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現役歯科医に聞いたハズさない歯科医院の選び方

2023.02.04

『国民皆歯科健診』はコンビニより多い歯科医院を救うための制度?

今から10年ほど前になるだろうか。「年収300万円にも満たない歯科医師が増えている」「今は歯科医師でもワーキングプアになる時代」などショッキングな情報が各メディアを駆け巡った。ワーキングプアとは「働けど働けど我が暮らし楽にならず……」ということだ。

その後も「歯科医院はコンビニより多い」、「デンタルケアの意識が高まり、虫歯減少で歯科医院に行く患者は激減」(※1)、「医学部に行けなかった人が歯学部に行く」、「歯科医師国家試験を受けても3分の1が落ちる」(※2)、最近では「国民皆歯科健診(令和7年の導入を目指している)は、コンビニより多い歯科医院を救うためでは?」等々の噂がネット上を賑わせている。

実際、受診する側にとっては、そんなワーキングプアな歯科医にはかかりたくない、というのが本音だろう。不人気な歯科医=治療技術に劣る、というイメージがあるからだ。

※1)厚生労働省の調査によると、昭和62年に6歳だった子供が虫歯になる確率(乳歯・永久歯)は91%だったが、平成23年に6歳だった子供の虫歯率は42%。虫歯激減により、過剰になった歯科医師を減らすため、歯科医師国家試験の合格率を下げたといわれている。
※2)厚生労働省調査による歯科医師国家試験合格率の推移から抜粋すると、2003年 第96回=91.4%。2007年 第100回=74.2%。2022年 第115回=61.6%。ちなみに、2022年の医師国家試験合格率は91.7%。

米国では歯科医師は医科医師よりステイタスが高いという事実

このような状況は世界共通なのか、それとも日本特有の現象なのか。

ということで、日本とアメリカでの歯科医師の立ち位置を比較してみよう。

アメリカの企業評価サイト『Glassdoor(グラスドア)』(カリフォルニア発で企業の口コミや年収情報などを確認できる)が発表した『アメリカで最高の仕事トップ50』(2021年版)では、テック系の仕事が複数ランキングしている。トップ10内で唯一テック系でなかった職業は10位のDentist。つまり歯科医師だ。

アメリカは保険診療ではないから高収入なのはわかる。だが、医科の医師はトップ20にも入っていないのだから、歯科医師がどれほど人気の職業なのかがうかがえる。日本とは雲泥の差だといえよう。

日本では、狭き門となった歯科医師国家試験に合格しても、ワーキングプアになってしまうほど歯科医師は稼げない職業なのか? 

しかし、なかなか予約が取れない歯科医院が多いのも事実。真相はどっちなのだろう?

そこで、大阪府堺市に2022年7月に開院した、ココ歯科・矯正歯科‐川本歯科診療所‐ 副院長 川本祐輝先生に経営者としての視点から話を聞いた。

「コンビニより多い歯科医院」は都市伝説ではなかった!

--「歯科医院はコンビニより多い」と、よくいわれています。実際にそうなのでしょうか?

川本先生「これは私が大学生の頃からいわれていますね。しかし、我々歯科医師は気にしたことがない、というのが本音です。

具体的な数字としては、令和3年11月に厚生労働省が発表した歯科医院の数は、67,886施設。一方、令和4年1月でのコンビニ店舗数は55,956店です」

--やはり圧倒的に歯科医院のほうが多いですね!

川本先生「みなさん、そう思われますが、歯科医院って昔からあるじゃないですか。コンビニができるずっと前から。もし、コンビニが歯科医院と同じだけ歴史があれば『歯医者多いな』ってなりますが、そうではない。逆にコンビニが歯科医院に追いついていないだけなのです」

『国民皆歯科健診』は口腔ケアで全身の生活習慣病を予防するのが目的

--ということは、国民皆歯科健診は「コンビニより多い歯科医院を救う制度」という話は偽情報だったのですね。

川本先生「そうだと思います。それより国民皆歯科健診の導入で早期の口腔ケアが行われるようになれば、懸案である医療費の削減につながる可能性があります。

たとえば歯周病は以前から、糖尿病の合併症のひとつといわれてきました。さらに最近では、歯周病になると糖尿病が悪化する、という逆の関係も明らかになっています。

他にも動脈硬化(心筋梗塞、脳梗塞も含む)、メタボリックシンドローム、早産・低体重児出産などへの悪影響も報告されており、国民皆歯科健診で歯周病を予防することは全身の生活習慣病を予防することにつながる、というわけです」

--しかし、これだけ歯科医院が多ければ、患者さんの取り合いが起こるのでは?虫歯も減っているといいますし。

川本先生「じつは1人当たりの歯科医師の数は、欧米の先進国に比べると日本はまだ少ないのです。逆に、これからは歯科医師不足の時代になるといわれています。

それは、歯科医師のボリュームゾーン(※4)である50~60代が引退したときです」

※4)2020年 厚生労働省統計による歯科医師の年齢構成比:29歳以下=5.9%。30~39歳以下=17.3%。40~49歳以下=20.5%。50~59歳以下=22.8%。60~69歳以下=22.2%。70歳以上=11.3%。50~70歳以上を合わせると56.3%で、50歳以上が半数以上を占めている。

--でも、歯科医師に定年はありませんが?

川本先生「ありませんが、団塊世代(※5)の歯科医師は、診療していないことが多いのです。しかし歯科医院として登録されていたりするので、実際に診療している医院は67,886施設より少ないでしょう。

※5)日本で1947~1949年に生まれた約810万人を指す。

さらに、現在50~60代の歯科医師が高齢化により引退すると、歯科医師の数は激減すると考えられています」

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