最近は「夫婦共働き」を選択する人が増えたこともあり、妻が夫並みに稼ぐ「パワーカップル」という言葉が聞かれるようになりました。
「パワーカップル」の定義は、はっきりと決まっているわけでないのですが、「夫婦ともに700万円以上」「世帯年収1000万円以上」程度の収入がある世帯を「パワーカップル」と呼ぶ傾向があります。
一般的には世帯収入が高いことから「裕福」だと思われがちなパワーカップルですが、実は、「パワーカップルなのに貯められない」という人が意外と多いのです。
ここでは、これまで様々な家計相談をお引き受けしてきた経験から、「パワーカップルなのに貯蓄ができない家計の特徴」を具体的なエピソードとともに紹介します。
「パワーカップル」なのに貯められない家計の特徴
一般的な世帯よりも高収入な「パワーカップル」なのに、貯められない家計には以下のような特徴があります。
■貯められないパワーカップルの特徴1)お互いの収支を知らない
筆者がこれまでお話を伺った「貯められないパワーカップル」のうち、圧倒的に多い特徴は「お互いの収支を知らない」ことです。
最近は、プライバシーなどの問題もあり「お互いに給料の明細もみせませんし、口座にいくら入っていて、毎月いくら使っているかも知りません」「夫婦であってもお互い自由に生活したい」という人が意外と多いのです。
このようなパワーカップルは、独身時代から自由な家計管理を行っており、結婚しても「独身時代と同じような家計管理」を継続する傾向があります。
夫婦で収支を共有しないことで、プライバシーも、お金を使う自由も保たれますが、反面、「自由に使えるお金が多すぎることで貯蓄がおろそかになる」という傾向も否めません。
このような家計であっても、「お互いに収入の何割は必ず貯蓄する」「子どもの教育費などで大きな出費があった場合に備え、夫婦共同の貯蓄口座を持っておく」など何らかの対策ができている人は良いのですが、そうでない人は「夫婦ともに散財してしまう傾向」が強いため、貯蓄とは縁遠い生活を送ることになります。
■貯められないパワーカップルの特徴2)ローンが多すぎる
筆者がこれまでお話を伺った「貯められないパワーカップル」では、「ローンが多すぎることにより貯められない」という人も多く見られました。
夫婦ともに高収入ですから、一般的な相場より高めの住宅でもローンが組めてしまいますし、夫婦ともに互いが知らないところでローンを組んでいたりすることもよくあることです。
夫婦そろって高い収入を得られるほど「仕事ができる人」が多いので、「自分たちには稼ぐ能力があるのだから、いくら使っても大丈夫。お金がなくなったら都度稼げばいい」と考えて派手な生活をしていた人も過去にいらっしゃいましたが、そのご夫婦は50歳を過ぎてからご夫婦ともに健康上の問題が出てしまったことで、ローンなどの返済が難しくなり一気に貧しい生活に転落してしまいました。
夫婦ともに高収入の状況が長期間維持できればローンが多くても完済することができますが、どこかで健康上や会社の経営状況などの理由で収入が減ってしまうと大きな問題になることがあります。
「お互いに相手が貯めているだろうと高をくくっていて、相手がこれほどの借金を抱えているとは全く知らなかった」という人も多く、「貯められないパワーカップル」では、「どちらかの収入が少しでも減ったら破産する可能性が高い」という人が非常に多く見られます。
■貯められないパワーカップルの特徴3)交際範囲が広い
さらに、「貯められないパワーカップル」では、「交際範囲が広すぎることで貯められない」という人も多く見られます。
収入が多いことでお付き合いが増えるのも仕方がない部分はありますが、「夫婦そろって交際範囲が広すぎる」と、こちらも「使うお金が多くなりすぎる」傾向があります。
「週末は友人とバーベキューやホームパーティーをしたり、時には一緒に旅行に行ったりすることもあります」という人もおり、ご友人との楽しいイベントが多いのは大変に結構なことなのですが、お金が貯められないことに悩んでいるなら、無理をして必要以上の交際を続ける必要があるのか検討するべきでしょう。
なかには友人からの誘いを断るのが苦手で、「友人のお子さんが習い事を始めたので、我が子も同じ習い事をお付き合いでさせている」などと言う人もいて、本来、お子さんの興味や関心に合わせて選択すれば十分な習い事さえも、お付き合いの一環として過剰になってしまう人も見られます。
■貯められないパワーカップルの特徴4)家計管理に興味がない
これは、「パワーカップル」かどうかにかかわらずに言えることですが、貯められない人は「家計管理に興味がない人が多い」という特徴もあげられます。
とくに「パワーカップル」は、収入が多い分だけ「少額なお金に鈍感」になりやすく、「欲しいものを欲しい時に購入しており、自分がいくら使っているか分からない」という人も多く見られます。
いくら入ってくる収入が多くても、出ていくお金に制限がなければ、あっという間にすっからかんになります。
「パワーカップル」といっても、セレブのような生活を送っているわけではなく、「住居費」や「教育費」が一般的な世帯より高い程度で、実際に使えるお金は一般的な収入の人と変わらないという人も多く、家計管理をしていないことで「どこかの支出が過剰になっていることで貯蓄ができていない」ということに気がついていない人も多く見られます。
もちろん、「どれだけお金を使ってもお金がたまり続けて困る」という人は、家計管理をする必要はありませんが、「収入が少ないわけではないのに、貯まらない」「お金が入ったら出ていく自転車操業になっていて苦しい」と悩んでいるなら、家計管理にも関心を持ちましょう。
貯められる「パワーカップル」になるには?
一般的な世帯よりも収入が高いはずなのに貯められない「パワーカップル」の人も多いのですが、収入が多い分、家計管理をしっかりすれば「改善の効果も得やすい」という特徴もあります。
いくら「夫婦のお金に関するプライバシーを守りたい」という人であっても、夫婦ともに貯蓄ゼロでは心配なのではないでしょうか。
互いの守りたいプライバシーは守りつつ、貯蓄額や貯蓄の計画だけはしっかり共有するなど、お互いに協力できるところは協力していくことが大切です。
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文/家計簿・家計管理アドバイザー あき
著書に「1日1行書くだけでお金が貯まる! 「ズボラ家計簿」練習帖(講談社の実用BOOK)」「スマホでできる あきの新ズボラ家計簿(秀和システム)」他