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企業にも投資家にもメリットが多い「エンジェル税制」の仕組みと手続きの方法

2023.02.17

エンジェル税制は、ベンチャー企業へ投資を促進するために設けられた制度です。ベンチャー企業や投資家は、制度の活用によってどのようなメリットを享受できるのでしょうか?優遇措置の内容や手続きの流れを分かりやすく解説します。

エンジェル税制とは?どういった仕組み?

ベンチャー企業の経営者や個人投資家の中には、『エンジェル税制』という言葉をよく耳にするようになった人も多いでしょう。エンジェル税制は、1997年の税制改正で新設された税の優遇制度ですが、ここ数年で利用が急激に伸びています。エンジェル税制の目的や仕組みについて確認しましょう。

ベンチャー企業への投資を促す制度

エンジェル税制とは、ベンチャー企業への投資を促すために設けられた税の優遇制度です。投資家がベンチャー企業に投資すると、『株式の投資時点』と『株式の売却時点』の両方において、所得税等の優遇措置が受けられます。

本制度は1997年の税制改正で新設されましたが、当初は利用者がそれほど多くはありませんでした。2020年の税制改正でエンジェル税制の対象要件等が緩和されてからは、利用者が増加傾向にあります。

参考:中小企業庁:エンジェル税制の仕組み|中小企業庁
参考:エンジェル税制の実績(投資額・企業数)|中小企業庁

投資家は「優遇A」と「優遇B」から選択

投資家がベンチャー企業に投資すると、投資した年には『優遇A』または『優遇B』の優遇措置が受けられます。

優遇Aは、投資金額から2,000円を引いた金額を、その年の総所得金額から控除できる優遇措置で、2008年4月1日以降の投資が対象です。控除対象となる投資の上限額は、『総所得金額×40%』または『1,000万円』のいずれか低い方となる点に留意しましょう。

優遇Bは、投資額の全額をその年の他の株式譲渡益から控除できる優遇措置です。控除対象となる投資額に上限はありません。

参考:中小企業庁:エンジェル税制の仕組み|中小企業庁

売却時にも所得税や住民税の特例措置が

株式の売却時に損失が生じた場合は、所得税と住民税の特例措置が受けられます。

  • 損失分は、その年の他の株式を売買して得た利益と相殺が可能
  • 相殺しきれない分については、翌年以降3年にわたって株式譲渡益から損失の繰越が可能

投資した年に優遇Aまたは優遇Bを受けた場合、取得価額から控除対象金額を差し引いた上で損失を計算する決まりです。

なお、破産や解散によって株式価値がなくなった場合も、翌年以降3年にわたって損失の繰越が受けられます。

参考:中小企業庁:エンジェル税制の仕組み|中小企業庁

エンジェル税制を利用するメリット

貯蓄のイメージ

(出典) photo-ac.com

政府がエンジェル税制を制定したのは、起業して間もないベンチャー企業の資金調達環境を改善するためです。ベンチャー企業はもちろん、投資する側にも大きな利点があります。

【企業側】投資を受けられる可能性が高まる

起業したばかりのベンチャー企業は事業がまだ軌道に乗っておらず、銀行からの融資を受けるのが難しいのが実情です。株式発行による資金調達も可能ですが、未上場であれば証券取引所での取引ができないため、上場企業のように不特定多数の投資家から広く資金を集められません。

エンジェル税制を活用すると、より多くの個人投資家から投資を受けられる可能性が高まります。投資時・売却時の両方で税制優遇が受けられる点を訴求すれば、投資に二の足を踏んでいた人も『ベンチャー企業の将来性にかけてみよう』と前向きな気持ちになるかもしれません。

【投資家側】投資によって節税効果を得られる

投資家側の最大の利点は、投資をしながら所得税・住民税の節税効果を得られる点でしょう。ベンチャー企業への投資はハイリスク・ハイリターンといわれますが、売却時に大きな損失が出てしまった場合は、翌年以降3年にわたって譲渡益との相殺が可能です。

ベンチャー企業は、大企業や上場企業が取り組みにくい革新的な事業に挑戦する傾向があります。将来的に事業が大きく成長した場合は、何十倍もの高いリターンが見込めるでしょう。

エンジェル税制を利用するには?

資料に記入する

(出典) photo-ac.com

エンジェル税制を利用するには、多くのプロセスを経る必要があります。準備が必要な書類も多いため、中小企業庁のWebサイトを確認しながら、不備がないように手続きを進めなければなりません。エンジェル税制を利用するまでの大まかな流れを解説します。

企業側の手続き

ベンチャー企業側の手続きは、『事前確認制度』を利用するかどうかで異なります。事前確認制度とは、個人投資家から投資を受ける前に、企業がエンジェル税制の対象かどうかの確認を受けられる制度です。

制度を利用する場合、都道府県に対して確認申請を行います。対象企業として確認されると、中小企業庁のウェブサイトの対象企業一覧に会社名が掲載されるとともに、都道府県から確認書が交付されます。

制度を利用しない場合、投資を受けた後にエンジェル税制適用のための確認申請を行います。この際、投資家による資金の払込期日時点で『ベンチャー企業要件』と『個人投資家要件』を満たさなければなりません。申請後は確認書が交付されます。

参考:エンジェル税制申請から確定申告までの流れ -エンジェル税制のご案内-|中小企業庁
参考:エンジェル税制の対象要件|中小企業庁

投資家側の手続き

投資家の投資方法は、ベンチャー企業の株式を直接取得する方法(直接投資※)と、経済産業省の認定を受けた投資事業有限責任組合を経由する方法の2パターンがあります。

直接投資では、企業側と投資契約を締結した上で投資を行います。確定申告の際は、ベンチャー企業から交付される確認書や投資契約書の写しなどが必要です。

認定投資事業有限責任組合を経由する場合は、以下の流れで手続きを行います。

  1. 投資事業有限責任組合契約を締結する
  2. 投資事業有限責任組合の認定申請を行う
  3. 経済産業大臣の認定書の交付・対外公表
  4. ベンチャー企業への投資を実行
  5. ベンチャー企業要件・個人投資家要件を確認する
  6. ベンチャー企業から確認書を取得する
  7. 確定申告を行う

経済産業省による認定を受けていない投資事業有限責任組合を経由するケースを含む

参考:直接投資-エンジェル税制申請から確定申告までの流れ-|中小企業庁
参考:認定投資事業有限責任組合経由 -エンジェル税制のご案内-|中小企業庁

構成/編集部

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