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「匿顔」ってどんな顔?覚えておきたい言葉の意味と語源

2023.02.24

コロナ禍で日常的にマスクをするようになり、いわゆる『匿顔』が目立つようになりました。『匿名』ならぬ『匿顔』の由来や、メリットとデメリットを解説します。日頃、マスクをするのが当たり前になっている人は、顔を隠す影響について考えてみましょう。

コロナで目立ち始めた「匿顔」とは?

インターネットが日常的に使われるようになった現代では、互いの顔を合わせず、オンラインでコミュニケーションをするのも一般的になっています。

さらに新型コロナウイルスの影響により、日常的にマスクをする機会が増えたことで、いわゆる『匿顔』が目立つようになりました。『匿名』ならぬ『匿顔』とは、一体どういう意味なのでしょうか?

「匿顔」の由来は?

『匿顔(とくがん)』は『匿名(名前を隠すこと)』を顔に当てはめた表現で、顔を隠してコミュニケーションをする様子を表した言葉です。東京大学名誉教授の原島博氏が命名したもので、もともとは相手の顔が見えない、インターネット社会のコミュニケーションを表した言葉でした。

かつては相手と顔と顔を合わせて信頼関係を築くのが当然でしたが、今はインターネットの定着により、オンラインでのコミュニケーションが成立するようになりました。現代では相手の顔が見えない『匿顔』の状態でも、気にすることなくコミュニケーションを取っている人が多いといえるでしょう。

マスク着用の一般化で「匿顔」が増加?

インターネットの定着で『匿顔』が一般的になったのに加えて、ここ数年は新型コロナウイルスの影響により、日常的にマスクをする機会が増えています。

世界のさまざまな国・地域でロックダウンが起こっていた2020年頃は、世界的にマスクの着用が当たり前になっていましたが、日本ではその後もマスク着用が推奨されているため、着用を続ける人が多いという特徴があります。インターネットにおける匿顔の世界に加えて、現実世界においても、マスクで顔を隠して他者と接する機会が増えたわけです。

これによって、従来とは異なる文脈で『匿顔』が語られるようになりました。マスクで顔を隠した状態でのコミュニケーションについても、さまざまな見地から意見が飛び交うようになったのです。

ファッションとしてもマスクが流行

コロナ禍で仕方なくマスクをしていた人も多い一方で、『すっぴん隠し』やファッションの一環として、マスクをうまく活用する人も増えてきました。日常生活の一部としてマスクを許容する人が増えたことで、意識的にせよ無意識的にせよ、多くの人に『匿顔』が受け入れられている面があります。

さらにマスクをした『匿顔』を生かして、動画投稿サイトにユニークなコンテンツを投稿する人が出てきたり、芸能人の変装の影響もあって、若者を中心に『だてマスク』を着用する人が増えたりするなど、マスクに関するさまざまな現象が確認できます。

「匿顔」のメリットやデメリット

タイピングする手元

(出典) photo-ac.com

『匿顔』は人によって捉え方が異なり、メリットを感じることが多い人がいる一方で、デメリットを感じる人も少なくありません。さまざまな意見がある中で、多くの人が考える『匿顔』のメリット・デメリットを挙げてみましょう。

周りを気にせず発言できる

インターネット上では個人情報を隠して匿名で発言する人が多いように、はっきりと自分の顔や名前を出して何かを主張するのに、抵抗がある人は少なくありません。

現実世界においても、マスクをすることで顔の一部が隠れるため、匿名のような安心感を持って行動できると感じる人は少なくありません。顔を全面的に晒さずに済むので、周りを過度に気にせず、自信を持ってコミュニケーションが取れると考える人もいるわけです。

コミュニケーションが希薄化する懸念がある

マスクを着用してのコミュニケーションを気にしない人も多くいますが、相手の表情がよく見えない状況でのやり取りに、何となく『壁』のようなものを感じてしまう人も少なくありません。相手としっかり顔を合わせてコミュニケーションをしたい人にとっては、マスクによる『匿顔』は歓迎すべきことではないでしょう。

また『匿顔』が一般的になると、コミュニケーションそのものが希薄化するのではないかと、懸念を抱く人もいます。相手の表情を確認しづらいため、感情を正確に読み取るのが困難になり、適切なコミュニケーションが取れないのではないかと考えてしまうためです。

他者に顔を覚えてもらえないケースもある

一般社会でマスクが当たり前になり、他者と接する際に着用する機会が増えると、相手になかなか自分の顔を覚えてもらえないという事態が起こりかねません。実際に、日常的にマスクを着用して授業を受ける学生の間では、クラスメイトの顔をよく知らない人が増えているという声もあります。

特に入学以来、学校でのマスク着用が義務化されている時期を経験した子どもは、マスク越し以外で友だちの顔を見る機会がほとんどない可能性もあります。そのような関係性を築くことは、人によっては寂しく感じることもあるでしょう。

「匿顔」で人との関わり方はどう変わる?

マスクをしている女性

(出典) photo-ac.com

インターネット経由での顔の見えないコミュニケーションに加えて、現実世界においてもマスクを着用してのやり取りが一般化することにより、社会はどのように変化するのでしょうか?

マスクなしに抵抗を感じる人が出る可能性も

『匿顔』が一般化することで、上記のようにコミュニケーションがしづらいと感じる人もいれば、素顔を全て晒さずに済むので堂々と発言できると考える人もいます。結局のところ『匿顔』をどう考えるかは、その人次第といえるでしょう。

しかし、マスクの着用によって相手の表情が読み取りづらくなるため、適度な距離感でコミュニケーションを取るのが難しい社会になるかもしれません。また、マスクで顔を隠すことに慣れてしまい、手放せなくなる人が出る可能性もあります。

『匿顔』が今後の社会にどのような影響をもたらすのか予測するのは困難ですが、相手の目線や言葉遣いなど、表情以外の情報から相手の感情をうまく読み取れるようになれば、コミュニケーション巧者になれることでしょう。

構成/編集部

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