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何と読む?四字熟語「長目飛耳」の意味と正しい使い方

2023.01.21

「長目飛耳」という四字熟語は、あまり馴染みがないという方も多いかもしれない。しかし、公的な式典や会社の訓示などでは使用される機会も多い表現だ。また、幕末の教育者として有名な吉田松蔭が大切にしていた言葉としても知られている。本記事では「長目飛耳」の読み方や意味、吉田松陰との関係性について解説する。

長目飛耳とは

まずは、長目飛耳の読み方や意味、語源を解説する。併せて紹介する類似語「飛耳長目」についてもチェックしてほしい。

読み方や意味は?

長目飛耳の読み方は「ちょうもくひじ」。見聞や知識を広める書籍を指す。また、観察が鋭く深い様を表す際にも使われる。

長目飛耳は、「長目」と「飛耳」の2から成り、「長目」には遠くまでよく見通すという意味が、「飛耳」は遠くの物音を聞くことができる耳といった意味を持つ。この2語が合わさることで、観察眼が鋭く、情報収集能力が高いことを意味するようになったとされている。

また、2語の順番を入れ替えた「飛耳長目(ひじちょうもく)」という四字熟語も「長目飛耳」と同様の意味を持つ。

中国古代の教えから由来

 長目飛耳の由来は、中国古代の政治論集「菅子」に記されたある教えにある。「菅子」には政治経済倫理などに関する思想が述べられており、80以上から成る論集の中の一つである「九守」には君主にとって必要な9項目が記載されている

同論の8項に「一に曰く長目、二に曰く飛耳、三に曰く樹明、明に千里の外、隠微の中を知る」の一文がある。現代の言葉で表すと、鋭い観察力や情報収集力が必要だという意味となるこの記述から「長目」と「飛耳」が取られ、「長目飛耳」の四字熟語が生まれたという。

「長目飛耳」の使い方は?

日常会話で使用されることあまりない「長目飛耳」。しかし、式典など公式の場でのスピーチで用いられる機会も多。また、知見の広さや情報収集能力の高さといった人の性質を表す四字熟語であることから、座右の銘として用いる人もいる。

【例文】

・現代社会を生き抜くには、長目飛耳の姿勢で望むことが大切だ。

・会社の社訓である長目飛耳に例えられるように、社員一人ひとりが鋭い観察眼を持ち、広い知見を使って情報収集することが重要だ。

「長目飛耳」の類語

「長目飛耳」と類語関係にある四字熟語として「鳶目兎耳」が挙げられる。読み方は「えんもくとじ」漢字からも推察できるように、トビのような鋭い目とウサギのような繊細な耳を持った様を表す。転じて、情報収集能力・取材能力が高いことを表す四字熟語として使用されている

「目」や「耳」を使った他の表現

「長目飛耳」の中に「目」や「耳」といった文字が含まれるように、体の部位を含んだ表現は数多く存在する。ここでは、「長目飛耳」と同様に「目」や「耳」を使用した表現を確認していこう。

耳目

耳目の読み方は「じぼく」聞くことや見ること、多くの人々の注意や意見という意味を持つ。「見聞」と同様のニュアンスを持ち、例えば「その事件は当時、世間の耳目を集めた」のように使用する。また、誰かの耳や目として仕事を助けるといった意味で使用されることもある。

耳目之欲

「耳目之欲」は「じもくのよく」と読み、見たい・聞きたいといった感覚的な欲望を意味する。さらには、見たり聞いたりすることによって起こる欲望という意味も持ち合わせる。例えばSNSが発達した現代、耳目之欲に打ち勝つことは容易ではない」のように使用する。

飛耳長目と吉田松陰

最後に「飛耳長目」という四字熟語を広く世間に認知させた吉田松陰との関係性について紹介したい。

江戸時代末期に吉田松陰が主宰し、伊藤博文や高杉晋作など多くの著名人を輩出した松下村塾。彼は門下生に「飛耳長目」の重要性を説いていたとされている。吉田松陰自身も、自分の目や耳で得た情報を重視し、「飛耳長目」というメモ帳を持ち歩き、各地で集めた情報を書き記していたそうだ。

「飛耳長目」を重視した吉田松陰の姿は、真偽のわからない情報をネットで簡単に集められる情報社会に生きる私たちにとって、見習うべき部分があるかもしれない。

文/編集部

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