「とんずら」は、一昔前のドラマや映画でよく使われていた言葉の一つ。最近では、日常会話で見聞きする機会がめっきり減っているため、どのような意味を持つ言葉なのか知らない方もいるかもしれない。
そこで本記事では、とんずらの意味や使い方、類語表現などを紹介していく。
「とんずら」とは
「とんずら」は、面目を失いそのまま逃げること、義理を欠いた行為のことを指す言葉だ。「面倒なことや嫌なことを回避する」「サボる」などの意味で用いられることが多い。また、「トンズラ」と片仮名表記されることもある。
とんずらは、「遁走する」の「遁(とん)」と「ずらかる」の「ずら」が組み合わさってできた言葉。漢字「遁」は逃げることを意味し、「遁走」「遁世」「遁辞」といった熟語で使用される。また、「ずらかる」も逃げることを指す動詞だ。
逃げるという言葉を2つ組み合わせることで、「逃げる」という意味合いを強調している。
「とんずら」の使い方
「とんずら」の意味や成り立ちについて理解したら、次に言葉の使い方を見ていこう。使用シーンと例文をチェックして、ぜひ使いこなせるようにしてほしい。
使用シーン
とんずらは、面倒な事柄から逃げる様子を表す言葉。ドラマや映画の中では、犯人が犯行現場から立ち去るシーンで、セリフとして用いられる言い回しでもある。
具体的な使用シーンとしては、仲間内で義理を欠いたり面目を失ったりして逃げる場面や厄介な面倒事から逃げる場面、高価なものを持ち逃げする場面などを指して使われることが多い
例文
「とんずら」の使い方をシチュエーション別の例文とともにチェックしていこう。
1.面倒な事柄から逃げる場面
「職場の上司と馬が合わなかったため、最近始めた仕事をとんずらした」
「しわ寄せのような仕事がまわってきそうだったので、とんずらした」
2.仲間内で義理を欠いて逃げる場面
「あいつ、注意されると思ってとんずらしやがったな」
「友達だと思ったからお金を貸したのに、とんずらされたよ」
3.犯行現場から逃げる場面
「ここらへんでとんずらしようぜ、兄貴」
「とんずらしようとしたら、その場に弟がいた」
「とんずら」の類語・英語表現は?
ここからは「とんずら」と同様に「逃げる」という意味で使われる言葉や対義語、英語表現を確認しよう。
類語
ここでは、とんずらと似たような意味を持つ4つの類語を紹介したい。
1.出奔(しゅっぽん)
意味:逃げて行方をくらますこと。
例:先生に逆らって学校を出奔する。
2.逃避(とうひ)
意味:困難に直面した時に逃げたり、意識しないようにしたりして、それを避けること。
例:現実から逃避する。
3.回避(かいひ)
意味:物事を避けてぶつからないようにすること、不都合な状況にならないようにすること。
例:責任を回避する。
4.逃走(とうそう)
意味:逃げること、逃げ去ること。
例:犯行現場から逃走する。
5.逃亡(とうぼう)
意味: 逃げて身を隠すこと。
例:犯人が逃亡する。
対義語
無責任に自分の都合で物事から逃げる「とんずら」と反対の意味を持つ言葉が「立つ鳥跡を濁さず」。
去っていく者は、跡が見苦しくないように始末した後に出立しなくてはならないということを表し、引き際が潔く、爽やかな様子の例えとして使用されることわざだ。
その場から逃げてしまう見苦しい行為を表す「とんずら」の反対語としてふさわしい言葉と言えるだろう。
英語での表現
最後に、「とんずら」を英語で伝えたい時の表現をいくつかチェックしていこう。
1.take to the woods
意味:抜け出す、逃げる、逃げだす
例:I took to the woods.(私は逃げ出した。)
2.run away
意味:抜け出す、逃げる、逃げだす
例:She ran away from him.(彼女は彼から逃げ出した。)
3.escape
意味:場所から逃げる。
例:He escaped from the danger.(彼は危険から逃れた。)
文/編集部