四字熟語には、古代中国に由来するものも多く存在する。最近では、歌詞や店舗の名前として使用されている「虎視眈々」も古代中国に由来する言葉の一つだ。
本記事では、虎視眈々の意味と由来、同じ意味を持つ四字熟語、対義語について解説する。正しい意味と使い方を理解し、日常生活でも役立ててほしい。
虎視眈々とは?
まずは、虎視眈々の読み方と意味、由来について見ていこう。
虎視眈々の読み方と意味
虎視眈々の読み方は「こしたんたん」。チャンスを逃さないように、機会を窺うという意味だ。「出世の機会を虎視眈々と狙う」のように、「〜を狙う」とセットで使用されることが多い。
虎視眈々は、2つの言葉に分かれる。一つは「虎視」。読んで字の如く、虎の目を表す。もう一つは「眈々」。虎が目を鋭く光らせる様子を意味する。虎視眈々はこれら2つの意味が組み合わさり、虎のような鋭い目つきで獲物を観察するという意味を表す。そこから転じて、目を光らせて機会を待つという意味も持つようになった。
虎視眈々の由来
虎視眈々の由来は、中国古代の『易経』という書物にある。『易経』は、四書五経と呼ばれる儒教の経典の一つ。古代中国の占いについて述べられた本だ。虎視眈々は、「顚に頤るるも吉なり。虎視眈眈、其の欲、逐逐たれば咎無し」という形で登場する。訳は、「上に立つ者が下に立つ者に面倒を見てもらうこともいいことだ。虎のように鋭く目を光らせて自分の徳を磨き続ければ問題はない」となる。
虎視眈々は、現代においては下の立場の人が上の立場を狙うために使用されるケースが多いが、元々は上の立場の人間が寝首を掻かれないように使われていた言葉だったようだ。
虎視眈々の類語・対義語
同じ四字熟語には、虎視眈々の言い換え表現は存在しない。しかし、似たような意味を持つ言葉や逆の意味を表す言葉はある。それぞれ順番に見ていこう。
虎視眈々の類語
虎視眈々の類語としては、以下の3つの熟語や慣用句が挙げられる。
- 持満
読み方は、「じまん」。もともとは弓道に由来する言葉だ。弓を十分に弾いて構えることから転じて、十分に準備して機会を待つことの意味で使用される。
- 雌伏
読み方は、「しふく」。雌は「メスの鶏」、伏は「うつ伏せの状態」を表す。「メスの鶏がうつ伏せでひたすら耐えている状態」から転じて、我慢の期間を過ごしながら機会を待つという意味で使用されるようになった。
3.息を潜める
息を潜めるは、存在がバレないように息を抑えてじっと待つ意味を表す慣用句だ。「息」は吐息、「潜める」は隠れるの意味。息を潜めて待つことから転じて、機会をうかがうという意味も持つ。
虎視眈々の対義語
虎視眈々は、機会を待つという意味を持つ。機会を待つの対義語については「諦める」があてはまるだろう。ここでは「諦める」の意味を持つ慣用句を2つ紹介する。
1.匙を投げる
諦めるという意味の慣用句で、「さじをなげる」と読む。匙は、調剤用の匙を指す。薬を調合する匙を医者が投げ出すの様子から、見込みがないと判断して手を引くという意味を表す。
2.お手上げ
「お手上げ」は、どうしようもないと判断して、諦めるという意味の慣用句。両手を上げて降参することが由来だ。「お手上げ状態」と使われることが多い。
虎視眈々の英語表現は?
虎視眈々を英語で表現するには、「vigilantly」とするのが適当だろう。vigilantlyは、警戒を表す名詞 vigilantの副詞。「警戒して」、「用心深く」などの意味を表す。
また、「虎視眈々と狙う」を英語で表現する場合、「vigilantly watching for an opportunity 」となる。「用心深く」を表す 「vigilantly」 に、「機会を狙う」という意味を持つ「watching for an opportunity」を組み合わせた形だ。
文/編集部