オフィスはインターナショナル!
このような背景から、マレーシアのオフィスでは様々な国をルーツに持つ人たちが働いています。先述の主要3民族の他、欧米人や日本人を含めた東アジアなど。
ですから、他の民族との習慣の違いに人々が慣れています。近隣諸国の一つの民族が人口の大半を占めるタイやベトナムと比べると外国人にとっては仕事が楽。筆者もマレーシアに取材へ出かけると、アポ取りなどがとてもスムースなのを感じます。
異文化がルーツの人間同士で、うまくやっていくコツは何なのでしょうか?
同僚とのランチやディナーの行く先も配慮
宗教に関する話は基本しません。もし、それが話題になれば、対立することになるのは目に見えているからです。
「それぞれが信じる神がいるのだ、私は私、あなたはあなた、という感じで生活をしていますね」とクアラルンプール在住邦人の友人A君。
宗教で欠かせない祈り。そのための時間は神聖なる物ですから、業務より上にあります。
「正直、仕事の最中に祈祷の時間が来ると、“また離席かよ~”とか感じたりもしますが、いや、文化習慣の差だと自分に言い聞かせています」
マレーシアはグルメ天国です。多民族国家ならではで、マレー料理・中華料理・インド料理はもちろん、日本や他のアジアや欧米各国の料理が楽しめます。
ちなみに、マレー料理の特徴は油っぽくスパイシー。また、イスラム教の戒律で豚は使いません。主として使われる材料は鶏肉や羊肉です。
ビジネスパーソンにとってランチはエネルギー補給や憩いなどのための大切な時間。しかし、ここでも会食には気を使う必要があります。宗教が違えば食べるものが違うからです。
「マレー系の人は豚肉がNG。インド系の人は牛肉を食べない人やベジタリアンもいます。なので、お互い気遣いながら食事の場所を決めます。時間がなくて面倒な時はフードコート(笑)。各国料理の店がありまから、各々で好きな物を選んで一緒のテーブルで食べられます」
世界には様々な文化習慣や宗教があるので、それを忘れずに尊重することで交流がスムースにいくようです。
梅本昌男(海外書き人クラブ会員) フリーライター。タイや東南アジア諸国の記事をJAL機内誌などの媒体に書く。単行本『タイとビジネスをするための鉄則55(アルク)』。NHKラジオへの出演や写真ACのモデルの仕事なども行っている。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員