長期投資において米国株は参加する全ての人がプラスになる「プラスサムゲーム」と呼ばれてます。なぜなら米国は先進国でも数少ない人口増加を続けている国であり、人口と労働力は直結するため、今後も米国経済は成長を続けていく可能性が高く、経済規模は拡張していくと考えられるからです。
つまり米国の経済力はさらにパワフルになると考えれば、結果的に株価へと反映されることになります。こうした期待が世界中の投資家の資金を米国マーケットへと呼び込み、実体経済以上に株価が上昇することが米国株にはよくあるのです。
また米国企業は株主第一主義であることも大きな魅力のひとつです。
実際、米国株における投資判断で重要視される指標のひとつに連続増配実績というものがあり、連続増配を25年以上継続している企業を配当貴族と呼びますが、米国には100社以上配当貴族があるのに対して日本は花王の1社のみが配当貴族に該当します。
特に米国は他国と比べても連続増配に積極的に取り組んでいますが、その背景には米国は株主の影響力が強く、株主から認められないCEOは交代させられる仕組みがあることも株主第一主義を継続する大きな理由です。
つまり私たち日本人投資家はこうした米国経済のメリットを投資という形で享受することができるというわけです。
そこで今回は1万円で購入できる米国高配当株について解説していきます。
米国株は1株から購入できる
日本株が単元株といって全国の取引所において株式の購入が100株単位で取引されるのに対して、米国株の場合は1株単位で購入することができます。当然、日本株よりも少ない金額で購入することができるので、投資資金が少なくても始めやすいという特徴があります。
つまり世界的にも有名なグローバル企業の株式であっても、誰もが手が届くチャンスがあり、日本株よりもハードルが低く購入しやすいという特徴があります。
このような理由から、はじめて個別株投資をしようと考えた場合に米国株はとてもオススメなのです。
1万円で購入できる米国高配当株一覧
1株単位で購入できる米国株ですが、ここでは1万円以下で購入できる米国高配当株の主要銘柄について解説していきます。
【KO/コカ・コーラ】
生活必需品株の代表的な銘柄です。世界的な清涼飲料水を展開しており、バフェット銘柄としても有名です。景気に左右されにくいことから、好景気や不景気だけでなく先行きが不透明な経済状況においても人気があります。
株価62.01ドル. 配当利回り2.83% (執筆時点)
【KHC/クラフト・ハインツ】
生活必需品の代表的な銘柄です。特に食品株は不景気に強く、今後米国経済が本格的な不景気に突入すると考えられることから、人気がさらに高まることが期待されます。
バフェット銘柄としても有名です。
株価42.56ドル 配当利回り3.78% (執筆時点)
【KR/クローガー】
生活必需品の代表的な銘柄です。ウォルマートに次ぐ全米2位のスーパーマーケットを展開しています。この分野はハイテク株などに比べれば高成長は望みにくいですが、どんな環境でも業績が左右されにくい特徴があります。なぜならインフレが発生して価格が上昇したとしても、消費者に価格転嫁しやすい生活に直結した食品を扱っていることもビジネス上の強みといえるでしょう。
株価45.59ドル 配当利回り2.26% (執筆時点)
【WFC/ウェルズ・ファーゴ】
銀行株の代表的な銘柄です。金融セクターは景気循環株であるため米国の経済状況によって株価が左右されやすい特徴があります。そのため投資目的としては景気の現在地をチェックするための指標としての役割も担っています 。
株価42.76ドル 配当利回り2.83% (執筆時点)
【SO/サザンカンパニー】
公益株の代表的な銘柄です。公益セクターのビジネスモデルの特徴として、設備キャッシュフローが大きくフリーキャッシュフローが弱いことにあります。その理由としては設備メンテナンスの維持費がかかることが挙げられます。とはいえ特定の地域から安定した収益が確保できるので、株価が大きく上昇することはありませんが、安定した収益が継続的に期待できる魅力があります。
株価71.55ドル 配当利回り3.83% (執筆時点)
【VZ/ベライゾン・コミュニケーションズ】
通信株の代表的な銘柄です。通信セクターも公益セクターと同じく設備投資に莫大な資金が必要です。そのため新規参入のハードルが極めて高く、それはベライゾンに継続的な収益をもたらすことを意味しています。
株価41.18ドル 配当利回り6.22% (執筆時点)
【T/AT&T】
ベライゾンと同じく通信株の代表的な銘柄です。現在、米国の通信セクターはほぼ全域で通信網が整備されており今後大きな事業成長は見込めません。そのためベライゾンと同じく株価成長はあまり期待できませんが、特にAT&Tは2021年に途切れたものの、それまで連続増配を36年続けてきました。またコロナ以降の株価は下がっていますが、その分、配当利回りは高くなっています。
株価19.41ドル 配当利回り5.70% (執筆時点)
【MO/アルトリア・グループ】
タバコ株の代表的な銘柄です。この業界は枯れた産業としても有名です。近年は電子タバコなどが発売されていますが、基本的な設備構造は数十年変化していません。つまり新規の設備投資が抑えられるので高収益なビジネスモデルを構築しています。
とはいえ喫煙者数自体は減少しており、売上も急激な上昇をするとは考えにくく、大きな株価上昇は見込めないでしょう。その分、高配当株として安定した魅力があるといえるでしょう。
実際、アルトリアは連続増配を50年以上続けています。
株価45.83ドル 配当利回り8.18% (執筆時点)
【BTI/ブリティッシュ・アメリカン・タバコ】
タバコ株の代表的な銘柄です。日本人投資家にとっての最大の魅力は英国銘柄でありながらADR(米国預託証券)という仕組みを利用できることです。この制度によって米国株の配当における最大の弱点でもある10%の外国税という二重課税がありません。税制面で最も有利な銘柄といえるでしょう。
株価38.43ドル 配当利回り7.28% (執筆時点)
【RPRX/ロイヤルティ・ファーマ】
ヘルスケア株であるロイヤルティ・ファーマは2020年6月にナスダックに上場したベンチャー企業です。ビジネスモデルとしては新薬の特許(ロイヤルティ)を扱っています。
有望な新薬候補を選定する必要があるため参入障壁が極めて高く、高収益構造であることから長期投資に向いている銘柄といえるでしょう。
株価39.32ドル 配当利回り2.04% (執筆時点)
おわりに
米国経済が急速に冷え込んでいる現在のような状況を考えた場合、これまでのように株価の上昇を狙うだけでなく、確実な配当でインカムゲインを狙う投資家も増えていくことが予想されます。
こうした状況にあっても米国には景気に左右されにくい安定したビジネスモデルと高配当体質の企業が多くあり、景気サイクルの中で高配当銘柄もその都度注目されています・
ぜひ今後の投資戦略を考える上でのモノサシとして利用していただければと思います。
*本文は勧誘目的ではありません。投資をする際のさまざまな意思決定はご自身の責任において行われますようお願い致します。
ライター/鈴木林太郎
編集/inox.