消費税は、負担する人と納税する人が異なる間接税の一つ。商品の購入やサービスの利用などに課税され、消費者が支払い、事業者が納付します。個人で事業を営んでいると、消費税の納税について疑問に思うことがあるかもしれません。そこでこの記事では、消費税を納税すべき人の条件や納税の方法などをご紹介します。
目次
消費税の納税義務者とは? 対象となるのはこんな人
個人事業者や、課税資産の譲渡等を行う法人は、消費税の納税義務者に当たります。
基準期間(個人事業者は前々年、法人は前々事業年度)における課税売上高(消費税の課税対象となる売上高)が1000万円を超えたら、課税事業者(消費税の納税義務がある事業者)として納税しなければなりません。
基準期間の課税売上高が1000万円以下であっても、特定期間における課税売上高などが1000万円を超えると納税の義務が生じます。特定期間とは、個人事業者は前年の1月1日から6月30日までの期間、法人は前事業年度開始の日以後6か月の期間です。
【参考】所得税、住民税、国民健康保険税、個人事業税…フリーランスになったら定期的に支払うべき税金は?
消費税の納税義務者でなくなった時はどうすればいい?
基準期間における課税売上高と特定期間の課税売上高などが1000万円以下になると、免税事業者となり納税義務が免除されます。これまで課税事業者だった事業者が免除を受けるためには「消費税の納税義務者でなくなった旨の届出書」の提出が必要です。
「消費税の納税義務者でなくなった旨の届出書」の入手方法
「消費税の納税義務者でなくなった旨の届出書」は、国税庁のWebサイトよりPDFファイルをダウンロードできます。必要事項を記入したら、納税地を所轄する税務署長に提出しましょう。全国の税務署の所在地は、国税庁のホームページから調べられます。
消費税の納税時期はいつ?
消費税の納税期限は、次の通りです。
個人事業者:翌年3月31日まで(振替納税は翌年4月中旬~下旬に引き落とし)
法人:事業年度終了日の翌日から2か月以内
期限内に納付できない時は消費税の納税猶予が受けられる?
消費税を期限内に納付しないと、納付するまでの日数に応じて延滞税が発生します。しかし、資金繰りの悪化など一時的に納付できない理由がある場合は、税務署に納税猶予の申請をしましょう。一定の条件を満たしていれば、原則として最大1年間納付の猶予が認められ、猶予期間中の延滞税が軽減または免除されます。
【参考】国税庁|納税の猶予
クレジットカードもOK? 消費税の納税方法
消費税は、以下の方法で納付できます。
金融機関からの振替納税
あらかじめ納税の期限までに指定の金融機関に口座振替の依頼書を提出すれば、自動引き落としされます。
電子納税(e-Tax)
事前にe-Taxの開始届出書の提出など手続きが必要です。
クレジットカード
「国税クレジットカードお支払サイト」から納付できます。
コンビニ
国税庁のWebサイトから納付に必要な情報をQRコードとして作成し印刷すれば、コンビニでも納付できます。利用可能額は30万円以下です。
窓口での現金納付
現金に納付書を添えて、金融機関(日本銀行歳入代理店)または税務署の窓口で納付します。
【参考】国税クレジットカードお支払サイト
消費税の納税額計算方法は、国税庁のサイトで確認を
納税額は売り上げと一緒に預かった消費税から仕入れなどで支払った消費税を差し引いた金額です。申告の際には、標準税率10%の場合は国税7.8%と地方税2.2%を、軽減税率8%の場合は国税6.24%と地方税1.76%を区分して算出する必要があります。詳しくは国税庁の「納付税額の計算」をご覧ください。
【参考】国税庁|納付税額の計算
消費税の納税計算シミュレーション
実際にいくら納税する必要があるのか、例として標準税率10%の場合で紹介します。
まずは、売り上げの際に預かった消費税と仕入れなどで支払った消費税の金額を算出しましょう。
たとえば、売上金額が2000万円(消費税込みで2200万円)だった場合、預かった消費税は「2000万円×10%=200万円」です。
仕入れ金額は1500万円(消費税込みで1650万円)とすると、消費税は「1500万円×10%=150万円」なので、「200万円-150万円=50万円」が納税金額になります。
ただし、申告の際には前述したとおり、国税と地方税を別々に算出する必要があり、軽減税率などにより異なりますので、あくまで参考程度としておくとよいでしょう。
消費税の納税証明書を入手するには?
消費税の納税証明書は、オンラインまたは書面で請求できます。オンラインは370円、書面は400円の手数料がかかります。
オンラインでは、パソコンは「e-Taxソフト(WeB版)」から、スマートフォンは「e-Taxソフト(SP版)」から請求してください。
書面での請求は、税務署窓口または郵送でできます。請求の際に必要なものなどは、国税庁のWebサイト「納税証明書交付請求書(書面)での交付請求」をご覧ください。
【参考】e-Taxソフト(WEB版)
消費税の納税は忘れずに
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※データは2023年1月初旬時点での編集部調べ。
※情報は万全を期していますが、その内容の完全性・正確性を保証するものではありません。
※詳しくはお近くの税務署、税事務所、税理士など税のプロに相談して下さい。
文/ねこリセット