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世界でもTOP10に入る知られざるお茶大国、自由で楽しいベトナム茶の魅力

2022.12.25

■茂木雅世のお茶でchill out!

先日、多様なお茶が一堂に会するティーフェスティバルを訪れた際に、ベトナムの地で作られたという美しいお茶に出会いました。お茶とともに並べられていたのは、ベトナムの地でお茶を育てている人達の写真。中でも、思わず釘付けになったのは、山深い茶畑の中で真剣な眼差しでお茶を摘む人達が収められた1枚の写真でした。

切り取られた一瞬の風景から感じたしなやかな強さと尊さ。
“この人達がつくるお茶を飲んでみたい”と直感的に感じた私は、吸い寄せられるようにお茶に近づいていました。

そこは、ベトナムの山岳地帯で育った高品質なベトナムシングルオリジンティーを扱うunithe(ウニテ)のブース。ベトナムのティーブランドHATVALA(ハトヴァラ)のお茶を日本で唯一輸入するインポーター兼専門店です。

ずらりと並ぶお茶は、紅茶、烏龍茶、緑茶、白茶と種類も豊富で、どれもこれも飲んでみたいという気持ちにさせてくれるストーリーのあるお茶。

迷いに迷ったあげく、その日は、野生の紅茶をベースにベトナム産の6種類のスパイスをミックスさせたというベトナムチャイを購入したのですが、それからというもの頭の中はベトナムのお茶のことばかり…すっかり気になる存在になっていました。

後日、スパイスティーとしてチャイを飲んでみると、これがまた想像以上のおいしさで、ますます知りたい欲が掻き立てられた私は、気が付くと「ベトナム茶についてお話を聞いてみたい」とunitheの代表である武谷朋子さんにコンタクトを取っていました。

武谷さんはなぜ、日本でベトナムのお茶を発信しているのか…。
お話を伺っていくと、そこには、知られざるベトナム茶の美しい世界が広がっていました。

自由で楽しいベトナム茶との出会い

大学在学中から年に数回は必ず旅に出ていたという武谷さん。ベトナムと出会ったのも旅なのか…というと、そうではなく、家族の転勤でベトナムに移住することになったことがきっかけだったといいます。

実はベトナムは、世界でもトップ10に入る程のお茶生産大国でもあり、街中の食堂では、食事にあわせてアイスグリーンティーを頼む人が多いのだそう。“こうでなければいけない”という堅苦しさは全くなく、飲み方のアレンジも豊富。茶器も各々、好みのものを使って飲んでいるのだとか。

コーヒー好きだったこともあり、最初はおいしいベトナムコーヒーを探し求めていたという武谷さんでしたが、現地のコーヒーが少々濃すぎたことに加えて、自由なお茶のカルチャーに触れているうちに、いつしかおいしいベトナムのお茶を探し求めるように。

そうして出会ったのが、ベトナム北部の山岳地帯を中心とした、小規模な農園でつくられる高品質のお茶のみを扱うHATVALAというティ―ブランドでした。

プレミアムな野生茶を通じてベトナムを知る

ベトナム・ホーチミンシティに本店を構えるHATVALAは、お茶好きが集うことでも知られる名店。お店で取り扱っているお茶の多くが、ベトナム北部の山岳地帯を中心とした、小規模な農園でつくられる野生茶です。

全て手で丁寧に摘み取って作られるベトナムシングルオリジンティーは、その土地ごとの味わいを愉しむことができるプレミアムな茶葉ばかり。中にはコミュニティの中だけで飲まれてきたため、通常一般的には出回らないお茶もあるといいます。

HATVALAのオーナーと話しているうちにベトナム茶の楽しさと奥深さを知った武谷さんは、やがてお茶作りに向き合う人達のもとにも足を運ぶようになっていきました。

お茶を通じて、ベトナムという国の文化や土地のことを知り、お茶に携わる人達との出会いがうまれていく。そんな日々を過ごす中で、湧き上がってきたのは「こんなにも面白いお茶の世界があることを、もっと多くの人に伝えたい」という想いだったといいます。

