行動制限は緩和傾向だが、総合上位は引き続き強い堅実志向
アコムは、2021年11月から「誰もがやりたいことに挑戦できる社会を応援する」ために「はじめたいこと、はじめよう!プロジェクト」を展開。「はじめたいけれど、まだはじめられていないこと」を見つけるヒントとして、全国の15歳から69歳の2384名に2023年に始めたいことを調査して、「\はじめたいこと見つけよう!/2023年 はじめたいことRANKING」として発表した。
総合ランキングは、第1位「ポイ活」、第2位「週休3日制度」、第3位「副業・複業」となり、「10代・20代はオフラインでの娯楽に注目」、「60代はサステナブルな取り組みに積極的」、 「新成人は人生の節目を目前に資格試験に前向き」など世代・属性別の傾向が見えてきたという。
2022年は「金融投資」や「家庭菜園」が上位にランクインするなど、コロナ禍における外出自粛でさまざまな行動が制限されたが、その中でも状況を前向きに捉えて“自宅でできるはじめたいこと”にチャレンジする傾向があった。
今年は徐々に制限が緩和されたことで外向きのチャレンジが増えると予想されたが、「ポイ活」などお金に関することや「週休3日制度」、「副業・複業」などの働き方に関することが上位で、どの年代にも強い堅実志向が見られた。
金融投資でも昨年と比較して、貯めたポイントを活用する「ポイント投資」が注目を集めており、キャッシュレスサービスで大々的なポイントキャンペーンが行われたり、ポイントの活用の幅が広がったことで、年代を問わずに活況となったようだ。
また物価高騰の影響で盛り上がりを見せる「懸賞」もランクインしており、「かしこくお得に暮らしたい」という考えが顕著に現れる結果になったようだ。
10代ランキング結果〜リアルな体験に注目。美容への意識は男女ともに高い傾向
コロナ禍では困難だった大型のリアル音楽フェスが3年ぶりに開催されるなど、オフラインで盛り上がれるエンタメが復活。
10代はインターネットのネイティブ世代だが、リアルで楽しめるようになって「画面越しでしか見れなかったパフォーマンスを生で体感したい」といったことがZ世代で広がりつつあるようだ。
理由としては「その時、その場でしか体験できないことを共有する消費行動『トキ消費』」のような“参加性”のある経験を求めていることが考えられる。
コロナ禍の影響で、今まで外食やレジャーにかけていた資金を「自分への投資」する人が増えており、特にマスクの着用がプラスにはたらく「歯科矯正」と「ヒゲ脱毛」や、時間を有効活用した「睡眠美容」などもランクイン。男女ともに高い美意識がうかがえる。
新成人ランキング結果〜入試・就職など人生の節目を目前に資格試験に取り組む
10代全体と比較して、新成人となる「18歳」は、「英語検定・TOEIC」、「日商簿記検定」、「ITパスポート」などが上位にランクイン。
社会に出て自立していく節目の年だからこそ、今後の進路や人生に活かせる資格取得に注目が集まる結果になった。勉強を頑張る学生の中でも、スマホで勉強風景を一定間隔で撮影する「タイムラプス勉強法」など今どきの学生の新しい勉強法が生まれている。
「海外旅行」や「リアル音楽フェス参戦」、「スキー・スノーボード」や「ヌン活」など、アクティブに友人と交流ができる活動への注目も再燃。旅行会社で学生向けの外出支援割引の提供を始めているなどの背景もあり、学生の節目の年齢に積極的に友人と思い出作りをしようとしていることわかる。
20代ランキング結果〜海外旅行・ヌン活や美容・健康などへの自己投資に興味
外出自粛ムードが落ち着きつつある中で、我慢が続いた「海外旅行」やSNSを中心に大流行した「ヌン活」など、家の外での娯楽を求めている傾向が見られ、「銭湯」のような気軽に行きやすいものも注目を集めている。屋外での娯楽に、非日常感だけでなくちょっとした癒しや楽しみも期待しているようだ。
また「睡眠美容」や「睡眠改善ドリンク」など“睡眠”に関連したワードも20代から注目を集めた。アフターコロナで、以前ほどゆったり時間を使えない生活に戻ってきており、特に忙しい20代は睡眠の質向上や夜の時間を有効活用する商品が高い人気を獲得するなど、「タイパ(タイムパフォーマンス)」がキーワードになっている。
お金を払って“快眠”を手に入れる旅行「スリープ・ツーリズム」など、新しい睡眠への投資方法も去年と比較して増加した。
新社会人ランキング結果〜「週休3日制度」で自分時間を有効活用して自己投資
新社会人は「週休3日制度」が1位になるなど、社会に出る前から働き方について高い関心を持っている傾向が見られた。新卒採用が売り手市場ということも関係して、 自由な働き方を考慮しながら自分に合う会社を選んでいるようだ。
