■連載/石野純也のガチレビュー
5Gのサービス開始から、間もなく3年が経とうとしている。一方で、現在主流になっているのは、「NSA(ノンスタンドアローン)」と呼ばれる方式。5G単独で通信するのではなく、1世代前の4Gと組み合わせるのがNSAの特徴だ。4Gにアドオン(追加)する形で5Gの電波を利用する形で、売りの1つである高速通信は実現できるが、コアネットワークと呼ばれる通信を制御する装置が4Gに引きずられてしまうのが難点。低遅延やネットワークを用途ごとに区切るネットワークスライシングは、NSAだと実現できない。
これに対し、〝真の5G〟と呼ばれることがあるのが、「SA(スタンドアローン)」方式の5Gだ。こちらは、NSAとは異なり、通信が5G単独で行われる。コアネットワークにも専用の設備を用いるため、低遅延など、速度以外の特徴を引き出せるのもSAならではだ。また、6GHz以下の周波数であるSub-6と、28GHzなどのミリ波と呼ばれる周波数との組み合わせも可能。高速化も5G SAの利点と言える。
そんな5G SAのサービスが、2022年、コンシューマー向けに導入された。現状では、ドコモとソフトバンクがスマートフォンでの5G SAに対応している。当初は対応端末が少ないのがネックだったが、徐々にその数も増えてきた。では、5G SAの実力はどの程度のものなのか。ドコモのGalaxy Z Fold4を使って、東京都内のエリアでスピードなどをチェックしてきた。
ドコモの5G SAを契約し、その使い勝手や通信速度をチェックした
my docomoで簡単に契約可能、SIMカードの種類には要注意
ドコモの場合、5G SAは5Gプランのオプションという扱いになっている。契約している料金プランが5G用の「5Gギガホ プレミア」や「5Gギガライト」でも、それだけではSAとはならない。5G SAオプションの料金は550円。ただし、終了期間未定のキャンペーンとして、現在は無料で提供されている。5G SAオプションをつけても、対応基地局に接続しなければ、5G NSAや4Gでの接続になる。
手続きは、my docomoから行うのがもっとも簡単で手っ取り早い。my docomoアプリの場合、画面下部のタブで「お手続き」を選択し、「データ通信」をタップすると、中央部に「5G SA」が表示される。ここをタップして「お手続きする」というボタンを押すと、ブラウザが開くので、生体認証やネットワーク暗証番号で本人の認証をする。あとは、手順に沿って手続きをするだけだ。基本的には、ドコモが提供するほかのオプションサービスと手順は同じと考えていい。
契約は、my docomoアプリで行うと手っ取り早い。「お手続き」→「データ通信」→「5G SA」で項目が現われる
続きはWebで。対応端末を購入し、契約に紐づいている場合、その旨も表示される。この画面は、契約後のもの。解約も同じ画面で行える
ただし、注意点を2つご案内したい。1つが、SIMカードの種類だ。ドコモによると、5G SAの利用にはVer.6以上のSIMカードが必要になるという。現行のVer.7はグリーン、5G SAが対応するVer.6はライトブルーだが、ピンクやレッドのSIMカードを使用している場合、SIMカードの交換が必要になる。なお、Webサイトや利用規約にはeSIMへの言及が一切なかったが、今回、筆者はeSIMで5G SAを契約し、実際に通信を行っている。端末によってはeSIMチップの種類が違い、非対応になってしまう可能性もあるが、少なくともGalaxy Z Fold4のeSIMでは、5G SAを問題なく利用できた。
SIMカードがVer.6以上になっているかどうかを確認したい。色で判別することが可能だ
もう1つの注意点が、端末だ。ドコモは2022年8月にスマホ向けの5G SAを開始したが、対応モデルはその前後に発売された一部に限定される。基本的にはハイエンドモデルかWi-Fiルーターのみで、2021年以前のモデルでは利用できない。7機種のいずれかを持っている場合に限定される機能というわけだ。また、OSの状態が古いと対応機種でも5G SAが有効になっていないことがあるため、ソフトウエアアップデートも忘れずにかけておくようにしたい。契約を済ませてSIMカードと対応端末の準備が整ったら、あとは実際に使ってみるだけだ。
スマホの対応機種は、現在6機種。いずれもハイエンドモデルだ。Wi-Fiルーターにも1機種対応モデルがある