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「昭和レトロ」、「大正ロマン」、「明治モダン」など、昔のカルチャーを懐かしむ言葉は数多く存在する。現在、若者の間でトレンドとなっているのが「平成レトロ」だ。平成に流行したアイテムがミレニアル世代やZ世代の間で再ブームが起きている。
そこで本記事では、平成レトロの人気の理由や、再び注目を集めている懐かしの平成アイテム、さらに「懐かしさ」を売りにするレトロマーケティングの販売戦略について解説する。
平成レトロとは
「平成レトロ」とは、平成を懐かしく想う文化的風潮や、1989年~1990年代半ばにかけて流行ったものを現代に取り入れる風潮のこと。平成レトロを拡散しているのは、「ミレニアル世代(1980年代後半~1990年代半ば生まれ)」と「Z世代(1990年代後半~2010年代生まれ)」の主に2世代。
ミレニアル世代は幼少期に実体験した文化を懐かしみ、また、Z世代は現代の高性能なツールとは異なる製品に面白味を感じる現象が、現在の平成レトロブームに繋がっている。
平成レトロが若者に支持される理由
では、平成レトロが若者の間でここまで支持されるのはなぜだろうか。ここからは人気を集める3つの理由を見ていこう。
1.魅力的に見えるデザイン
平成レトロのデザインの特徴は、「無駄がいっぱいある」ところだ。Z世代の若者は、平成特有のピカピカしたアイテムやごちゃごちゃしたデザインに、現在のアイテムとの違いや新鮮味を感じ、心くすぐられているようだ。
2.前向きなイメージ
平成文化の一種であるギャル文化から、前向きなイメージを受け取っている令和の若者は多い。トレードマークのガングロやルーズソックス、派手で明るい色彩のファッションは、世間で再評価されている。
3.人とのつながり
インターネットの発達や、新型コロナウイルスの感染拡大によって、近年では対面型のコミュニケーションの機会が減少しつつある。ミレニアル世代は、幼い頃に使っていたおもちゃや懐かしいグッズを再び手に取り、幼少期に友人と遊んだ時の楽しい思い出に浸ったり、同世代の仲間と平成ネタで盛り上がったりすることで、人とのつながりを感じているようだ。
特徴的なアイテム
平成レトロブームにより、かつて流行した商品が再び脚光を浴びる現象が起きている。人気が再燃しているアイテムとしては以下の3つが代表的だ。
1.写ルンです
「写ルンです」は、平成初期に大ヒットした、使い捨てのフィルムカメラ。売り上げのピークは1997年で、その後はカメラ付き携帯の普及とともに生産を大幅に縮小していた。しかし近年、平成レトロブームを発端に再び写ルンですブームが到来。画質の粗さやレトロな写り、撮り直しができないアナログ感に魅せられる人が多い。
2.たまごっち
「たまごっち」は1996年に発売された、手の平サイズのキャラクター育成ゲーム機。発売翌年の1997年には「新語・流行語大賞」トップテン入りを果たし、発売後2年半で世界での累計販売数が4,000万個を超える大ヒットとなった。しかし、1998年にはブームが去り、一度は生産を終了。2004年には、ターゲット層を女子高生から女子小学生に変更、さらに通信機能を新たに搭載したモデルが再ヒットし、現在も売れ続けている。たまごっちで遊んでいた頃を懐かしんで、子どもと一緒に遊んでいるミレニアル世代も多い。
3.プロフィール帳
「プロフィール帳」は、友人に名前や誕生日など、自己紹介を書いてもらった紙を集めて楽しむバインダー式の手帳のこと。現在、対面でのコミュニケーション手段の一つとして再び注目されている。令和版のプロフィール帳は、「SNSのID」や「好きな動画」など、今ならではの項目が追加されているのが特徴。また、令和らしい表現「推し」を使い、好きなアイドルを記入する項目があるのも現代的と言える。
懐かしさを売りにする、レトロマーケティングとは?
「平成レトロ」や「昭和レトロ」のように、当時の懐かしさや親しみやすさから消費者のポジティブな感情やイメージを引き起こし、商品やサービスの購入に繋げる手法のことを「レトロマーケティング」と呼ぶ。ここからはレトロマーケティングにおける効果的な販売戦略2つを紹介しよう。
「復刻版」で購買意欲を高める
レトロブームにおいて見かける機会が多い商品が、元の姿を再現した「復刻版」だ。復刻版の魅力は安心感・限定感・懐古感の3つ。消費者は過去にヒットしたブランド品に信頼と「今購入しないと手に入らない」や「懐かしい」などの感情を抱くため、復刻版に魅力を感じやすくなる。
古さと新しさの絶妙なバランスにより新たな価値を創造
2021年に発表された明治安田総合研究所の「若者のレトロ消費とブランド・マネジメント」によると、古さと新しさの両者のバランスが取れた場合に、消費者の中で製品に対する好ましい感情が生まれるという。また、歴史的ノスタルジアと新奇性の調和が取れた製品やサービスは、消費者側に良いイメージを与えるだけでなく、他にはない独自のブランドを確立することにも繋がる。
※データは2022年12月下旬時点のもの。
※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。
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文/編集部