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なぜ今、作るのか?うめきたエリアに開業する〝新しい大阪駅〟

2023.01.14

2023年3月に実施される各鉄道会社のダイヤ改正の概要が続々発表になった。関東では東急・相鉄の新横浜駅を経由する新線開業による、相互直通運転開始がトピックだ。7社局14路線に及ぶ、大規模な新規鉄道ネットワークのスタートが注目されている。一方で、西日本にも目が離せない。関西でもこれまでにない大規模な改革が実施されるのだ!

「うめきたエリア」に開業する新しい大阪駅

それが大阪駅の北側にある、「うめきたエリア」の再開発に伴う、新しい大阪駅の開業だ。これまでも「うめきた新駅」といった通称でも呼ばれていたが、正式には「大阪駅」であり、既存の大阪駅に新しいホームを追加するといったイメージが正しい。このうめきたエリアには、かつて梅田貨物駅があり、現在も東海道本線支線(梅田貨物線)という路線が通っている。大阪のど真ん中にあった広大な貨物駅を再開発し、新しいまちづくりに充てているかたちだ。

かつて「梅田貨物駅」があったうめきたエリア。この地下に大阪駅(うめきたエリア)が開業する

既存の大阪駅西側ホームを延長し、新駅方面へアクセス

大阪駅(うめきたエリア)は地下に作られ、合わせて梅田貨物線も地下化。地上部はビル建設や緑地公園化が予定されている。さらに新駅開業に伴い、大阪駅に新しくうめきたエリアに「うめきた地下口」、西側エリアに「西口」がオープンする。現在では駅施設の工事も佳境を迎え、実際の新規開業する駅構内、ホームのようすが報道陣に公開された。うめきたエリアに開業する新ホームには既存の大阪駅ホームからももちろんアクセス可能。目安として大阪環状線のホームから約8分程度で乗り換えができるとされている。

新設されるコンコース。柱のブルーのラインは「水の都」大阪をイメージ

実際のイメージパースとともに7・8番線は既存の大阪駅のホーム

こちらに「西口」ができる

新しい大阪駅、なぜ作る?

さて、そもそも大阪駅(うめきたエリア)はなぜ作るのだろう。地下に作られる新ホームは、今でも多くの人が使う大阪環状線や、JR京都線、JR神戸線といった路線は発着しない。地下ホームを経由する路線は、先述の東海道本線支線(梅田貨物線)という路線で、あまり旅客列車が走っているイメージがないかもしれないが、実はこの路線、とても重要な列車が走っている。

関空特急「はるか」と並んで、今も大阪駅のすぐそばを通りながらも無念にもスルーしている特急「くろしお」

それが関西空港と大阪・京都エリアを結ぶ、空港アクセス特急「はるか」だ。関西と世界を結ぶ関西空港には、JRと南海の2つの鉄道会社が乗り入れている。一方で、大阪側の起点を見てみると南海は〝ミナミ〟の難波駅、JRが運行する特急「はるか」は、天王寺を出ると梅田貨物線を経由して、大阪駅のすぐそばを通りながら「駅」がないためにスルーして、新大阪、京都へ向かっていた。JR大阪駅から鉄道で関西空港に向かおうとすると大阪環状線・阪和線を経由する「関空快速」が運行されているが、あくまで快速列車ということもあり、所要時間がかかり、特急車両のような快適な車内、混雑を回避できる指定席などの設備を持たないといった課題があった。それが大阪駅(うめきたエリア)の開業に伴い、ついに「はるか」が大阪駅に停車するようになる。これにより、大阪駅から関西空港へ向かう所要時間は関空快速を利用する場合に比べ、約20分短縮されるほか、指定席やグリーン車などを備えた、快適な特急車両で向かうことができる。さらに、同じく梅田貨物線経由で運行されている和歌山、白浜方面に向かう特急「くろしお」も新たに大阪駅に停車。大阪〜和歌山間については現在、主に「関空快速」と連結して走る「紀州路快速」が結んでいるが、これも特急「くろしお」を利用することで大阪→和歌山の移動が約33分短縮される。筆者も度々これら特急列車を利用してきたが、大阪駅を通らないというのは意外に面倒だった。これが解決するのだからうれしい開業だ。加えて、現在新大阪発着となっているおおさか東線も、大阪駅(うめきたエリア)に乗り入れる。

最新、先進設備が投入される新駅構内

そして大阪駅(うめきたエリア)には、駅構内には最新鋭の設備が多く導入される。利用者個々に合わせて表記が変わる行き先案内など、より「個」をフォローする先進的な案内設備も多く投入され、次世代旅客サービスの検討の場としても期待がされている。

2023年3月時点ではまだ開発が進んでいる状況の「うめきたエリア」の現在

うめきたエリアの地上部に新設される「うめきた地下口」

21番線ホームに設置された、さまざまなドア位置に対応可能な世界初のフルスクリーンホームドア

また、新設される21〜24番ホームのうち、21番ホームには、「とあるものが世界初」なフルスクリーンタイプのホームドアが設置されている。その高い安全性から各駅で設置が進むホームドアだが、その中でも天井からホーム上まですべてを遮断するように設置されるのがフルスクリーンホームドアと呼ばれている。柵というよりもはや壁といった存在なので、物理的に線路側に渡ることができず、最も安全性の高いホームドアと言えよう。しかし、敷設が大掛かりになり、さらにそのホームに発着する列車の乗降ドアの位置が揃っていないと、対応が難しいといった課題があった。しかし、今回新駅に導入されたホームドアは扉部分を収納する「柱自体」も含めて全てのドアがフレキシブルに動く方式を採用。これにより、特急車両や通勤形車両など、いろいろなドア位置に対応できるようになっている。

関西空港への新たなルートと「なにわ筋線」

これまで直通する列車は「関空快速」・「紀州路快速」のみだった大阪〜関西空港・和歌山のアクセス向上は、現在徐々に回復傾向が見られる海外からの旅行者需要をはじめ、2025年に開催が予定されている大阪万博開催時の利便性向上も期待されている。さらに2031年春開業を目指し、西本町、中之島を経由して南海線と大阪駅を結ぶ、新線「なにわ筋線」の建設も進められている。

2023年春、まずはうめきたエリアに開業する新しい大阪駅から、次の関西がはじまる!!

取材・文/村上悠太

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