1月3日の外国為替市場で、2022年6月上旬以来7か月ぶりに一時1ドル=129円台と、ドル安・円高水準となった。この先、ドル円相場はどんな展開が予想されるのだろうか。
三井住友DSアセットマネジメントはこのほど、同社チーフマーケットストラテジスト・市川雅浩氏がその時々の市場動向を解説する「市川レポート」の最新版として、「年明け早々に一時129円台をつけたドル円相場の行方」と題したレポートを発表した。レポートの詳細は以下の通り。
129円台のドル安・円高は概ね想定内、この先は日米金融政策がカギ
ドル円は2023年1月3日の外国為替市場で、一時1ドル=129円51銭水準までドル安・円高が進行した。ドル円が129円台をつけたのは、2022年6月上旬以来、7か月ぶりのことだ。市場では、日銀が先月、長短金利操作(イールドカーブコントロール、YCC)における10年国債利回りの許容変動幅を拡大したことで、今後も金融緩和の修正が進むとの見方が強まっており、これが円買いにつながったと思われる。
2022年12月26日付レポート「2023年のドル円相場見通し」で解説した通り、三井住友DSアセットマネジメントは2023年1-3月期のドル円相場について、期中レンジを121円~139円、期末の着地を130円と予想している。そのため、ドル円が新年早々に129円台をつけたことも、おおむね想定内の動きといえるが、ここから先のドル円相場の方向性は、やはり日米の金融政策がカギを握るとみている。
FRBは今年3月まで2回の利上げを経て来年は利下げへ、日銀は緩和修正を進めると予想
そこで、改めて日米金融政策について、三井住友DSアセットマネジメントの見方を整理する(図表1)。まず、米連邦準備制度理事会(FRB)は、2023年2月1日と3月22日に、それぞれ25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利上げを決定し、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標が4.75%~5.00%に達したところで、年内は据え置きを予想している。その後、2024年には毎四半期25bpの利下げを進めるとみている。
次に、日銀の金融政策について、三井住友DSアセットマネジメントは段階的に金融緩和が修正されていくと考えている。具体的には、2023年4月に政府と日銀が定めたアコード(共同声明)の見直しが行われ、2%の物価上昇目標の柔軟化が図られた後、現行政策の点検あるいは検証を経て、6月にマイナス金利の解除に踏み切ると予想している。なお、YCCは継続され、許容変動幅の上下0.5%も維持される公算が大きいと見込んでいる。
年前半に日銀緩和修正、年後半にFRB利下げの思惑が強まれば年末120円も違和感なし
三井住友DSアセットマネジメントの日米金融政策の見通しを踏まえると、2023年のドル円は、やはりドル安・円高方向に振れやすい展開が予想される。ただ、前述の通り、FRBがFF金利の誘導目標を4.75%~5.00%で年内据え置き、日銀がマイナス金利解除後もYCCを維持するのであれば、大幅なドル安・円高は回避されると思われ、実際、三井住友DSアセットマネジメントは2023年12月末の着地を129円とみている。
なお、先月の変動幅拡大後も、日本国債のイールドカーブ(利回り曲線)のゆがみは解消されていないため(図表2)、年前半は特に日銀の緩和修正の思惑から、円高が進みやすい地合いが想定される。仮にこの先、130円よりもドル安・円高水準が定着し、年後半にFRBの利下げの思惑がかなり強まった場合、三井住友DSアセットマネジメントの10-12月期予想レンジ(120円~138円)のドル下限である120円で2023年12月末を迎えても、さほど違和感はないと考えている。
出典元:三井住友DSアセットマネジメント
構成/こじへい
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