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説明できる?「確定給付企業年金」と「企業型確定拠出年金」の違い

2023.01.13

人生100年時代、老後の生活費が足りるのかどうか不安を感じている方は多いはず。会社員として勤めている場合、「国民年金」のほか、会社員・公務員の年金制度「厚生年金」、各企業の「企業年金」に加入するが、企業年金については入社の際に事務的に加入手続きを済ませたものの、制度内容をよく理解していないという方も少なくないだろう。

そこで本記事では、企業年金制度の一つである「確定給付企業年金」に焦点を当て、詳しい制度の内容や種類、よく似た「企業型確定拠出年金」との違いについても解説する

確定給付企業年金とは?

まず、会社員が加入する企業年金の一種である「確定給付企業年金」とはどのような制度なのかを解説する。「規約型」「基金型」の2種類の違いについてもチェックしておこう。

企業年金制度の一種

確定給付企業年金は、確定給付企業年金法に基づいた企業年金制度の一つで「給付建て年金」や「DB(Defined Benefit Plan)」とも呼ばれる。国民年金や厚生年金など、20歳以上60歳未満の国民全員が加入することが義務付けられている公的年金に上乗せする形で、会社員や公務員が任意で加入できるのが特徴だ。

確定給付年金制度では、企業が掛金を拠出し、その運用と管理、退職後の給付までの責任を負担する。拠出金は退職時および年金給付時にのみ使用が可能で、企業の外部で管理される仕組みとなっている。

また、確定給付企業年金には「規約型」と「基金型」の2種類があり、それぞれ年金資産の管理・運用元が異なる。

規約型の特徴

規約型の特徴は、掛け金の管理・運用を生命保険会社や信託銀行などの受託機関が行うことで、企業の経営状況による年金の支給額および退職金の変動を防止できる点だ。基金型と比較すると導入要件が易しいため、運用しているのは中小企業が多い。支払いは退職後の従業員が企業へ請求することで実施される。

基金型の特徴

基金型の場合、母体である企業とは別に設立された企業年金基金が掛け金の管理・運用・給付までを行う。中立的な制度運営ができる点が基金型の特徴と言える。導入要件は規約型よりも厳しいため、運用しているのは大企業が多い。支払いは退職後の従業員が企業年金基金へ請求することで実施される。

確定給付企業年金と企業型確定拠出年金の違い

私的年金である企業年金制度には、先ほど紹介した「確定給付企業年金(DB)」の他にも「企業型確定拠出年金(DC)」と「厚生年金基金」の2つの制度が存在する。

3種類の企業年金制度の中でも、「確定給付企業年金(DB)」と「企業型確定拠出年金(DC)」の2つは、名称が似ていることもあり内容を混同しやすい。ここからは、2つの制度の特徴やそれぞれのメリット・デメリットについて詳しく見ていこう。

確定給付企業年金(DB)

確定給付企業年金の場合、企業が掛金を拠出し、運用は外部の受託機関または企業年金基金が行う。運用成果が確定給付額を満たさない場合は、企業が追加拠出しなければならない。確定給付企業年金制度について、従業員側、企業側のメリット・デメリットは以下の通りだ。

1.メリット

【従業員】

・給付額が確定しているため将来設計が立てやすい

・投資に関する知識がいらない

・退職時に一時金での受給が可能

【企業】

・退職金制度に合わせて制度設計ができる

・退職者に減額支給できる

2.デメリット

【従業員】

・業績や給与への影響が懸念される(積立不足により会社の補てんが発生した場合)

・掛金の運用状況が把握しづらい

【企業】

・外部の受託機関または企業年金基金の運営コストが高い

・補てんしなければならない場合がある(積立不足が発生した場合)

・退職給付債務の発生

企業型確定拠出年金(企業型DC)

企業型確定拠出年金は、企業が拠出した掛金を従業員自身が運用する年金制度だ。掛金については、上限は設定されているものの従業員側で上乗せすることもできる。資産運用はすべて従業員の自己責任で行われるものとされ、自身で運用商品の組み合わせや運用の指図を判断する必要がある。メリット・デメリットは以下の通り。

1.メリット

【従業員】

・自身で資産運用が可能

・積み立てた年金の原資を持ち運べるため、転職した場合も安心

・運用益、掛金は非課税

・退職による減額なし

・制度によって掛金額が変更できる

【企業】

・運用元が従業員のため運用コストが低い

・積立不足が発生した場合でも補てんする必要がない

・退職給付債務が発生しない

2.デメリット

【従業員】

・投資知識が必要

・受給額が運用成果次第となる

・60歳まで受給できず、途中で資金が引き出せない

【企業】

・従業員への継続的な投資教育費の負担がかかる

・退職者に対し減額支給ができない

※データは2023年1月上旬時点のもの。

※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。

文/編集部

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