北朝鮮によるミサイル発射問題をきっかけに、Jアラートが広く知られるようになりました。災害や有事の際に発令されるので、自分の身を守るためにも、受信できるようにしておきましょう。Jアラートの仕組みや、アラートがあった際にすべき行動を解説します。
Jアラートとはどんな仕組み?
災害発生時や弾道ミサイル発射などの際、防災無線やスマートフォンへの緊急速報メールなどの形で情報を発信するのがJアラートです。これまで何度か発令されているので、受信した経験のある人も多いでしょう。まずはJアラートの基本的な仕組みから解説します。
有事や災害発生時の全国瞬時警報システム
Jアラートは別名『全国瞬時警報システム』と呼ばれており、地震などの災害やテロ攻撃などの有事が発生した際に、国民に警報するシステムを指します。もともとは消防庁が開発したシステムで、2007年から各地の自治体への導入が進められました。
弾道ミサイルの発射・着弾や、日本国内での大規模なテロ攻撃といった有事の際には内閣官房が情報を発信し、地震や津波などの自然災害に関する警報は気象庁が発信する決まりです。国民が所持しているスマートフォンに緊急速報が流れるほか、地域の防災無線を通じて情報を確認できます。
全国瞬時警報システム(Jアラート)の概要 | 消防庁の組織および所掌業務 | 総務省消防庁
北朝鮮によるミサイル発射問題で有名に
Jアラートは災害発生時にも機能しますが、近年はもっぱら北朝鮮による弾道ミサイル発射にまつわり有名になりました。
外国から発射された弾道ミサイルが、日本国の領土や領海に落下する場合、あるいは領土・領海の上空を通過する可能性がある場合に、アラートが発令される仕組みです。
直近では2022年10月4日に発令されており、ミサイルが発射された旨の情報が発信されました。なお、もし国内にミサイルが落下する恐れがある場合は、続報として、避難の呼びかけや落下場所に関する情報が発信されます。
参考:北朝鮮から発射された弾道ミサイルが日本に飛来する可能性がある場合における全国瞬時警報システム(Jアラート)による情報伝達について – 内閣官房 国民保護ポータルサイト
Jアラートの基本的な仕組み
災害や有事の発生時には、内閣官房や気象庁からの命令を受け、消防庁の送信システムを使って情報が発信されるのが、Jアラートの基本的な仕組みです。消防庁から情報番号や対象地域のコードが送信され、各地方自治体や携帯キャリアに情報が伝達されます。
インターネットをはじめとした地上回線で情報が送信されるだけでなく、人工衛星を通じて各市町村庁舎の設備を起動する仕組みもあり、防災行政無線や屋外スピーカーからアラートが発令されます。
Jアラートの受信方法
Jアラートは、携帯端末のエリアメールや緊急速報メールで受信可能です。さらに、各自治体の防災無線や屋外スピーカーでも確認できるようになっています。
エリアメールや緊急速報メールで受信
内閣官房や気象庁からの命令で携帯キャリアに発信されたJアラートは、各端末の利用者にエリアメールや緊急速報メールとして伝達されます。
対応するキャリアの携帯端末を所持していれば、特に設定をしなくてもJアラートの受信が可能です。スマートフォンはもちろん、いわゆる『ガラケー』でも受信できます。
ただし、機種によっては事前の設定が必要な場合もあるので、所持している携帯端末の公式サイトで確認しておきましょう。誰でも簡単に設定が可能で、専用アプリをインストールする必要もありません。
各自治体の防災無線や屋外スピーカーで確認
Jアラートの受信ができる携帯端末を所持していない人でも、発令時には各市町村の防災無線や屋外スピーカーが自動で起動し、情報が聞こえるようになっています。
各自治体の放送で確認できるほか、受信機がある家庭では防災無線、さらにケーブルテレビやコミュニティFMなどからも情報が得られます。自治体の放送は場所によって聞こえない場合もあるので、外出が多い人はできるだけ携帯端末やラジオなどを持ち歩くようにしましょう。
Jアラートが発令されたらどうする?
実際にJアラートが発令された場合、どう対応すればよいのでしょうか?屋内・屋外それぞれの場合について、取るべき行動を覚えておきましょう。
屋内にいる場合の対応
弾道ミサイルが発射されて、万が一、近くに落下する恐れがある場合は、ドアや窓・ガス・水道・換気扇などをすべて閉めた上で、速やかに窓の近くから離れるようにしましょう。可能な限り、窓のない部屋や地下室などに移動することが大事です。
ただし、ミサイルが実際に日本の領土に落下する恐れがある場合は、その時点でJアラートにより落下の危険が伝えられ、改めて避難が呼びかけられます。避難指示がある場合は、それに従いましょう。
屋外にいる場合の対応
屋外にいる状況でJアラートが発令された場合、すぐに近くの建物に避難しましょう。まずはミサイルが発射されたとの伝達があるので、できるだけ頑丈な建物を選んで避難することが大事です。
さらに落下する恐れがある場合、再度アラートが発令されるので、可能であれば建物の地下に移動するようにしましょう。もし周囲に建物がない場合は、最悪でも地面に伏せて頭部を守る必要があります。
なお、災害や有事の際にはJアラートの発令に加えて、各自治体から避難指示が出る可能性もあります。具体的な避難場所も指示されるので、そちらに従うようにしましょう。
参考:弾道ミサイル落下時の行動|内閣官房 国民保護ポータルサイト
参考:総務省|令和元年版 情報通信白書|全国瞬時警報システム(Jアラート)の安定的な運用
構成/編集部