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チケットの転売は違法行為なのか?覚えておきたい不正転売禁止法のボーダーライン

2022.12.30

チケット不正転売防止法(※)では、コンサートやスポーツイベントなどの入場券につき、不正転売を禁止しています。

ただし、すべてのチケット転売が違法となるわけではありません。あくまでも、「特定興行入場券の不正転売」に当たるチケット転売のみが違法とされています。

今回は、チケット不正転売防止法の規定に沿って、違法なチケット転売とはどのような行為であるかをまとめました。

※正式名称:特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律

1. 不正転売が禁止される「特定興行入場券」の要件

チケット不正転売防止法により、不正転売が禁止されている「特定興行入場券」とは、以下の要件をすべて満たすチケットを指します(同法2条3項)。

(1)芸術・芸能・スポーツイベントの入場券であること
(2)不特定または多数の者に販売されること
(3)興行主の同意のない有償譲渡禁止が明示されていること
(4)日時・場所が指定されていること
(5)入場資格者または座席が指定されていること
(6)氏名・連絡先を確認した旨が表示されていること

これらの要件を一つでも満たしていないチケットは、チケット不正転売防止法による規制の対象になりません。各要件について、もう少し掘り下げます。

1-1. 芸術・芸能・スポーツイベントの入場券であること

チケット不正転売防止法による規制の対象になっているのは、芸術・芸能・スポーツイベントの入場券です。

「芸術」の例としては、映画・演劇・演芸・音楽・舞踊などが挙げられます。

1-2. 不特定または多数の者に販売されること

「特定興行入場券」に該当するのは、不特定または多数の者に販売される入場券のみです。

たとえば、身内のごく少数向けに販売される入場券は、チケット不正転売防止法による規制の対象になりません。

1-3. 興行主の同意のない有償譲渡禁止が明示されていること

興行主がチケットを販売する際、興行主の同意のない有償譲渡(転売)を禁止する旨を明示した場合のみ、不正転売が禁止されます。

さらに、興行主の同意のない有償譲渡禁止の旨は、チケットの券面または電子チケットの画面上にも表示しなければなりません。

なお、単に「営利目的の転売を禁止する」などと記載するだけでは不十分で、「興行主(主催者)の同意のない有償譲渡(転売)を禁止する」旨を明記する必要があります。

1-4. 日時・場所が指定されていること

イベントの日時と場所が指定されていることも、「特定興行入場券」の要件とされています。

たとえば入場日が指定されておらず、チケットを持参すればいつでも入場できるとされている場合には、チケット不正転売防止法による規制の対象になりません。

1-5. 入場資格者または座席が指定されていること

入場資格者または座席のいずれかが指定されているチケットのみが、チケット不正転売防止法による規制の対象になります。

チケットを持ってさえいれば入場でき(入場資格者が限定されていない)、かつどこに座っても構わない、あるいは自由に移動できるようなケースは、チケット不正転売防止法による規制の対象外です。

1-6. 氏名・連絡先を確認した旨が表示されていること

さらに、興行主が以下の事項について確認措置を講じ、その旨をチケットの券面または電子チケットの画面上に表示することが必要です。

(1)入場資格者が指定された興行入場券
・入場資格者の氏名
・入場資格者の電話番号、電子メールアドレスその他の連絡先

(2)座席が指定された興行入場券
・購入者の氏名
・購入者の電話番号、電子メールアドレスその他の連絡先

<表示例>
「入場資格者(購入者)の氏名・連絡先を確認済みです。」

2. 「特定興行入場券の不正転売」とは?

チケット不正転売防止法では、「特定興行入場券の不正転売」が禁止されています(同法3条、2条4項)。

特定興行入場券の不正転売とは、以下の要件をすべて満たす行為です。

(1)特定興行入場券であること
対象のチケットが、前述の6要件をすべて満たしていなければなりません。

(2)転売について、興行主の事前の同意を得ていないこと
興行主の事前同意がある場合は、不正転売に当たりません。

(3)興行主による販売価格(定価)を超える有償譲渡であること
定価以下の金額で転売する場合は、不正転売に当たりません。

(4)業として行うこと
反復継続して転売を行っている(またはその予定がある)ことが、不正転売の要件とされています。1回限りの転売行為については、不正転売に当たりません。

3. 特定興行入場券の不正転売に科される罰則

特定興行入場券の不正転売をした場合は、「1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金」に処され、またはこれらが併科されます(チケット不正転売防止法9条1項)。

特定興行入場券の不正転売を目的として、他人から特定興行入場券を譲り受ける行為についても、同様に処罰の対象です(同法4条、9条1項)。

なお、日本国民が日本国外において特定興行入場券の不正転売(またはそれを目的とした譲受け)を行った場合も、チケット不正転売防止法違反により処罰されます(同法9条2項)。

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
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