『おじさん構文』という言葉をご存知でしょうか?独特の文面が、SNSで女子高生を中心に話題となり、世間で大きく取り上げられるようになりました。ここでは、おじさん構文の特徴やおじさん構文が使われるようになった背景について解説します。
おじさん構文とは?
最近耳にする『おじさん構文』とは、どのようなものなのでしょうか?会社の上司などから、LINEなどでメッセージを受け取ったことがある、という人もいるかもしれません。おじさん構文が話題になった経緯や、おじさん構文に似た『おばさん構文』について紹介します。
SNSで話題になったワード
おじさん構文は、2016年ごろから女子高生などの若い世代の間で話題になりました。いくつかの特徴から、おじさんが送りがちなLINE文面としてSNSを中心に話題となった経緯があります。
また、女子高生を中心に、友達同士でウケを狙い、あえておじさん構文でメッセージのやり取りをするといった『おじさんLINEごっこ』という遊びも流行しました。
若い世代でLINEなどのメッセージをやり取りする場合は、短文であったりスタンプで対応したりと、シンプルかつスピーディーなやり取りが行われます。そのため、おじさん構文は女子高生などの若い世代にとっては、変わった文面のように感じられるのかもしれません。
おばさん構文もある
おじさん構文の派生で『おばさん構文』という言葉も生まれました。おばさん構文は、絵文字や顔文字を文面で多く使用する点や、文中にカタカナを多用するといった点がおじさん構文と共通しています。
一方でおじさん構文との違いは、使用する絵文字に特徴があり、キラキラやハート・上げ下げといった絵文字を使うケースが多い点です。その他、語尾に『●●だわ』『●●かしら?』『!?』を多用する点がおじさん構文の特徴と異なります。
また、おじさん構文で相手を呼ぶ際によく使われる『●●チャン』といった表現はあまり使われません。
おじさん構文の特徴は?
おじさん構文には、いくつか共通する特徴があります。ここでは、おじさん構文で代表的な特徴について四つ紹介します。
語尾などにカタカナを使う
まず一つ目の特徴として、語尾にカタカナを使用するという点です。具体例として、『●●カナ?』や『●●チャン(相手を呼ぶとき)』『ナンチャッテ』といった表現をおじさんは使う傾向にあります。
カタカナを多用する理由としては、テンションを上げて若者に寄せようとしているのでは、目立ちたいという心情からくるものではと推測されています。
また『●●カナ?』の表現に関しては、相手がメッセージを受け取ったときのことを考えてはっきりと伝えるのではなく、あえて表現を柔らかくしていると考えられ、おじさんの慎重さが表れているともいえるでしょう。
絵文字・顔文字が多い
二つ目の特徴は、絵文字や顔文字が多いという点です。とにかく絵文字の数が多く、なおかつ連投するといった特徴があります。
おじさん構文で頻出する絵文字としては、『苦笑い』『汗のマーク』『赤いびっくりマーク』『赤いびっくりマーク・はてなマーク』などがあり、顔文字では『(^_^;) 』や『\(^o^)/ 』といったものが頻繁に使われます。
おじさんが絵文字や顔文字を多用する理由は、若いころに携帯電話でメールをしていた際に絵文字を多用していたためです。
文章がやたらと長い
おじさん構文の三つ目の特徴は、文章がやたらと長いという点です。現代の若い世代がLINEなどでメッセージをやり取りする際は、短い文章でポンポンとリズムよくやり取りするのが一般的となっています。
おじさん構文で送られる長文を受け取った場合、特に若者からは敬遠されてしまうことが懸念されます。読みにくいうえに、伝えたいことをすべて盛り込んで送ってくる傾向があるためです。
このようにおじさんが長文で送ってしまう理由としては、相手に何度も通知がいってしまうことを避ける気遣いだ、といった声もあります。
下心が垣間見えることもある
おじさん構文の四つ目の特徴は、下心が垣間見えることがあるという点です。例えば「今度一緒に飲みに行かないカナ?ナンチャッテ!」など冗談のように伝えつつ、あわよくば飲みに行きたいといったおじさんの下心が透けて見えるケースがあります。
また相手のことをもっと知りたい、親密になりたいと考えるがゆえに、遠回しで質問を投げかける傾向があります。
このようなおじさん構文が送られてくると、特に若い女性の中ではおじさんの下心が感じられ、ゾクっとしてしまう人もいるのです。
おじさん構文が使われる背景
このように、おじさん構文が使われる背景としてはどのようなものがあるのでしょうか?なぜおじさん構文を使ってしまうのかについて、理由を解説します。
おじさん構文はガラケー時代を踏襲している
おじさん構文が使われる背景や理由は、ガラケー時代を踏襲しているためといえるでしょう。おじさん構文を使う世代は、若いころはガラケーを愛用し、絵文字を使用して友人や恋人とメールを楽しんでいました。当時の『絵文字や顔文字がない文章は冷たい印象を与える』という認識が今も残っているのです。
また、若者に対して絵文字や顔文字を使うのは、気遣いや優しさを表現しているともいえます。
絵文字の多用は、おじさん世代では当たり前の文化でしたが、現代の若者の常識とは大きく異なります。若者がおじさん構文に違和感を抱いてしまうのは、ジェネレーションギャップであるとも捉えられるでしょう。
断られたときの気まずさ回避
おじさん構文に使われがちなフレーズや文章の長さには、対人関係の不器用さが表れているとも予想されます。
『ナンチャッテ』や『●●カナ?』といった表現を頻繁に行うのは、明言を避けるためと考えられます。親しくなりたいという気持ちがあるけれど、拒絶されるのを恐れているといった心理が絡んでいるのです。
下心があるケース以外でも、年の離れた部下に怖い上司と思われないようにと気遣った結果、遠回しな表現になったり文章が長くなったりしてしまうのかもしれません。
構成/編集部