電気式やコンポスト型など!『生ごみ処理機』を取り入れてSDGsな暮らしにシフト
日本の一般ごみの約3割は生ごみです。
水分を多く含む生ごみは、重さにするとなんと2,000万トン以上。その総重量は廃棄車よりも遥かに重く、燃えにくいため処理するのには多くのエネルギーが必要になるといいます。
そんな生ごみの量を減らすべく、家庭で使えるアイテムとして今注目を集めているのが『生ごみ処理機』です!
というわけで今回は、今話題の生ごみ処理機をご紹介。電気式やコンポスト型など種類による違いやメリットデメリットをまとめました。記事の後半では、SNSで人気の「LFCコンポスト」の使い方についてメーカーさんにインタビューをしているので参考にしてください。
生ごみ処理機を取り入れるメリットとは?
生ごみ処理機とは、本来生ごみとして捨てている食べ残しや食材クズを乾燥させて水分のない状態にしたり、微生物による分解を促して処理をしやすくするアイテムです。
乾燥や分解することで生ごみ特有の悪臭を防ぎ、約1/7~1/10程度にまでごみの量を減らすことができます。
【生ごみ処理機の主なメリット】
- 生ごみが原因のニオイや虫対策ができる
- 肥料(堆肥)として再利用できる
- 家庭から出るごみの量を減らすことができる
- ごみ処理に使うエネルギーの削減に繋がる
- CO2排出量の削減に繋がる
- 自治体によっては助成金が出る
生ごみ処理機を使うメリットは多く、家庭内の生ごみに関する悩みや環境問題などに広くアプローチしてくれます。例えば生ごみを放置したときの嫌なニオイや、生ごみから発生する虫対策ができるのは主婦(夫)にとってかなり嬉しいポイント!
ガーデニングや家庭菜園をやっているお家であれば、肥料(堆肥)として再利用できるのも良いところです。子供が小さいときはどうしても食べ残しが増えるので、再利用することで食材を無駄にしてしまう罪悪感も減りそうですよね。
さらに、家庭から排出される生ごみが少なくなれば、ごみの焼却処理に使用するエネルギーを節約することができ、CO2排出量の削減にも繋がります。
生ごみ処理機を購入すると助成金が出ることもある!(※対応は各自治体による)
自治体によっては、生ごみ処理機の購入費用に対して助成金を申請することができるのも大きなメリットです。
自己負担が少ない状態でSDGsへの取り組みをはじめられることもあり、ここ数年で生ごみ処理機を取り入れる家庭はじわじわと増えはじめているといいます。
参考までに、生ごみ処理機の助成金制度がある主な自治体の条件をまとめました。助成金の有無や上限額、条件、申請方法などが異なるので、必ず購入前にお住まいの自治体の公式サイトで確認しておきましょう。
【東京都】
- 千代田区…上限30,000円(購入金額の2/3)、手動式も対象
- 港区…上限20,000円(購入金額の1/2)、コンポスト型も対象、中古品は対象外
- 台東区…上限25,000円(購入金額の1/2)、コンポスト型は上限10,000円(購入金額の1/2)、申請多数の場合は抽選
- 品川区…上限20,000円(購入金額の1/3)、使用状況についてのアンケート協力が条件
- 足立区…上限15,000円(購入金額の1/2)、中古品は対象外
- 荒川区…上限20,000円(購入金額の1/2)、購入前の申請が必要
他
【関東】
- 神奈川県川崎市…上限10,000円(購入金額の1/2)、コンポスト型は基材も対象
- 神奈川県横須賀市…上限30,000円(購入金額の1/2)、非電動式は上限30,000円(購入金額の3/4)、基材・送料・消費税なども含む
- 千葉県千葉市…上限35,000円(購入金額の1/2)、コンポスト型は上限4,000円(購入金額の2/3)
- 千葉県流山市…上限30,000円(購入金額の1/2)、コンポスト型は上限6,000円(購入金額の1/2)
- 埼玉県さいたま市…上限20,000円(購入金額の1/2)、非電気式は上限4,000円(購入金額の1/2)
- 茨城県水戸市…上限20,000円(購入金額の1/2)、非電気式は上限3,000円(購入金額の1/2)
他
【その他の地域】
- 北海道札幌市…上限20,000円(購入金額の1/2)、コンポスト型は上限2,000円、事前申請が必要、抽選方式
- 長野県伊那市…上限25,000円(購入金額の1/2)
- 大阪府岸和田市…上限20,000円(購入金額の1/2)、非電気式は上限3,000円(購入金額の1/2)
- 京都府舞鶴市…上限20,000円(購入金額の1/2)、非電気式については記載なし
- 岡山県倉敷市…上限30,000円(購入金額の1/2)、非電気式は上限5,000円(購入金額の2/3)
- 福岡県久留米市…上限20,000円(購入金額の1/2)、登録販売店からの購入が条件、事前申請が必要
他
自治体によっては登録店以外での購入は助成金対象外になるケースや、購入前の申請が必要なケースもあります。
※上記の対象地区は一例です。こちらに記載のない自治体でも生ごみ処理機の助成金制度がある場合があります。
※上記の情報は抜粋であり、2022年12月時点のものです。申請条件など詳細については必ず各自治体の公式サイトにてご確認ください。
家庭用生ごみ処理機の種類と特徴、コンポストとの違いとは?
