インド映画の代表作『ムトゥ踊るマハラジャ』(1998年公開)で印象的な〝歌って踊る〟演出は、ここ10年余りにおけるインドの経済発展に後押しされて磨きがかかったと、配給会社ツイン代表の加畑圭造さんは話す。
「特筆すべきは、弊社が配給した『バーフバリ』シリーズ(2017年に日本公開)です。最新の映像技術で観客を楽しませる娯楽大作として、日本でも多くのファンを獲得。声を出して盛り上がる〝絶叫上映〟も話題を集めました」
直近では最新作『RRR』が特に人気だ。日本で上映されたインド映画の史上最速となる観客動員数20万人を公開約1か月で突破。興行収入は3.5億円に達しており、『ムトゥ~』が記録した日本におけるインド映画興行収入歴代1位の4億円を超えそうな勢いだ。
「11月30日に新宿ピカデリーで行なわれた『RRR』の〈無発声応援上映〉は、チケット販売開始後、わずか5分で完売しました。何回も見たいと思わせる要素と、鑑賞後に元気が湧く爽快感で、多くのリピーターを獲得しています」
『RRR』を筆頭に、最近のインド映画は〝歌って踊る〟演出だけが見どころではない。奥深い人間ドラマやインドの社会描写が巧みに盛り込まれている点も、映画ファンに評価されている。2021年からはインド映画をはじめ、世界中の多様な作品を配信するサービス『JAIHO(ジャイホー)』がスタート。『ムトゥ~』『RRR』を支持する中高年のほか、インド映画が好きな20~30代の利用者も多い。
「これらの状況を知ったインドから売り込まれる作品が増えている」と加畑さん。今後どんな作品が上陸し、ヒットするのか楽しみだ。
使命遂行に燃える両雄の熱き友情と戦いを描く
『RRR』
大ヒット上映中!/配給:ツイン
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全世界で約220億円超の興行収入を記録している話題作。実在したインド独立運動の指導者をモチーフとするラーマとビームが主人公で、劇中歌「ナートゥ・ナートゥ」に合わせて披露するダンスや、鍛え上げられた肉体で果敢に立ち向かう格闘シーンは迫力満点!
CHECK POINT【1】人間ドラマ
友情と使命の狭間で両雄の心が揺れる
英国軍から少女を取り戻そうとするビームと、ある理由から英国占領下の警察で出世を目論むラーマ。ふたりは利害が相反する立場同士であることを、固い友情で結ばれた後に知る……。
CHECK POINT【2】社会描写
民衆の不満がくずぶるイギリス植民地下
舞台は1920年の英国領インド帝国。現実に起きた独立運動さながらに、インド人が激しい抗議行動を展開。大勢のデモ隊がバリケードを壊さんとばかりに警察署へ押し寄せる。