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TVerなど配信サービスの台頭で加速するボーダレス化!地方局のローカル番組はテレビ界の救世主となるか?

2023.02.13

今、地方局の番組がおもしろい! TVerなどの配信サービスの登場で、全国の放送局が制作したエッジの立った番組がどこでも見られるようになり、番組のレベルが劇的向上。今こそローカル番組を楽しまなきゃもったいない! そこでこの年末年始に見るべき地方発のおもしろ番組をテレビプロデュ―サーの鎮目博道さんに厳選してもらった。

元テレビ朝日プロデューサー・鎮目博道に聞くローカル番組の可能性

 かつて我々は「東京の番組がおもしろくて、地方のローカル番組はつまらない」と考えてはいなかったろうか? その原因は日本で長年続いてきた「キー局と地方局」という制度にあり、日本の番組は東京にあるキー局中心の〝理屈〟にしばられて制作されてきた。その理屈とは東京にあるキー局が「どの番組を全国にネットするか」を決定し、地方局はそれに従う──というもの。大部分の全国ネット番組は東京キー局ないしは大阪の準キー局制作だけなのが、その証。

 地方局は1日の放送枠の大部分を東京や大阪からネットされた番組をそのまま放送することで「埋める」しかなく、地方のローカル番組は日の目を見ることはあまりなかったのだ。

 しかし、TVerなどの配信サービスの登場で状況は大きく変わった。地方局が制作したローカル番組も全国で見られるようになったことにより、東京キー局を気にせず全国、いや全世界に向けて地方局が番組を制作・発信できるようになったのだ。

 ひとつの契機となったのが北海道テレビの『水曜どうでしょう』の成功だ。各局が全国の視聴者を意識して番組を制作する礎となった。

 民放連が視聴者を対象に行なった調査でも、エリア制限を設けず全国で常時同時配信が行なわれた場合、「キー局の番組を見たい人より地方局の番組を見たい人のほうがやや多い」という結果が出ており、ローカル番組への期待度が高いことがうかがえる。

 また、今やTVerだけではなく、地方局が独自で配信サービスを展開したり、中京4局の「Locipo(ロキポ)」や北海道の「hod」など、地域で連携して配信する例も増えてきた。おもしろい番組を制作して、生き残りを図ろうとする地方局の動きは活発化しているのは間違いない。

 これにより「オワコンともいわれる日本のテレビ」を救う可能性が出てきていると私は感じている。過渡期の今こそ、大注目のローカル番組を配信で見るべき時代が到来したのだ。

地方局

民放連による調査で「地方局を見たい」という視聴者はキー局の番組をやや上回る数となり、理由として「ローカル番組ならでは」の内容への期待感が強いことが見て取れる。

TVer

TVerでも「ご当地番組」は人気がある。また、これとは別に各地の放送局が独自の配信サービスを開始しており、おもしろいコンテンツの「取り合い」ともいうべき状況に。

鎮目博道さんテレビプロデュ―サー・ライター
鎮目博道さん
元テレビ朝日・ABEMAプロデューサー。現在はフリーランスでテレビ番組やWeb動画を制作し、テレビ批評記事も多数執筆。「民間放送連盟賞」の九州・沖縄地区審査員を務めたことでローカル番組のおもしさに目覚めた。

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取材・文/鎮目博道

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