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所得税の基礎控除って何?今さら聞けない控除の仕組みと申告方法

2023.01.06

年末調整や確定申告の時期になると、よく見聞きする「基礎控除」という言葉。所得税の「基礎控除」は、15種類ある所得控除のうちの一つで、日本で所得税の納税義務がある人全員に関わる制度だ。2020年1月には税制の改正により、基礎控除の内容も変更になっているが、最新の基礎控除内容について知らない方も多いのではないだろうか。

そこで本記事では、基礎控除の基本的な知識や申告方法、その他の所得控除の種類についてもわかりやすく解説する。正しい知識を身につけ、受けられる控除の申告漏れがないようにしよう。

基礎控除は所得控除の一種

まず、1年分の所得税の金額を決める際に重要な要素となる「基礎控除」とは何かを理解しておこう。併せて紹介する年収に応じた基礎控除額や、控除を受ける方法もぜひチェックしてほしい。

そもそも所得控除とは

所得控除とは、年末調整や確定申告において所得税額を計算する際、収入から経費や給与所得控除を引いた後の合計所得金額より、さらに差し引ける項目のことを指す。合計所得金額だけで税額を決めるのではなく、国民一人ひとりの支出や事情に応じた税額を設定することを目的とした制度だ。

基礎控除額の金額はいくら?

2019年以前の税制では、合計所得金額に関係なく、控除額は一律で38万円に設定されていた。しかし、2020年1月施行の税制改正により、以下のように合計所得金額に応じて基礎控除額も変わる仕組みとなった。

【基礎控除額】

(1)合計所得金額2,400万円以下…48万円

(2)合計所得金額2,400万円超え~2,450万円以下…32万円

(3)合計所得金額2,450万円超え~2,500万円以下…16万円

なお、2,500万円を上回る収入の人については基礎控除の対象外となった。

基礎控除の適用を受けるには?

基礎控除の適用には、確定申告または年末調整時に基礎控除額の金額の記入が必要だ。基礎控除金額の記入欄については、それぞれ以下の通り。

1.確定申告

確定申告書第一表「所得から差し引かれる金額」のうち「基礎控除」欄

2.年末調整(会社員など)

「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」のうち「基礎控除申告書」欄

基礎控除の申告方法

次に、基礎控除を受けるための申告方法について見ていこう。ここでは、会社員が行う年末調整で必要な「基礎控除申告書」の書き方を紹介する。

基礎控除申告書とは

基礎控除申告書とは、3種類の申告書が一つになった「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」のこと。記載されている「給与所得者の基礎控除申告書」欄に必要事項を記入し、申告する。

この用紙が提出されるのは「扶養控除等申告書」を提出した企業(主たる給与の支払者)のみだ。

基礎控除申告書の書き方

基礎控除申告書の記入欄は以下の7項目。それぞれの項目の意味や書き方を理解しよう。

【「あなたの本年中の合計所得金額の見積額の計算」欄】

1.給与所得の収入金額

・当該年の1月~12月中の給与収入の見積額を記入する。

給与のうち、非課税額である通勤手当などは除外する。

2.給与所得の所得金額

・「1.給与所得の収入金額」から給与所得控除額を差し引いた金額を記入する。

給与所得控除額は収入によって異なるため、用紙に記載されている計算式を参考にするのが一般的だ。

3.給与所得以外の所得の合計額

・給与所得以外の所得があれば合計額を記入する。

記載雑所得、事業所得、以前の職場での退職所得などが該当するが、確定申告で手続きする場合が多い。

4.本年中の合計所得金額の見積額

・「2.給与所得の所得金額」と「3.給与所得以外の所得の合計額」の合計金額を記入する。

【「控除額の計算」欄】

5.判定

・「4.本年中の合計所得金額の見積額」の見積額を用紙に記載されている表で確認し、該当項目にチェックを入れる。

6.区分Ⅰ

・「5.判定」でA、B、Cのいずれかの区分に該当した場合、該当した区分のアルファベットを記入する。

1,000万円超の区分に該当する場合、記入は不要。

7.基礎控除の額

・「5.判定」で該当する区分に記載されている控除額を記入する。

さまざまな所得控除制度

所得控除は基礎控除の他にも14種類ある。確定申告の際には控除できる項目をあらかじめ確認した上で、申告漏れがないようにしたい。所得控除の種類と対象者は以下の通り。

  1. 雑損控除

災害・盗難・横領により資産の損害を受けた場合

  1. 医療費控除

本人または生計を同じくする配偶者・親族に一定額以上の医療費の支払いがあった場合

  1. 社会保険料控除

本人または生計を同じくする配偶者・親族について社会保険料の支払いがあった場合

  1. 小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済の掛金の支払いがあった場合

  1. 生命保険料控除

生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料の支払いがあった場合

  1. 地震保険料控除

地震保険料の支払いがあった場合

  1. 寄付金控除

国・地方公共団体、特定公益増進法人などに寄付を行った場合(ふるさと納税を含む)

  1. 障害者控除

控除対象配偶者・扶養親族が障害者である場合

  1. 寡婦控除

ひとり親に該当しない寡婦である場合

  1. ひとり親控除

本人がひとり親である場合

  1. 勤労学生控除

学校に通いながら働いている場合

  1. 配偶者控除

配偶者の合計所得が48万円以下である場合(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)

  1. 配偶者特別控除

納税者の合計所得が1,000万円以下かつ配偶者の合計所得が48万円超133万円以下である場合

  1. 扶養控除

16歳以上の子どもや、親などの親族を扶養している場合

※データは2022年12月下旬時点のもの。

※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。

※製品およびサービスのご利用はあくまで自己責任にてお願いします。

文/編集部

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