広義で生ごみ処理機と呼ばれるものには、電気式と電気不要のコンポスト型とがあります。
電気式生ごみ処理機は生ごみを処理する「家電製品」という扱いですが、コンポストは生ごみを処理して堆肥に変えるための「入れ物(道具)」であるところが大きな違いです。電気式生ごみ処理機は家電量販店やホームセンターなど、コンポストはホームセンターや大型園芸店などで販売されていることが多いです。
しかし、メディアやショップではコンポストを「電気が不要な生ごみ処理機の1つ」として扱っていることも少なくありません。どちらも広い意味で家庭内で生ごみを処理できるアイテムとして比較され、人気を集めています。
電気式生ごみ処理機は処理方法の違いによってさらに3種類のタイプに分けられ、電気代や処理スピード、音などに特徴があります。
【電気式生ごみ処理機】
処理方法 |
電気代 |
本体価格 |
処理スピード |
ニオイ |
稼働音 |
堆肥化 |
乾燥式 |
△ |
〇 |
◎ |
焦げたニオイ |
△ |
△ |
バイオ式 |
〇 |
〇 |
△ |
発酵したニオイ |
〇 |
◎ |
ハイブリッド式 |
〇 |
△ |
〇 |
あまり気にならない |
〇 |
◎ |
【コンポスト型】
処理方法 |
電気代 |
本体価格 |
処理スピード |
ニオイ |
稼働音 |
堆肥化 |
バイオ式 |
◎無料 |
◎ |
△ |
発酵したニオイ |
◎無音 |
◎ |
*
■乾燥式
熱や温風で生ごみの水分を蒸発させ、乾燥・減量させる仕組み。比較的処理スピードが速く、本体価格が手ごろでコンパクトなのがメリット。
デメリットは電気代や稼働音、堆肥化に時間がかかる点、処理容器を洗う必要がある点など。
例:家庭用生ごみ処理機(パナソニック)/パリパリキュー(島産業)/パリパリキューブライトアルファ(島産業)/ルーフェン(ALPACA)など
■バイオ式
バイオチップと呼ばれる基材と生ごみを混ぜ、微生物によって水と炭酸ガスに分解・減量させる仕組み。自動でかき混ぜる電気式と、手動でかき混ぜが必要なコンポスト型がある。
コンポスト型であれば本体価格は数千円~と安く、電気式の場合も乾燥式に比べると電気代が安いものが多い。処理後の生ごみはすぐに堆肥として使えるのもメリット。
デメリットは処理に時間がかかる点や、バイオチップの交換などの手間がかかる点。使用方法を誤ると上手く分解・熟成されずニオイや虫が発生するリスクがある点など。
例:バイオクリーン(スターエンジニアリング)/エココンポスト(アイリスオーヤマ)/LFCコンポスト(ローカルフードサイクリング)/自然にカエル(エコ・クリーン)など
■ハイブリッド式
基材の中に生ごみを投入し熱を加えて分解・減量させる、乾燥式とバイオ式の特徴を兼ね備えた仕組み。乾燥式に比べて安い電気代と、バイオ式よりも早い処理スピードを実現。ニオイも軽減され、コンパクトで運用の手間が少ないのもメリット。
商品の選択肢が少なく、現状では本体価格が10万円以上する高額なものが主流である点がデメリット。
例:ナクスル(DENZEN)/フーリエン(イデアルビジョン)など
*
それぞれメリット・デメリットがありますが、ニオイについては「無臭」ではないと考えておいた方が良いです!よくいわれるのが、野菜は気にならなくても魚や肉を生ごみ処理機で処理したときは少しニオイが気になるというものです。
もちろん各メーカーでは、できるだけ処理中や処理後の生ごみのニオイを軽減する商品を開発しています。よって、生ごみを放置したときのような悪臭や腐臭は感じないケースがほとんどです。しかし、バイオチップのニオイや食材を熱で焦がしたようなニオイなど、処理方法に起因するニオイはどうしても発生してしまうことがあります。
それを「くさい」と感じるかどうかは個人差なので、ニオイに対して神経質な人は利用者の口コミなどをよくチェックすることをおすすめします。
堆肥として使うなら「コンポスト型」がおすすめ
バイオ式やハイブリッド式で処理した生ごみは分解・熟成されて堆肥となり、土壌改良などに使用することができます。
同じ生ごみ処理機で処理した生ごみでも、乾燥式だけは少し性質が異なるので注意が必要です。乾燥式生ごみ処理機で処理された生ごみは水分がなくなりカラカラの状態になるため、堆肥として使用する場合は1度水分を含ませて土の中で熟成させる必要があるのです。
熟成といっても基本的には土に埋めた後、散水して2週間程度放置しておけばOKなので難しいことはありません。とはいえ、すぐに堆肥として使用したい場合には乾燥式生ごみ処理機は不向きといえるでしょう。
もし、生ごみ処理機を取り入れる目的の1つがガーデニングや家庭菜園に再利用することなのであれば、おすすめなのはコンポスト型です。
電気が必要なバイオ式は商品の選択肢が少なく、ハイブリッド式は大型で高価なものがほとんどです。その点コンポスト型は数千円~と安価な商品がたくさん販売されており、ライフスタイルに合わせてデザインや容量、熟成方法などを選ぶことができます。
コンポスト型の注意点としては、「土いじり」の作業に近いということです。スイッチを入れるだけでOKな電気式と違い、土を掘り起こして生ごみを投入したり、かき混ぜる作業が必須になります。生ごみの分解者である虫の発生も避けて通れません。
虫嫌い・土嫌いな人にはまず向かないのがコンポスト型ですが、もともとガーデニングのような「育てる」作業が好きな人にはむしろうってつけといえます。
非電気式ならではの手作業の楽しさがあり、投入した食材による状態の違いや熟成していく様子をじっくり観察できるのもコンポスト型ならではです。
SNSで話題の「LFCコンポスト」のメーカーさんにお話を聞いてみた!
