『タイパ』という言葉を耳にしたことはありますか?主に若い世代が重要視しており、ビジネスシーンにおいても、コスパに代わる言葉として注目を集めています。ここでは、タイパの意味や言葉の使い方、日常生活でタイパを意識した行動など紹介していきます。
タイパとは?
『タイパ』とは、どういった意味を持つ言葉なのでしょうか?タイパの基本的な考え方や『コスパ』との違いについて、解説をしていきます。
タイパはタイムパフォーマンスを略した言葉
『タイパ』という言葉は、『タイムパフォーマンス』を省略した言葉で、時間対効果を表します。かけた時間に対して、どれだけ満足度が高かったのかを指し示す指標となるのです。
また、タイパは『タムパ』と略す人もいるということを知っておきましょう。
タイパの類義語として、『時間効率』や『時間の有効活用』などが挙げられます。反対にタイパの対義語としては、『無駄な時間』や『時間の無駄』といった言葉が挙げられます。
タイパを重視しているのは特にZ世代
タイパは、特に『Z世代』と呼ばれる若い世代が重視している傾向にあります。Z世代とは、1990年代の後半から2012年ごろまでに生まれた世代のことで、2023年では、おおよそ10歳ごろから20代半ばごろまでの世代を指します。
このZ世代が育った環境では、デジタル化が加速し、スマートフォンなどのデジタルデバイスに幼いころから触れていた背景があり、知りたい情報を効率良く収集できるのが当たり前の時代を生きてきた世代です。
こうした背景があり、Z世代は合理性を求め、情報処理能力にも長けていることからいかに時間効率を上げ、限られた時間を有意義に過ごせるのかということを常に考え、行動しているのです。
「タイパ」と「コスパ」の違い
タイパに似た言葉で、『コスパ』という言葉があります。『コスパ』は言わずもがな『コストパフォーマンス』の略で、タイパが時間対効果であるのに対し、コスパは費用対効果という意味です。
人間が生きているなかで自由に使える時間には限りがあります。自由に使える時間は『可処分時間』とも呼びますが、可処分時間を減らしたくないという意識から、タイパという考え方が生まれたのではないか、といわれています。
昨今、世間ではコスパよりもタイパが重視される傾向にあるようです。コスパを追求しすぎてしまうと、タイパが悪くなってしまうといったジレンマが起きてしまうことを理解しておきましょう。
タイパの使い方・例文
タイパの使い方や例文について見ていきましょう。文章中で使用する場合と会話で使用する場合について、それぞれ紹介します。
文章中でのタイパの使い方・例文
文章中でタイパという言葉を使うときは、次のような使い方をします。例文を紹介しますので、確認してみましょう。
- 映画を見るときは、前もってあらすじやストーリーをチェックしてから見るとタイパがよい
- 情報収集のためにYouTubeで動画を見るときは、倍速で見るとタイパがよくなる
- タイパを重視しているので、通勤中の電車内では、スマホでニュースを読むようにしている
文章でタイパを使用する場合は、「●●するとタイパがよい」のように表現でき、時間帯効果が高いことを説明する言葉としてしばしば使われます。
会話でのタイパの使い方・例文
タイパは普段の会話のなかでも使用することが可能です。会話のなかでタイパを使う際の例文について確認しましょう。
【会話例1】
「最近の若い人は、タイパを重視するらしいよ」
「そうそう。私の職場の後輩も、YouTubeで動画を見るときは倍速で見る方がタイパがいいって口癖のように連呼しているわ」
【会話例2】
「初めて注文してみたんだけど、ミールキットって届いた食材を調理するだけで時短にもなるし、おいしくできるのよ」
「ミールキットは、まさにタイパを意識した商品だよね」
【会話例3】
「読書ってタイパあまりよくないよね」
「そうだね、読むのに時間かかるから、音読を聞きながらの方がタイパはいいと思う」
Z世代では普段からタイパという言葉になじみがあるため、友人との会話のなかでも自然な流れでタイパというキーワードが飛び交います。
日常生活でのタイパを意識した行動
日常生活でも、タイパを意識した行動というものがあります。それぞれどのような行動があるのか解説していきます。
映像は倍速視聴・ながら見が当たり前
現代においては、YouTubeをはじめとした映像コンテンツが世にあふれています。その結果、Z世代を中心に映像系のサブスクリプション(月額・定額制で利用できるサービス)などを利用して映像を視聴する際は、ながら見や倍速視聴・スキップ再生(映像の飛ばし見)・ネタバレ視聴が当たり前のように行われているのです。
ただ、全ての映像コンテンツを倍速視聴したり、スキップ再生したりするわけではありません。自分の好きなコンテンツはじっくりと楽しみたいので、時間をかけて見る傾向があります。
わからないことはSNSで素早く調べる
特にZ世代は、SNSの全盛とともに育った世代です。わからないことや知りたいことがある場合は、SNSを柔軟に活用して素早く調べます。
現地に直接足を運んで確認したり、Google検索で調べたりするといったことはあまり行いません。飲食店をはじめ、お店や商品の情報、トレンドなどを調べる場合は、Instagramなどの投稿をチェックし行動に移すケースが多いのが実情です。
また、何かを新しく学びたいと考えた場合は、無料で視聴できるYouTubeを積極的に活用する傾向があります。
ネタバレ消費を行う
ネタバレ消費とは、商品を購入する際やサービスを利用する際に、あらかじめ下調べをしたうえで購入したり利用したりすることをいいます。
例えば、映画を鑑賞するときに、事前に内容について触れているユーザーレビューをチェックしてから見るかどうかを決めるのもネタバレ消費の一つです。
また、書籍を読む際は、本の内容を要約しているサイトをチェックしてから、実際に読むかどうか決めることもネタバレ消費に該当します。
このように、ネタバレした状態で消費を行うのは本当によいことなのかという意見もありますが、下調べせず内容がつまらなかった場合は、費用や時間の無駄であったと捉えられるため、タイパを重視する人にとってメリットは大きいといえるのです。
ビジネスシーンでのタイパを意識した行動
ビジネスシーンにおいても『タイパ』は重要視されつつあります。ここでは、ビジネス面でのタイパを意識した行動について紹介します。
ビジネスシーンではタイパが重要
ビジネスシーンでは、少ない時間で大きな成果を出すのがよいとされています。例えば、取引先と商談を行った場合、短い商談時間で大口の案件が獲得できた場合では、タイパの高い商談だったとなります。
投資した時間に対して、得られた成果が大きいほど、タイパはよくなっていくので、特にビジネスにおいては重要視されているのです。
また、余談になりますが、タイムパフォーマンスという言葉は、もともとコンピューター機器やシステムなどの処理の速さに対して使用されていた言葉です。やがて派生していき、日常的にも使われる言葉へと変化しました。
時間のかけすぎはタイパが低下する
ビジネスにおいては、仕事に時間をかければかけるほど、大きな成果が出るとは限りません。丁寧に仕事をしていても、思いのほか時間がかかってしまい、得られた成果はわずかであったということも起こりがちです。時間をかけすぎてしまうと、かえってタイパは低くなる傾向にあります。
仕事において完璧主義は悪いことではないですが、限られた時間のなかでスピーディーに仕事をこなす必要がある場合は、時間をあまりかけすぎずに終わらせ、すぐに次の仕事に取り組む方がよいケースも多々あります。
ビジネスパーソンにおいて『タイパ』は、知っておかなければならない、必須の考え方であるといえるでしょう。
構成/編集部