目まぐるしく移り変わる人事トレンド。2022-2023年の今、人事領域において注目すべきキーワードとはいったい何か?
パーソル総合研究所はこのほど、2022-2023年に人事領域において注目される「人事トレンドワード2022-2023」として、「テレワーク」「DX人材」「人的資本経営」を選定したと発表した。
人事トレンドワード2022-2023
テレワーク
テレワークは、2020年に新型コロナウイルス感染防止のための緊急事態的な対策で一気に広がった。コロナ禍が収まってきたここ2年は、蓄積した組織課題を背景に、今後どうするかを占う壮大な社会実験のような極めて重要な時期だったといえる。
この間にテレワークの議論は、仕事に合わせた「ハイブリッドワーク」という個別最適のフェーズから「組織をどうマネジメントし、運営するか」という組織最適のフェーズに入るべきだったが、多くの企業が「定着させるか」「やめるか」の二元論に縛られ続けている。2022年は各社のスタンスと議論のレベル感の差がはっきり出たという意味で、記録に残したいと考え選定した。
DX人材
コロナ禍によりデジタル化が進み、バズワードとして見られていたDXが不可逆的な流れとして認識されている。人事としてはDX人材の採用に注力してきたところ、外からの採用に限界を感じ、社内育成に振り向けていく転換点の1年だったはず。
かねてからの人材教育費が、DX人材育成費に形を変え、多くの予算が下りるようになったのが2022年。DX人材が外部採用から内部育成の世界になってきたとはいえ、DXはそもそも既存のビジネスの変革だ。それをわかっていない人をいくら外部から採用しても機能しないことに各社気づき始めたところだ。
それと同時に、DXが「業務のデジタル化」や「デジタルリテラシー教育」くらいの意味に希薄化してイノベーティブなものから遠ざかっている。学び直しというテーマが、必要性を叫ばれるフェーズから、「現実的課題」へとようやく門戸を開いたのが2022年だ。そうした意味からDX人材を選定した。
人的資本経営
機関投資家や欧米先行という外圧によって、急速に注目が集まり、人事・経営が情報収集に追われた1年だった。よって、2022年は人的資本「開示」元年といえる。開示後数年は開示指標の経年変化や成長の度合い、独自性などが肝になる。
来年以降、成果に関する企業間の差も出てくると考えられ、人事にとっては投資家対策より実質的な議論を進める必要が出てくるため、2022年はその分水嶺に当たる年ともいえると考え選定した。
出典元:株式会社パーソル総合研究所
構成/こじへい