インバウンド観光客がまた増えてきて、海外の人と接する機会が多くなっていると思います。日本とは違う文化を持つ人たちの交流、どうすればうまくいくでしょうか?東南アジアに位置するマレーシアにそのヒントがありました。
多民族文化国家であるマレーシア
マレーシアは移民が多いことからマルチカルチャリズム(多民族文化)国家を名乗っています。人口のメインとなるのはマレー系(約65%)、中国系(約24%)、インド系(約8%)の3民族。
そのため街にはいろいろな言語が満ち溢れています。駅のキオスクにマレー語、中国語、タミール語、英語の新聞や雑誌が並び、テレビでも各言語の専門チャンネルがあります。
公用語はマレー語ですが、共通言語として英語が日常的に使用されています。最近では、英語留学先としても人気で多くの英語学校があります。留学コストが安く、学生ビザも取得し易いからです。日本を含めた東アジア諸国、またマレーシアと同じイスラム圏であることから中東諸国からの留学生も多いとか。
1年に4回の正月
街のシンボルで高さ452メートルのペトロナス・ツイン・タワー。
多民族が暮らしていることから、それぞれの大事な祝日を祝うことになり、マレーシアでは1年に4回の“正月”があって公休日に制定されています。
まずは1月1日。マレーシア一番の高層ビル、ペトロナス・ツイン・タワーの前にあるKLCC公園でカウントダウンの花火が打ち上げられ、盛大に新年が祝われます。
そして中華系住民が祝う旧正月(今年は1月22~23日)。チャイナタウンなど中華系人口が多い場所は祝いの装飾で一杯になり、爆竹が慣らされ、中国獅子舞が練り歩きます。
ラマダン明け、人々に食べ物を振る舞う料理を作る。©マレーシア政府観光局
マレー系住民のほぼ全てに相当するイスラム教徒にとって大切なラマダン(断食月)。1か月もの間、日の出から日没まで食べることができません。
その苦しいラマダンが明けたことを祝うハリラヤ(今年は4月22~23日)が彼らにとっての正月に相当します。イスラム圏であるマレーシアでは最も大事な休日期間になり、企業や公的期間は業務停止、人々はそれぞれの田舎に帰って家族や親戚とお祝いをします。
ディパバリに欠かせない「コラム」と呼ばれる装飾。©マレーシア政府観光局
そして、インド系住民が祝うディパバリ(今年は11月12日)です。”光のフェスティバル”とも呼ばれ、イルミネーションやキャンドルを灯してヒンドゥー教の豊穣の女神であるラクシュミーを称えます。この祭りには花や砂、色付けした米を使って床に文様を描く「コラム」と呼ばれる装飾も欠かせません。