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「的を射る」や「的を得る」は、日常生活の中で頻繁に見聞きする慣用句の一つ。しかし、誤った使い方がされているケースも実は少なくない。
そこで本記事では「的を射る」と「的を得る」の違いや言葉の使い方、例文を紹介していく。この機会に大人のマナーとして正しい使い方を身に付けておこう。
「的を射る」?「的を得る」?言葉の意味と読み方、国語辞典での扱いをチェック
まずは、よく似た2つの慣用句「的を射る」と「的を得る」のそれぞれの意味を解説する。2つの言葉の違いを知って、正しい使い方ができるようにしよう。
「的を射る」の読みは「まとをいる」。物事や要点を的確に捉えることを意味する言葉
元々、的を射るは、上手く目標に当てる、物事の要点を的確に捉えることを指す言葉だったが、放った矢が的に的中する様子から転じて、「物事の核心を突くこと」を表す慣用句としても使用されるようになった。
「的を得る」の読みは「まとをえる」。もとは「的を射る」の誤用とする説が有力
「的を得る」は「的を射る」と同様、物事を的確に捉える様子を指す言葉として使われることが多い。しかし、的は本来、”手に入れる対象”ではなく”射る対象”だ。よって「的を得る」は「的を射る」の誤用から生まれた表現だとされている。
「的を射る」と「的を得る」は同じ意味の慣用句。日本語の表現としてどちらも使用可能
先述の通り、「的を得る」は「的を射る」の誤用表現とされてきた経緯がある。しかし、時代の流れとともに、口語表現として「的を得る」が広く使われるようになった背景から、近年では国語辞典に「的を得る」が掲載されている。
ただし、依然として新聞やテレビなどのメディアでは「的を射る」を正しい表現として採用している。ビジネスシーンや正式な場では「的を射る」を使うのが無難だろう。
「的を射る」の使い方や知っておくと便利な言い換え表現
「的を射る」は、その場にいる人全員が納得するほどの鋭い意見や的確な行動を称賛するために使われることが多い。
特にビジネスシーンでは、会議や打ち合わせで、相手の発言内容やアイディアに同意していること、相手の指摘や質問が物事の本質を捉えていることを伝えるために用いられる。
ここからは「的を射る」を使う際の注意点や例文、類語表現を順番に見ていこう。
「的を射る」を使う場合の注意点
「的を射る」は、相手の発言を上の立場から評価している印象を与える可能性がある。そのため、目上の相手には「的を射る」を使うのは控え、「おっしゃる通りでございます」などの敬語表現を使った方がいいだろう。
「的を射る」を使った例文
「的を射る」は「的を射た○○」という言い回しで使われることが多い。また、「的を射ない」と否定形にすることで、相手の指摘の焦点がずれていることを批判する際にも用いられる。
【的を射るの例文】
- 彼女は反発しているが、彼の意見は的を射ている。
- 的を射た発言に感銘を受けた。
- 社長の指摘は的を射たものだ。
- 的を射た解釈ではあるが、更なる議論の余地がありそうだ。
- 彼女の的を射ない言動を残念に思う。
「的を射る」の類語・言い換え表現
続いて、「的を射る」と似た意味を持つ2つの類語の意味を確認していこう。
「的を射る」の類語・言い換え表現1:正鵠を得る
「正鵠を得る」の読み方は「せいこくをえる」で、「正鵠を射る」「正鵠を失わず」などと表現されることもある。意味は、物事の急所を正確に突くこと。正鵠は的の中心を表し、的の中心を上手く捉える情景から現在の意味に繋がったとされている。
【例文】昨日の会議での彼女の発言は、正鵠を得たものだった。
「的を射る」の類語・言い換え表現2:核心を突く
「核心を突く」の読み方は「かくしんをつく」。「核心に触れる」と表す場合もある。物事の本質的な部分を指摘することを意味する言葉だ。
「核心」は物事の中心である大事なところ、「突く」は先の尖った物で一つの場所を勢いよく刺すことを表す。そのことから「核心を突く」は「鋭く指摘する」というニュアンスを含めて使用されることもある。
なお、「的を射る」と「核心を突く」を混同し「的を突く」という表現が使われることもあるが、これは誤用であるため注意が必要だ。
的を射るの英語表現
「的を射る」を英語で表現する時に使えるのが「hit the nail on the head」という慣用句だ。直訳すると「hit the nail」は「釘を打つ」、「on the head」は「釘の頭・釘の平らなところ」という意味になる。釘の頭に正確に金槌を当てる様子から、物事の要点を的確に捉えることを表すイディオムとして使用されるようになった。
ビジネスシーンで役に立つ慣用句は非常に多い。日常会話では使わなくても取引先との挨拶やメールなど社会人として知っておくと役に立つはずだ。
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文/編集部