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ブラジル発、胃が痛くなるくらいダークなNetflixのミステリードラマ「グッドモーニング、ヴェロニカ」

2022.12.25

Netflixで人気のハーラン・コーベン原作ドラマや北欧ミステリードラマなど、見た後に重々しい気持ちになるダークな本格ミステリーがお好みの方は必見。

2022年8月3日よりシーズン2がNetflixで独占配信中の『グッドモーニング、ヴェロニカ』は、ブラジルで製作されたミステリー・ドラマ。

原作は、犯罪学者イラナ・カゾーイと小説家ラファエル・モンテスの共著による同名小説(原題は『Bom Dia, Verônica』)。

※残酷なシーンが多く含まれるため、苦手な方はご注意を

<あらすじ>

ブラジル、サンパウロ。警察の殺人課に勤務する事務官ヴェロニカ・トレス(タイナ・ミューレル)は、単調な仕事内容に退屈しながらも、私生活では夫と子どもに囲まれ平和な暮らしを送っていた。

しかしある日、警察署に相談しに来ていた一般市民の女性が、制止しようとしたヴェロニカの目の前で拳銃自殺する。

「理想の愛なんて存在しない」という謎の言葉を遺して。

この事件をきっかけに、ヴェロニカが忘れようとしていた過去のつらい記憶が甦る。

さらにその直後、ヴェロニカは助けを求める女性から匿名の通報を受ける。

居ても立っても居られなくなったヴェロニカは、事務官でありながら事件の捜査を開始。

自殺した女性が、ある出会い系サービスを利用していたことなどが明らかになっていく。

さらにヴェロニカは、匿名の通報をしてきた女性がジャネチという名前であり、裏の顔をもつ夫ブランダオン中佐に支配されていることも突き止める。

<見どころ>

二つの事件を主軸に、主人公ヴェロニカを含む複数の人間たちの過去と現在が複雑に絡み合うサスペンス・ミステリー。

人間の暗い欲望と正義の心が激しくぶつかり合う様を、スリルたっぷりに描いている。

特に恐ろしいのが、ジャネチの夫ブランダオン中佐。

表では社会的地位があり尊敬されている人物なのだが、裏では猟奇的な儀式に妻を無理やり付き合わせている異常者だ。

全く異なる二つの顔を使い分けているブランダオン中佐は、人間が抱える底知れぬ闇を見せつけてくる。

ヴェロニカが追いかける事件は極めて陰惨なものばかりだ。

しかし彼女の優しく正義感の強い性格が、本作の暗すぎる世界観の中に差し込む希望の光となっている。

そしてヴェロニカと対比的に登場するのが、警部のアニータという憎たらしい女性だ。

才色兼備なのだがとても高圧的で意地が悪く、それどころか人間らしい温かさや情などが一切感じられない氷のような性格をしている。

「事務官のくせに」とヴェロニカのことを何かと虐めてきたり、傷ついた被害者をさらに追い詰めるような取り調べをネチネチと行う。

アニータの得意技は、人の古傷をえぐること。

途中から見るのも嫌になってくるアニータだが、ヴェロニカの性格を引き立たせるスパイスのようなキャラクターとも言える。

エピソードが進むにつれて、当初予想していたより遥かに規模が大きく闇深い話に発展していく本作。

怖がりの筆者などは手足に冷や汗をかくだけでなく胃痛まで感じながら鑑賞。

途中、「いくらなんでも残酷すぎるのではないか?」とも思ったが、明らかになった真相が酷ければ酷いほど、そんな世界から娘を守ろうとしたヴェロニカの父親の深い愛情に涙せずにはいられなかった。

本作が気に入った方には、似た雰囲気の作品として同じくNetflixの『イノセント』や『忽然と』、『チェスナットマン』などもお勧めしたい。

なかなか解けない謎に首をかしげながらも鑑賞しているうちに、点と点を結ぶ線が少しずつ浮かび上がってきた時の快感は、入念に練られた上質なミステリー・ドラマならでは。

Netflixシリーズ『グッドモーニング、ヴェロニカ』
独占配信中

文/吉野潤子

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