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昨年6月から始まった米国の量的引き締め、計画未達でもインフレ抑制が期待できる理由

2023.02.09

三井住友DSアセットマネジメントはこのほど、同社チーフマーケットストラテジスト・市川雅浩氏がその時々の市場動向を解説する「市川レポート」の最新版として、「米量的引き締めの進捗状況を確認する」と題したレポートを発表した。レポートの概要は以下のとおり。

QT開始の6月および7月の有価証券残高の減少額は、計画を大きく下回る低調な結果となった

米連邦準備制度理事会(FRB)は2022年6月から、国債などの保有資産を減らす、いわゆる「量的引き締め(QT)」を進めている。縮小の上限額は、財務省証券と政府機関債、住宅ローン担保証券(MBS)の合計で、同年8月までが月475億ドル、9月以降は月950億ドルという計画になっている。

今回のレポートでは、QTが開始されてから7か月経過後の進捗状況を確認する。

QT開始後、毎月の保有有価証券(財務省証券、政府機関債、MBSの合計)の減少額と、計画比の進捗率を示したものが図表1だ。

これをみると、進捗率は6月が48.8%、7月は35.8%と、QTは低調なスタートとなったことがわかる。ただ、これは2022年11月16日付レポートで解説したとおり、インフレの影響とMBS取引の市場慣行で、残高の減少が抑制されたためだ。

ただそれはインフレなどの要因によるもので、その影響が低下した9月以降の進捗は改善しつつある

その後、8月の進捗率は68.2%に改善し、9月からは縮小の上限額が月950億ドルに倍増したが、9月は76.0%、10月は82.7%、11月は82.9%、12月は79.6%となった。

インフレが落ち着き、物価連動債の元本増加分としてバランスシートに計上される調整金が減ったことや、QT以前に再投資したMBSの金額が遅れてバランスシートに計上される度合いが低下したことが、進捗率の改善に貢献したとみられる。

2022年6月から12月までの7か月間でみた場合、保有有価証券残高は3,777億ドル減少したが、進捗率は72.3%と、計画より遅れている状況だ。

なお、2017年10月から開始された前回のQTでは、準備預金が急減し、短期金融市場に資金を出し渋る金融機関が増え、フェデラルファンド(FF)金利が急騰する場面もみられた。その結果、FRBは2019年9月にQTを終了し、翌月から短期国債の購入を再開した。

QTペースは計画未達もFF金利は安定推移、利上げ終了後もQT継続なら物価は抑制期待

足元のFF金利をみると、上限金利である「超過準備預金金利」と下限金利である「翌日物リバースレポ金利」の間で推移しており、上限金利を超えて急騰するような動きは確認されていない(図表2)。

前述のとおり、QT開始の2022年6月から12月までの7か月間、計画比の進捗率は7割強にとどまっているが、これが結果的には、FF金利の上昇を抑制する一因になっているとも考えられる。

市場では、利上げ終了の時期が意識されつつあるが、QTについては、FRBから終了などの政策変更の示唆はなく、市場でも予想されていない。

そのため、この先、仮に利上げが終了しても、QTはしばらく継続される可能性が高いと思われる。QT継続で、保有有価証券残高が、計画比7~8割のペースでも毎月着実に減少していけば、利上げ終了後も相応にインフレの抑制効果が期待される。

出典元:三井住友DSアセットマネジメント

構成/こじへい

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