2017年、既に帰国していた武谷さんは、unitheを立ちあげ、日本ではほとんど知られていない、ベトナムの上質なお茶を嘘偽りなく、丁寧に届ける活動をスタートさせました。

受け継がれる技術が“本物”と呼ばれる味わいをうみだす

unitheを通じて、初めてベトナムのお茶に触れた私がなにより驚いたのは、まるでアート作品のように手間ひまかけて作られる、華やかで美しいお茶が多いということ。

例えば、「オータムジェイドジャスミンティー」はハザン省フィンホというところで摘まれた高品質な野生緑茶の上に、ハノイにある西湖のほとりに咲くジャスミンの花を重ね、香りづけしたというジャスミンティー。

こうしたお茶のためだけに自らのガーデンでお花を育てる職人が存在しているといい、花の香りが一際強くなる開花直前を狙って摘み取っては、その馥郁たる香りをお茶へと移していくのだそう。

もちろん香料は一切使わず天然の香りのみ。全て手作業で行われています。そうして作られたジャスミンティーは、香りのあるお茶が苦手という人さえも虜にするほど、上品で繊細な味わいを放ちます。

その他にも、道路が舗装されていない山岳地帯にあるため、足を運ぶことさえ難しい産地のお茶や満月が3回あらわれるまで(三か月間)軽い焙煎を少しずつ重ねて作り上げる、スリームーンズウーロンティーなど、自然と人とが一体にならなければうまれない、飲む側にもトキメキを与えてくれるお茶がベトナムには多く存在しているのです。

大量生産はできないものの、本物と呼ばれるものだけを真摯に作り続けている人達がいる。初めてベトナム茶を目にした時に感じた「尊さ」の理由はこんなところにあったのかもしれません。

unitheが掲げる「おいしい茶葉をもっと手軽に自由に楽しむ」というコンセプトは、武谷さんがベトナムで触れた、自由にお茶を楽しむカルチャーからインスパイアされたもの。

インポータ―として日本の環境に合わせたお茶の時間を提案しつつ、素晴らしいお茶をそれぞれが自由に楽しむマインドも共に届けたいという武谷さんの想いが伝わってきます。

茶葉のパッケージには、その土地のものやベトナムの歴史にまつわるものが描かれており、読み取っていくのも面白い時間です。

「飲むとハッと感覚が開くような味わいのお茶ばかりなので、ワクワクしながら楽しんでもらいたいです。例えば、ジャスミンティーにライムとお砂糖をプラスして飲むアレンジもとてもおいしくておすすめです。これからもお茶を通じて楽しくておいしい瞬間を届けられたらいいなと思っています。」
そう語る武谷さんの笑顔を見ていると、これを機に、もっと自由にお茶と戯れてみようという気持ちになってくるから不思議です。

お茶が見せてくれる世界は本当に広い。まだまだ知らないことがたくさんある。
だからこそ面白い。
自分の中の「お茶」という概念がガラリと変わる、とても貴重な体験でした。
お茶を飲みながら、ベトナムに想いを馳せる日々はしばらく続きそうです。

unithe⇒https://unithe.theshop.jp/
Photo (c) HATVALA / Tomoko Taketani

「茂木雅世のお茶でchill out!」連載一覧

【著者プロフィール】
茂木雅世 もき まさよ

煎茶道 東阿部流師範・ラジオDJ
2010年よりギャラリーやお店にて急須で淹れるお茶をふるまう活動を開始。現在ではお茶にまつわるモノ・コトの発信、企画を中心にお茶“漬け”の毎日を過ごしている。お茶×音楽ユニットYuge〻のメンバーとしても活動中。
趣味は暮らしの中に取り入れやすいサステナブルアイテムを探求することとバスケ観戦。
Instagram:https://www.instagram.com/moki98per/
Twitter:https://twitter.com/ocharock

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