「好きな食べものはなんですか?」
「いちばん好きなのはスシです。あとピザも好きです」
雑誌記事をつくるために児童にインタビューすると、こんな答えが返ってくることが十数年前から増えた。じつはこれ日本ではなくオーストラリアでの話だ。こう書くと「聞き手が日本人だから、子どもながらにリップサービスをしてくれているのだろう」と思われるかもしれない。
だがデイリーメール紙ウェブ版によると、レストラン予約サイトの「OpenTable」オーストラリア版が子どもたちに「好きな食べもの」を訪ねた調査(複数回答可)では、「寿司」が49%の得票率で見事第1位に選ばれているのだ(第2位はマカロン、第3位はつぶしたゆで卵をトーストに載せたもの※マヨネーズでは和えない、でいずれも得票率は38%。ちなみに和牛も25%で8位にランクインしている)。
2017年2月にアップされた記事という少し古いデータだが、逆に言えば6年も前からすでにスシが最も好まれる食べものだったのだ。
「正統派寿司」「創作寿司」、そして「中巻き寿司」
オーストラリアのスシは大きく分けて3種類ある。一つは日本料理店などで提供される日本のお寿司屋さんでも提供されるような「正統派の握りや細巻き」。
もう一つは回転寿司での「創作寿司」。チーズやマヨネーズ、照り焼きソースやスウィートチリソースをふんだんに使った品々だ。回転寿司では「正統派」も提供されるが、オーストラリア人客にはむしろ「創作寿司」のほうが人気だ。
創作寿司の一例の「炙りサーモン」。マヨネーズの海に肝心のサーモンが溺れている。
「サーモンボルケーノ(火山)」。こちらは溶岩に見立てた照り焼きソースの被害が甚大。
これらの「創作寿司」は「寿司」と思って食べると、その邪道さに頭を抱えたくなる。だが先入観をすべて取っ払って「異国の未知なる食べもの」と思いこんで口にすると、「まあこれはこれでありかな?」と感じられるようになる。
そして「オーストラリアの3種類の寿司」の3番目が、今回紹介したい「中巻き寿司」だ。