ビジネスシーンで使用される横文字の多さに、頭を悩ませる方は少なくない。「エグゼクティブサマリー」も、ビジネス関連で用いられる言葉の一つだ。なんとなくの意味は知っているつもりでも、はっきりと意味を説明できない方もいるはずだ。
そこで本記事では、エグゼクティブサマリーの意味と目的を解説する。ぜひこの機会に正しい意味をチェックして欲しい。
エグゼクティブサマリーとは
エグゼクティブサマリーとは、事業計画書の概要をまとめたもののこと。まずは、言葉の意味とエグゼクティブサマリーを作成する目的を確認していこう。
意味は「事業計画書の要約」
エグゼクティブサマリーの意味をスムーズに理解するために、「エグゼクティブ」と「サマリー」の2語に分けて考えてみよう。
ビジネスシーンでカタカナ英語として使用されることの多い「エグゼクティブ」は、元々「実行力がある」という意味を持つ英単語だ。日本では、「エグゼクティブ」一語だけで役員や管理職など、企業の重役を指す。
「サマリー」は「要約」を意味する言葉で、幅広いシーンで使用される。ちなみに、業界によってはより限定的な意味で「サマリー」が用いられることもある。例えば、金融業界では「市場動向をまとめたもの」をサマリーと呼ぶ。
それぞれ幅広い意味を持つ言葉だが、2語を組み合わせて「エグゼクティブサマリー」とすることで「事業計画書の要約」を表す。
目的
エグゼクティブサマリーを作成する目的は、事業計画書の読み手となる投資家や決裁権を持つ重役の理解を助けることだ。
エグゼクティブサマリーは、事業計画書の導入部分として重要な役割を果たす。投資家や決裁者は、読む価値のある事業計画書かどうかを、エグゼクティブサマリーで判断するとも言われている。そのため、事業計画の概要を簡潔にまとめ、短時間で理解できるように仕上げる必要がある。スライドを作成する際には、1〜2ページ内にまとめるのが一般的だ。
エグゼクティブサマリーに含める基本内容
事業計画書の理解をサポートするためのエグゼクティブサマリー。効果的なエグゼクティブサマリーを作成するために、含めるべき基本内容を見ていこう。
目的
まずは、事業計画書を作成した目的を提示する必要がある。ここでは、読み手にどのような行動をして欲しいのかを明確に示す。投資家にいくら投資して欲しいのか、何に対しての承認が必要なのかなど、なるべく具体的に伝えよう。
事業名
エグゼクティブサマリーに記載する事業名は、印象的なものにすると良い。読み手が多くのビジネス文書を読むことを考えると、読み手の目に留まるような特徴的でわかりやすい事業名を付けるべきだろう。
事業概要
事業概要では、どのような事業を計画しているのかを示していく。必要な情報を簡潔に漏れなく伝えるため、以下の通り5W1Hを意識しながら作成すると良いだろう。
・誰のために(Who)
・何を(What)
・いつまでに(When)
・どこで(Where)
・何のために(Why)
・どのように(How)
ビジネスモデル
ビジネスモデルは事業で利益を生み出し、事業を継続する仕組みのこと。事業計画書では、ビジネスモデルキャンバスやバリューチェーンなどのフレームワークを使用して提示する。
ネットで検索すると、事業計画を作成する際に使えるフレームワークのテンプレートがたくさんヒットする。自分の事業にあわせたフレームワークを選んで活用しよう。
プラスアルファ要素(ニーズ・強み・市場など)
上で述べた4つの内容は必ず含めた上で、ニーズ・事業の強み・市場の状況など、読み手に特に訴求したいポイントを追加したい。事業フェーズにあわせて項目を選択しよう。
また、市場の状況は、環境分析をするためのフレームワークである「PEST分析」や「ファイブフォース分析」を活用するのが一般的。
エグゼクティブサマリー作成時のポイント
エグゼクティブサマリーを作成する際には、とにかく「簡潔さ」を重視したい。最後に、わかりやすくシンプルにエグゼクティブサマリーを作成するためのポイントを見ていこう。
必要な情報のみを簡潔に伝える
事業計画を伝えるとなると、ついつい多くのことを伝えたくなってしまいがちだ。しかし、エグゼクティブサマリーでは、目的を明確に伝えるためにも情報を絞り込む意識が重要となる。
図を使ってわかりやすくする
内容を一目で理解しやすくするために、図を活用するのもおすすめだ。特に、エグゼクティブサマリーに関するプレゼンをする場合は、視覚的にわかりやすいスライドを作成したい。
売上の実績を示す際はグラフを使用したり、ビジネスモデルには図式を活用したりと、効果的な見せ方を工夫してみよう。
事業段階で内容を変える
エグゼクティブサマリーを作成するフェーズは、事業の立ち上げ期と伸長期の大きく2つに分けられ、それぞれの段階で伝えたい内容が変わるだろう。
例えば、事業の立ち上げ期には、その事業の将来性を中心に伝えたい。投資するメリットやアクションプランなども重点的に示す必要がある。一方で、伸長期にはその時点までの活動実績を簡潔に伝えるのが良いだろう。
※データは2023年1月下旬時点のもの。
※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。