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ウェアラブルデバイスの活用は突然死対策に有効か?

2023.01.30

 コロナ禍では、通勤通学や外出の機会が減ったことで運動不足になった人も多かったようだ。様々な制限がなくなり、運動を再開しようと考えている人にお勧めのツールが、手首に着けているだけで、歩数やランニングなどの様々なアクティビティ、睡眠、心拍などを記録でき、生活改善に役立てることができるスマートウォッチやスマートバンドだ。

 多くのスマートウォッチ・スマートバンドがある中で、心電図(ECG)をとれることで一段高い評価を得ているのがApple Watchだ。心電図といえば一般的に、健康診断などで行われる12誘導心電図のほか、24時間継続して測定できるホルター心電計、動悸などの自覚症状があったときに患者が自分の胸に当てて測れる携帯型心電計などを利用することで、とることができる。

 ただ、12誘導心電図は病院や人間ドックに行かなければならないし、ホルター心電計は小型ながらも装置を持ち運び、電極を24時間ずっと身体に装着していなくてはならず、日常生活が制限される。携帯型心電計は基本的に医師が患者に渡して使ってもらうものだ。

 一方、Apple Watchでは非常に簡単に心電図をとることができる。Apple Watchで心電図アプリを開き、腕を机や膝の上に。Apple Watchを着けている手とは反対の手の指でデジタルクラウンに触れ、30秒待つだけだ。約600人が参加した臨床試験で、Apple Watchの心電図アプリは心房細動の分類で98.3パーセントの感度、洞調律の分類で99.6パーセントの特異度(陰性のものを正しく陰性と判定する確率)を示したという。

 また、記録や注意が必要な症状は、iPhoneの「ヘルスケア」アプリに保存される。それらをPDF形式で取り出し、医師と共有することができる。

Apple Watchのデジタルクラウンに指を当てて簡単に心電図をとることができる。

心電図はiPhoneの「ヘルスケア」アプリに保存され、PDFにして医師と共有することもできる。

Apple WatchでとれるECGの仕組み

 Apple Watchでは、「家庭用心電計プログラム」(Appleの心電図アプリケーション)と「家庭用心拍数モニタプログラム」(Appleの不規則な心拍の通知プログラム)が医療機器としての承認を得ている。ウォッチそのものではなく、アプリやプログラムが承認された形だ。

 Apple Watch Series 4以降とUltraには、デジタルクラウンと本体背面に電極が内蔵されていて、心拍数アプリや心電図アプリと連携して心臓の電気信号を測定できる。デジタルクラウンに指を当てると、心臓から両手を通る回路が閉じ、胸に流れる電子パルスが記録されるのだという。

 心電図アプリは電気信号をとらえて心拍数を把握し、心臓の心房と心室が規則的に動いているかどうかを調べる。記録が終わると、心電図アプリに「洞調律」「心房細動」「高心拍数」「低心拍数」「判定不能」のいずれかが表示される。

 洞調律は心房と心室の拍動のリズムが揃っている状態。この時点ではとりあえず異常は認められないという結果だ。一方、心房細動は心臓が不規則なパターンで拍動していることを意味し、この結果が出て、これまでに心房細動と診断されたことがない場合は医師の診察を受けるように勧められる。なお、洞調律という結果が出た場合でも、あくまでそのときの記録がそうなっているだけで、健康であるという意味ではない。体調が悪かったり何らかの自覚症状があったりする場合は医師の診察を受けるように案内されている。

 また、Apple Watchには、内蔵の光学式心拍センサーを利用して不規則な心拍を通知する機能も備えている。心房細動の兆候がないかバックグラウンドで心拍リズムを時折チェックし、不規則な心拍リズムが検出されるとユーザーに通知する。

いつでも調べられるが自己判断は禁物

 手軽に心電図をチェックできるApple Watchだが、認識しておくべきなのは、心電図アプリや不規則な心拍を通知する機能の結果は参考指標であり、医師の診断にかわるものではないということだ。Appleの心電図アプリが日本で使えるようになった際に厚生労働省が各都道府県の衛生主幹部に宛てた通知には、一般ユーザーに対しても、結果を見て自分で医学的な判断をしないこと、心房細動の結果が出た場合は専門の医師に相談することなど、注意点が記載されている。

厚生労働省が各都道府県の衛生主幹部に宛てた通知。心房細動の結果が出た場合は医師に相談すること、結果を自己解釈して、医師の診断なしに服薬の変更や中止を行わないことなど、一般ユーザーに向けた注意点も記載されている。

 Apple Watchを身につけてさえいれば、いつでもどこでも心電図をとることができ、心房細動の兆候となるような不規則な心拍があれば通知される。自覚症状がない場合でも、脳梗塞を招く恐れのある心房細動の兆候を早期発見できる可能性がある。心臓の病気に対しApple Watchが万全というわけでは決してないが、非常に有益なツールであることは間違いない。

 現時点(2023年1月下旬)では、心電図がとれるスマートウォッチ・スマートバンドのアプリで医療機器としての承認を得ているものはApple Watch以外にない。Googleの「Pixel Watch」や一部の「Galaxy Watch」など、ハードウェアとしては同様の機能を搭載している製品があり、今後はこちらの承認も期待したいところだ。

取材・文/房野麻子

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