■連載/ゴン川野の阿佐ヶ谷レンズ研究所
SONY「α7RV」 vs Canon「EOS R6 MarkII」
40コマ/秒の高速連写Canon「EOS R6 MarkII」+「RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM」+「RF800mm F11 IS STM」
Canonから「EOS R6」が発売されたのは2020年8月、それから2年半で「EOS R6 MarkII」が発表された。注目なのは連写速度がEOSシリーズ中で最速の40コマ/秒になったことだ。画素数はEOS R6の2010万画素より増えて2420万画素になった。逆に重量は10g軽量化され670g。これは野鳥撮影に最適と判断して、定番の超望遠ズーム「RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM」と小型軽量ハイコスパな単焦点「RF800mm F11 IS STM」を合わせて借用した。カワセミの撮影は写真家の小平尚典氏に協力してもらいSONY「α7RV」でも同じ被写体を狙った。条件を揃えるため撮影には三脚または一脚を使用した。
「RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM」は通常400mmの望遠端が500mmまであるのがミソ
カメラボディ込みの撮影重量はレンズの三脚座を外して2032g、手持ちでも撮影できる
長さもSONYの600mmより短めだ。ただしリングの動きはSONYの方が滑らかだった
実勢価格約13万円で買える800mm、とにかく軽い。条件によってはAFがやや遅くなる
沈胴式なので撮影時は伸ばして使う。フードは別売だが同時購入をオススメする
撮影重量は1959gと約2kgしかない。手持ちで振り回せる超望遠レンズなのだ
撮影にご協力いただいた小平さん、手にするのはSONY「FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS」
秒40枚の連写はやっぱり凄かった!
野鳥撮影で威力を発揮する連写速度は、20コマ/秒あれば早いと感じられるが、カワセミは動きが俊敏なので30コマ/秒は欲しい。EOS R6 MarkIIはフルサイズで40コマ/秒が使えるので、まさに最強である。さらに今回は試さなかったが、RAWバーストモードを初搭載して、0.5秒前からのプリ撮影をRAW30コマ/秒で実現。ちなみにメカニカルシャッター使用時は12コマ/秒になる。
まず確かに連写速度は早い。こちらに向かってくるコサギを連写すると、頭の上を通り過ぎるまでAF追従しながら撮影できた。これならオオタカの飛翔も捉えられると確信した。さらに動きの速いカワセミも高確率でピントが合っていた。全画面AFエリアなので、被写体検出後は最大画面100%でのトラッキングしてくれる。AFの追従性はSONY「α7RV」よりも優れていると感じた。また開放絞り値F11の800mmでもAFは快調で夕方まで問題なくピントが合った。
川岸から飛び立とうとするコサギ。500mmでもこのサイズにしか見えない
RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM Canon EOS R6 MarkII 1/4000sec、F8、ISO1600
こちらに向かって飛んできたところを連写、コサギの目にピントが来ている
RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM Canon EOS R6 MarkII 1/4000sec、F8、ISO8000
1/4000秒でピタリと動きが止まり、ピントも非常にシャープだった
RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM Canon EOS R6 MarkII 1/4000sec、F8、ISO8000
池に佇むアオサギ。100-500mmの100mmで撮影
RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM Canon EOS R6 MarkII 1/8000sec、F5、ISO10000
上と同じ構図でズーミングして500mmで撮影。ISO感度2万だが明るいためノイズは見られない
RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM Canon EOS R6 MarkII 1/8000sec、F8、ISO20000
上と同じ位置から単焦点800mmで撮影。解像度が高く文句のない画質、10万円台のレンズとは思えない
RF800mm F11 IS STM Canon EOS R6 MarkII 1/500sec、F11、ISO2500
豊富な交換レンズと軽量ボディが魅力
実際にEOS R6 MarkIIと100-500mmで撮影すると取り回しが楽で手持ちでも撮れるためフットワークが軽くなる。800mmはさらに軽いのだが、単焦点レンズなのでズームよりも撮れる範囲が限られる。今回、カワセミを撮影した場所では、800mmがちょうどいい焦点距離で500mmや600mmでは物足りないことがあった。まあ、そんな時はテレコンを使えばいいのだが、画質で考えればズームレンズにテレコンより単焦点レンズを使った方が良さそうだ。
SONY「FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS」と「RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM」を比較すると鳥を撮る場合は100mmのアドバンテージがある600mmが有利だが、レンズが重いので三脚前提になる。フットワーク重視なら500mmに軍配が上がる。例えばカワセミなら100-500mm、オオタカなら200-600mmか800mmの単焦点が使いやすい。SONYのレンズはボケがキレイで、ズームリングやフォーカスリングの回した感じもなめらかで気分がいい。Canonは重かったり、ひっかかったりすることがある。カメラ側の描写はSONYの方が柔らかい感じで、Canonは高感度になるほど描写が硬いので、野鳥にはSONYの描写が好ましく思えた。飛んでいる鳥に対してのAFの追従性はEOS R6MKIIの方が優れている。また連写性能でも圧倒的に有利である。超望遠レンズも単焦点で400mmから1200mmまで揃っている。ハイコスパな600mmと800mmがあるのも貴重だ。EOSシリーズは野鳥を撮るためのシステムが充実していると言える。
ISO感度1万2800まで上げると画面はやや硬調になるが、解像度は高いままだ
RF800mm F11 IS STM Canon EOS R6 MarkII 1/1250sec、F11、ISO12800
カワセミが飛び出す瞬間も捉えられた。RF800mmはなかなか頼りになるレンズだ
RF800mm F11 IS STM Canon EOS R6 MarkII 1/1250sec、F11、ISO12800
ペレットを吐き出すカワセミなのだが、こちらにはペレットが写っていなかった
RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM Canon EOS R6 MarkII 1/800sec、F7.1、ISO1250
枝にとまるカワセミ。背景のボケ味はSONYの方が美しい
RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM Canon EOS R6 MarkII 1/2000sec、F8、ISO8000
枝から飛び立ったカワセミ。185mmとやや引き気味で連写している
RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM Canon EOS R6 MarkII 1/2000sec、F5、ISO5000
逆光で枝にとまろうとするジョウビタキ。この条件でもピントが合うとは思わなかった
RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM Canon EOS R6 MarkII 1/2500sec、F8、ISO4000
飛翔するカワセミ。コンスタントにこのような画像が撮れたら文句はない
RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM Canon EOS R6 MarkII 1/4000sec、F7.1、ISO6400
写真・文/ゴン川野