令和の時代を迎え早5年、昭和ではなく平成を懐かしむことも増えてきた。世代によって価値観は変化していくものだが、性に関する意識はどのような変化があったのだろうか。
そこでTENGAは、時代とともに男性の性生活・性意識がどのように変化したのかを探るべく、全国の男性約2000人に調査を実施。先日、その結果を発表した。
今回はZ世代男性の意識をミレニアル世代やY世代、ロスジェネ世代、バブル世代と比較した調査リポートとなっているので、概要を紹介していきたい。
各世代と比較したZ世代の性生活・性意識
各世代のマスターベーションの初体験年齢を比較すると、中央値はどの世代も共通で13~14歳という結果に。
初めて性的興奮を感じた時期は、各世代「11~12歳(小学校高学年頃)」の割合が最も多く、初マスターベーションの1~2歳前に性的興奮を感じる人が多いことが分かった。
泌尿器科医/聖隷浜松病院リプロダクションセンターセンター長 今井伸先生の解説
潜在的に性欲があまりない、性的行為に消極的という男性が10~20%はいると考えています。そのような男性はバブル世代やロスジェネ世代にもいたと思われますが、「男性はマスターベーションをして当たり前」という周囲の雰囲気に流されて、たいしてやりたくもないマスターベーションをしていた可能性があります。
それを踏まえたうえで、Z世代の男性がマスターベーションをしなくなった理由はいくつか考えられますが、まずその下地として、低年齢からスマホを使うようになり、自分と向き合う時間が減少していることが影響していると思います。
さらに、デジタルネイティブ世代でネットから得られる情報にも左右されやすいため、いつの頃からか流布してきている「オナ禁教(オナ禁最強説)」に出会ってしまうと、マスターベーションをしない選択をする男性も出てきそうです。
マスターベーションをしないことによるメリット(肌つやが良くなり、ニキビができなくなるなど)とマスターベーションをすることによるリスク(背が伸びなくなる、頭が悪くなる、テクノブレイクなど)のうわさ(どちらも医学的根拠なく間違っている)を信じることにより、「マスターベーションなんてやらないほうがいいや」と考える男性がいるのではないかということです。「マスターベーションはしない方がかっこいい」とすら考えているのかもしれません。
加えて、根強く残る性的なことをタブー視する風潮や、セックススキャンダルをネット上で袋叩きにする風潮も、マスターベーションを始める際に負の影響を与えるような気がします。
Z世代のマスターベーションのイメージはネガティブな傾向
マスターベーションのイメージランキングTOP5は全世代で同じ結果となり、全てポジティブなイメージがランクイン。男性は世代に関係なく、マスターベーションに対してポジティブな印象を持っていることがわかった。
マスターベーションのイメージの中でネガティブなイメージのみをランキングにしたところ、全世代共通で「やりすぎるとセックスの時に射精できなくなりそう」がTOP3にランクインする結果に。一方で、その他のTOP3のイメージには世代差が見られた。
Z世代、ミレニアル世代は、「時間を無駄にしたように感じる」、「肌荒れや髪質の低下の原因になりそう」がランクイン。
若い世代特有の、タイムパフォーマンス(タイパ)や美容意識の高まりなどが、マスターベーションのイメージにも影響しているようだ。またZ世代は他世代に比べてネガティブなイメージを持っている人の割合が多い結果となった。
ロスジェネ世代、バブル世代では「セックスする相手がいない人がやる行為」、「恥ずかしいこと」がランクインしており、マスターベーションが自身のセックスライフの充実度を図る指標になっていることが伺える。
Y世代は、Z世代~ミレニアル世代、ロスジェネ世代~バブル世代の両方の世代意識が混ざった結果となり、世代によってグラデーションが現れた結果となった。
Z世代はセックスの時、パートナーを気遣う人が多い
セックスの時に重要視していることについて、Z世代は、他世代の18~26歳当時と比較して、「パートナーの体に痛みや負担がないか」(19.3%)、「パートナーが性的快感を感じられるか」(41.7%)、「パートナーが精神的に満たされるか」(13.7%)など、パートナーを気遣う人が多い傾向が見られた。
一方で、「挿入行為をする」(38.9%)、「自分自身が性的快感を感じられるか」(26.5%)、「自分自身が射精できるか」(15.2%)など、自分自身に関する項目は、他世代の18~26歳当時と比較して低く、Z世代は、全体的にセックスの時に自分よりもパートナーを優先する傾向が見られる。
Z世代はマスターベーション、セックスにお金をかけない傾向
マスターベーションにかける月平均の金額について、Z世代の7割以上が「お金をかけていない」と回答。他の世代の18~26歳当時の平均と比較してみると22.6%低い結果となった。
※マスターベーションにかける金額例:アダルト動画、アダルト雑誌、アダルトグッズなど
セックスにかける月平均の金額は、5000円以上使っている人がZ世代は18.7%となっており、他の世代の18~26歳当時の平均と比較してみると、10.8%低い結果に。
※セックスにかける金額例:ラブホテル代、風俗、コンドーム代など
セックスの時に特にお金を使っているものについて自由回答をしてもらったところ、特に多かった回答を集計すると、Z世代は「避妊具」と答えている人が各世代の18~26歳当時と比較して多く、他の世代は「ラブホテル・場所代」が最も多いいことがわかった。