「一気呵成で終わらせた」「一気呵成に登りつめた」のように、ビジネス書や小説・ゲーム等で時折見かける四字熟語「一気呵成」。知らないと読み方や意味がわかりにくいが、「一気呵成」で物事に当たる姿勢は、ビジネスパーソンとして重視されることが多い。言葉の意味をきちんと理解していると、教養として役立つだけでなく仕事の仕方を考える上でも良いヒントとなってくれるだろう。本記事では、一気呵成の意味と読み方、言葉の由来や使い方について解説する。
一気呵成の読み方と言葉の由来は?
一気呵成の読み方は「いっきかせい」。「一気」はひと呼吸を意味する言葉で、「呵」は短く息を吐くこと、かっと怒鳴ること、息を吹きかけることなどを意味する漢字だ。「成」が付くことで「成し遂げる」「かたちになる」の意味が追加される。
一気呵成の意味は「ひと息に仕上げること」
「一気呵成」は、呼吸に関連した言葉を複数使うことで「物事をひと息に成し遂げる」という意味になる。特に詩や文章、レポート作成、仕事など、やらなければならない作業をひと息に終わらせた達成感を感じさせる点が特徴だ。
例えば、「一気に仕上げる」と言うところを「一気呵成に仕上げる」と表現することで、言葉に重みが出ると同時に、スピード感を持って仕上げたニュアンスをより強調できる。
一気呵成の使い方・類語・対義語は?
知っているとなにかと役立つ「一気呵成」という言葉。実際に使う場合の例文や、似た意味の言葉(類語)、反対の意味を持つ言葉(対義語)も併せて覚えておくと、より表現の幅を広げられるはず。
一気呵成を使った例文
・明日の会議で使う資料なので、午前中に一気呵成で仕上げる予定だ。
・この小説は、昨晩、急にアイデアが降ってきて一気呵成で書き上げた作品です。
・その武将は、動揺した敵軍の中心へ一気呵成に攻め込んだ。
一気呵成の類語
一気呵成の類語には、「一気に」「ひと息に」という意味の言葉が該当する。「一挙に」「一度に」「いっぺんに」「またたく間に」「一瞬にして」「ただちに」「休みなく」「ぶっ通しで」などが代表例だ。
なお、一気呵成に似た四字熟語には「一瀉千里(いっしゃせんり)」がある。「瀉(しゃ)」は水が下に向かって流れる様子を表し、流れる水が千里(「里」は距離の単位で、一里は約3.93km、千里は約3,930km)に及ぶことから、物事が調子良く進むこと、一気にはかどることを指す。
「一気呵成」と「一瀉千里」を比較すると、一瀉千里の方は「偶然そうなった」というニュアンスがあり、努力して仕上げたという意味がやや弱まる。
また、一瀉千里には「弁舌や文章が巧みで、よどみない様子」という意味もある。「一気呵成」とはこちらの点でもニュアンスが異なるため覚えておこう。
一気呵成の対義語
一気呵成の対義語には、「じっくりと時間をかけて取り組むこと」「物事がうまくはかどらないこと」などの意味を持つ言葉が該当する。
・熟慮断行(じゅくりょだんこう)
「熟慮断行」とは、十分に考えた上で思い切って行うことを指す言葉。「熟慮」とはじっくり考えること、「断行」は思い切って実行することを言う。
・一進一退(いっしんいったい)
「一進一退」とは、進んだり後戻りしたりを繰り返すことを言う。作業や物事などが遅々として進まない様子を指し、病状などに対しても使われる。
・五里霧中(ごりむちゅう)
「五里霧中」とは、霧の中にいるように物事を把握・進展させる手がかりがつかめず、方針や見込みが立たないことを指す。
一気呵成を英語で言うと?
一気呵成を英語で表現する場合は、日本語の意味である「一気に」「ひと息に」などを英語に直した言葉が使える。
一気呵成の英語表現
・all at once(一度に、いっせいに)
・at a breath(一気に、ひと息に)
・at one sitting.(一回で、一気に)
文/編集部