プライベートの充実度も重要視しており、「歯科矯正」や「ヒゲ脱毛」などの項目も上位にランクインした。金額的に学生にはハードルが高く、完了までに時間がかかる身だしなみに関わるような自己投資は、社会人になったタイミングでなるべく早くはじめようという意識がうかがえる。
30代ランキング結果〜最大の興味はお金や資産
30代では、「ポイ活」、「副業・複業」、「フリマアプリ・オークション」など、お金に関わる項目が上位に多くランクイン。結婚・出産・住宅の購入などライフイベントが重なりやすい年代なので、ほかの年代と比較してお金に対する意識が高く、堅実にお金を増やしたい気持ちが強いことが理由として考えられる。
関連本が書店で人気になるなど、昨年から話題になっていた「FIRE」については、FIRE後に再び働き始める「FIRE卒業」が増えているように、「週休3日制度」や「副業・複業」など、より堅実な方法に人気が集まっているようだ。
働く以外の手段でも「ポイ活」、「フリマアプリ・オークション」、「懸賞」などのハードルが低いものがお金を稼ぐ手段として注目を集めている。コロナ不況に物価高騰など気持ちが滅入るような時流の中で、少しでも楽しく生活費の足しにしたいという思いやライフスタイルや本業、知識レベルなど自分に合った方法でお金に向き合おうとしていることが読み取れる。
新米パパ・ママランキング結果〜デジタル社会で体験型の教育に注目
新米パパ・ママのランキングでは、上位の「料理」や「キッチン菜園」のほか、「冷凍スイーツ」のような家庭に関する項目がランクインした。20代・30代など同年代のそれぞれのランキングと比較すると、家庭を持ったことで意識が子どもや家庭での過ごし方に強く向いている傾向がある。
最近は、AIやデジタルを活用した教育も広がっているのと同時に、「旅育」のような五感を通じたオフラインでの体験型教育も依然として高い注目を集めているようだ。自粛ムードの落ち着きや支援の提供などで、旅行しやすくなったことも2023年こそはと興味を持った理由と考えられる。
40代ランキング結果〜ローリングストックや防災アプリなど備える意識が強い
日頃から必要量の備蓄を用意して、定期的に消費しながら買い足して管理する「ローリングストック」や「備えない防災」が浸透し始めており、日ごろから非常時のことを考えている高い防災意識が目立った。
「防災アプリ」や「防災用お菓子」など幅広い備えを取り入れ、自分や家族などのことをしっかり守ろうとする意識が感じられる。お金を稼ぐのも趣味を楽しむのも家か近所という傾向も見られる。若い年代は非日常な趣味・娯楽がランクインしていたのに対して、40代では身近な「料理」や「銭湯」などが上位にランクイン。
「フリマアアプリ・オークション」のような在宅でできるもののほかにちょっとした時間で稼げて特別なスキルを必要としない「ご近所副業」のような、本業と両立しやすく近所でできる仕事も注目を集めた。
50代ランキング結果〜若い年代同様に副業・複業や週休3日制度に前向き
50代においても「副業・複業」や「週休3日制度」など、新たな働き方が上位にランクインした。今まで当たり前だった「終身雇用制度」が崩壊しつつあるなど働き方が多様化し、若い年代と同様に50代も自分らしい働き方を模索したり、新たな働き方を柔軟に受け入れたりと時代に適応しようとする傾向が見られた。
「睡眠改善ドリンク」のような“睡眠の質”の向上や改善機能がある食品、「ヨガ・ピラティス」といった最近話題のフィットネスが上位に入り、「人生100年時代」と言われる折り返しの50代では、特に「健康・体作り」の意識も高くなっていることが予想される。
60代ランキング結果〜規格外食品購入などサステナブルな取り組みに積極的
「SDGs」は若い年代で認知・関心が高く話題にあがることも多いが、意外にも60代で「規格外食品購入」が上位にランクイン。60代にもサステナブルの意識が浸透してきており、SDGsの取り組みに積極的な傾向が見られる。
50代までの全年代が高い関心を示していた「週休3日制度」や「副業・複業」についてはトップ10圏外だった。
「定年退職」や「ひとつの職だけをまっとうする」などの意識が強く、新しい働き方への挑戦は、ほかの年代と比べて高いハードルを感じていると考えられる。
『はじめたいこと見つけよう! 2023年 はじめたいことRANKING』調査概要
調査対象:15歳~69歳
対象エリア:全国
調査委託先:マクロミル
有効回答数:2384名
調査主体:アコム
ランキング結果サマリー:「働き方」「資格勉強」「学習法」「創作活動」「稼ぎ方」「ボディメイク」「体調管理」「美容」「食生活」「住み方」「サービス」「防災」「環境活動」「スポーツ」「音楽」「お出かけ趣味」「おうち趣味」の17部門で調査
https://acom-hajimetaikoto.com/
構成/KUMU