一般的にはバケツやごみ箱のようなデザインが多いコンポスト型。そんななか、ファスナー式のトートバッグ型という珍しいスタイルで注目を集めているのが「LFCコンポスト」です。
画像提供:ローカルフードサイクリング株式会社(https://lfc-compost.jp/)
おしゃれでコンパクトな見た目はインテリアにも馴染むと人気で、インスタグラムの口コミも高評価。キャンプなどのシーンにも持って行ける使い勝手の良さで着々とファンを増やしているのだとか。
今回は、そんなLFCコンポストの取り扱いメーカー・ローカルフードサイクリングのご担当者様にコンポストの使い方についてお話を伺ってみました。
1.LFCコンポストはどのような方におすすめですか?
「都会のベランダでもできるバッグ型のコンポストが、LFCコンポストです。
コンパクトであることからマンションにお住まいの方にもご利用いただいており、悪臭の発生を抑える独自の配合基材(生ごみと混ぜ合わせる原料)や水や虫の侵入を防ぐ特注のファスナーなどで、コンポストが初めての方でも続けやすい工夫をしております。
画像提供:ローカルフードサイクリング株式会社(https://lfc-compost.jp/)
また、コンポストは暮らしの中で自分でできることを増やす一つの選択肢にもなっております。SDGsや気候変動という言葉は知っているけれどどう行動したらいいかわからない、そんな人にも実体験を持って行動に移せるツールとしても選んでいただいております。」(ローカルフードサイクリング ご担当者様)
2.LFCコンポストを使って上手く堆肥を作るコツなどはありますか?
画像提供:ローカルフードサイクリング株式会社(https://lfc-compost.jp/)
「商品自体がシンプルな仕様で、初心者でも取り組みやすくしています。1日約400gの生ごみの量を目安に、投入から熟成まで、全てがこのバッグで行えます。LFCコンポストは、ベランダなど屋外でご使用いただくことと、継続的にご利用いただくことが、堆肥を作るコツです。1日1分のコンポスト活動で、エコロジーな暮らしが実現できます。」(ローカルフードサイクリング ご担当者様)
3.一般的に、コンポストは悪臭の発生やゴキブリ・コバエなどが気になる点かと思います。商品を開発される際、独自に行われた工夫や対策などはありますか?
「独自の配合基材(生ごみと混ぜ合わせる原料)で生ごみ自体の分解を速く、臭いが少ない設計にしています。
画像提供:ローカルフードサイクリング株式会社(https://lfc-compost.jp/)
虫のご不安については、完全密閉が可能な特別仕様のファスナーを使用しておりますので、しっかりとしめてください。
コンポストに取り組まれるのは初めての方も多く、”興味はあるけど、不安もある”というお声は少なくありません。
画像提供:ローカルフードサイクリング株式会社(https://lfc-compost.jp/)
LECコンポストでは、全国に公認のコンポストアドバイザーがおりますし、日々皆様が楽しくコンポストをしていただくためのLINEサポートがあり、お困りごとや不安などをお気軽にご相談いただけます。
また、専門家が行うコンポスト講座(有料)もございます。」(ローカルフードサイクリング ご担当者様)
生ごみ処理機は手軽にはじめられるエコ活動
SDGsへの取り組みが本格化するなか、注目度が急上昇している生ごみ処理機。ちょっとした新習慣で、自分にも地球の未来にも良いことができるなんてなんだか素敵ではないですか?
「生ごみは捨てるもの」という考えをシフトして、楽しみながら手軽なエコ活動をはじめてみてはいかがでしょうか。
■ローカルフードサイクリング株式会社
「都会でもできる簡単、便利でシンプルなコンポスト」をテーマにLFCコンポストを開発。オンラインショップでの販売の他、様々なイベントやワークショップを通じて食循環の実感と価値を届け、継続を支援する取り組みを行う。
■ウェブサイト https://lfc-compost.jp/
■インスタグラム https://www.instagram.com/lfc_compost/?hl=ja
文/黒岩ヨシコ
編集/inox.