「なぜこれを全国でネットしないんだろう……」と感じるぐらいハイレベルなおもしろ番組が多い、地方局発のバラエティー番組。売れっ子芸人たちがキー局の番組では見せない表情で、斬新な企画や低予算の企画にチャレンジしている姿が新鮮だ。
特に注目してほしいのが、それぞれの地方に合った時間の速さがある点。東京キー局が制作するネット番組は、どの番組も「東京という街のスピード」で演出されている。一方、ローカルバラエティーはその地方の生活リズムに合わせた「速度」にしているのだ。東京より少しスローテンポな番組の進行が視聴者にとっては、むしろ心地よいというわけだ。
出演者たちもそのテンポ感を楽しみつつ「全国とは違う顔」を自由にさらけ出しているからおもしろい。
地方出身の視聴者は、出身地の「テンポ」に浸ることで癒されるだろうし、縁もゆかりもなくても、地方のバラエティーを見れば、旅先でテレビを視聴するような気分になってリラックスするのが上級者の楽しみ方だ。
さらに個人的に注目してほしいポイントは、東西のバラエティーには大きく2つの潮流があるということ。
大きな傾向として、東日本のバラエティー番組は北海道テレビの『水曜どうでしょう』をリスペクトしているものが多い。特に演出の中心に「場当たり的なチャレンジ」を置いているように感じる。全体的に「男っぽい」ものが目に留まるが印象がある。
それに対し、大阪や福岡を中心とする西日本のバラエティー番組には、35年の歴史を持つ『探偵!ナイトスクープ』(ACBテレビ)のDNAを受け継いでいるものが多い。
「検証」や「街でおもしろい人を探していく」というスタイルで、内容的にも比較的女性目線に立った「生活情報」を重視し、「街ネタ番組」を好む傾向があるように思う。
エリアによって異なる番組の演出を比較すると楽しさも倍増するはずだ。
HTB 北海道テレビ 『おにぎりあたためますか』
放送時間:毎週火曜24:15〜25:45
配信:TVer、U-NEXT、TELASA、hod
『水曜どうでしょう』スピリットをマイルドに継承!!
ご存じ、大泉洋と戸次重幸が出演する『水曜どうでしょう』の後継的な番組。HTBの高橋春花、室岡里美両アナウンサーを加えた「豚一家」が日本中の様々な店を食べ歩く。ローソンと提携したオリジナルメニュー開発も行なっている。
〈 ここが見どころ!!鎮目の〝目〟〉
『水曜どうでしょう』スピリッツを継承しつつも、女性アナウンサー参入など「女子目線」を加えた形でかなりソフトな形に進化した印象。見るとホッコリするオサレなフードエンターテインメント。
STV 札幌テレビ 『ブギウギ専務』
放送時間:毎週金曜深夜0:30〜0:59
配信:Hulu、YouTube
「母校への道」シリーズが人気!もはや風格さえ感じるおもしろさ
北海道で人気の「意味なし体当たりバラエティー」番組。上杉周大(専務ウエスギ)と大地洋輔(係長おおち)の2人が道行く人に出身校を聞いてその出身校に必ず行く「母校への道シリーズ」などシュールな企画に挑戦する。
DVDもvol.16まで発売中!
〈 ここが見どころ!!鎮目の〝目〟〉
『水曜どうでしょう』と並んで北海道で大人気の番組だが、「水どう」が好きな人は、むしろこちらにハマるのでは? という感じの男クササ全開のテイスト。放送開始から15年。安定のおもしろさです。