、多くの地域へ販売できるようにしたいです」
現在、GAKUのショートケーキ缶は海外にも進出しており、「今後もより多くの方に驚きと感動を提供していきたい」と話している。