2022年の米国株はまさに激動の年でした。
これまで米国経済を長く苦しませた高インフレ問題を改善するために、FRBは厳しい利上げを実施してきました。そして12/13に発表された11月米CPI(消費者物価指数)において、総合・コアともに市場予想を下回る結果となったのです。
これにより、年初から苦しめられてきた米国経済の高インフレが鈍化したことをしっかり確認できたことは、先行きの不透明さを嫌うマーケットにとって大きなプラス材料です。
特に米国株投資家は長く待ち望んだ安心材料をようやく得たのではないでしょうか。
しかし短期の相場を見た場合、日本人投資家にとってはもう一つ大きな出来事がありました。
それは12/20に日銀がサプライズで金融緩和修正に踏み切ったことです。
発表前に事前報道や市場予測に全く組み入れていない動きであったことで、市場関係者を驚かせる展開へ繋がりました。今回の修正により日銀がこれまで続けてきた金融緩和が終わることを意味しており、発表直後に1ドル137円から1ドル132円台へと一気に円高が進みました。
こうした急激な円高はドル建て投資をしている米国株投資家にとっては運用額が目減りすることになります。通常、年末が近くなると各国の中央銀行が新たな金融政策を発表することはほとんどないため驚いた方も多いのではないでしょうか。
このように2022年は日本人投資家にとって波乱が続いた年であったといえるでしょう。
FOMCの内容と注目ポイント
FOMC(米連邦公開市場委員会)とは米国の景況判断や政策金利などの金融政策を決定する会合であり、年8回開催されます。米国は資本主義の覇権国であるため世界の金融マーケットにも大きな影響を及ぼします。
直近では12/13-14に開催された今回のFOMCの注目ポイントは、インフレ退治のために実施している利上げ動向でしたが、結果的に市場の予想通り利上げの縮小(0.75%→0.50%)が決定しました。またFRBパウエル議長は一貫して利下げのタイミングに関しても慎重な姿勢を崩しませんでしたが、市場予想では2023年の後半にも利下げが始まることが有力視されています。
これは長期で見た場合、米国マーケットには大きなプラス材料です。
今回のFOMCの内容は米国株投資にはポジティブに働くと考えられ、今後どのように株価に織り込んでいくのか注目です。
そのため日本人投資家としては円高によるドル建て資産の減少はあるものの、これから円高によって米国株を安く購入できると発想の転換をする時期ではないでしょうか。
こうした前提を踏まえて来年の米国株の動向を解説していきます。
2023年の米国株の注目ポイント
2023年は高インフレが解決する年になると考えられますが、ここで注意しなければならないのがインフレ問題が解決したからといって米国の景気が拡大局面になるとは限らないことです。
なぜなら今後数年間にわたってたびたび高インフレの波がやってくることも可能性としては考えられるからです。また景気が拡大しないからといって株価が上がらないとはいえません。
むしろ悪材料の出尽くしによって株高の米国マーケットになることが予想されます。
その一方、景気が悪化するとドル安トレンドになるため、ドルと逆相関関係にある新興国株や金に注目が集まりやすい年になることが予想されます。
そのためこの数年続いた米国株一強のトレンドからの転換年になる可能性が高いことを、投資家としては意識しすことが大切な心構えになるのではないでしょうか。
また投資にもグロース株投資とバリュー株投資というタイプが異なる考え方があるため、知っておくだけで投資をする際の参考になるのため次の項目で解説していきます。
グロース株投資とバリュー投資の考え方
グロース株投資とは今後も高成長が見込まれる銘柄に投資をする手法であり、バリュー投資とは本来の企業価値よりも割安な銘柄に投資をする手法です。
それぞれに投資に対する考え方が違うため解説していきます。
【グロース株投資】
グロース株投資の特徴は、購入したい銘柄の四半期決算が好決算であったかを確認した後に購入する手法です。また買うタイミングとしてよく勘違いされるのが、株価上昇中の「押し目買い」です。本来のグロース株投資とは該当銘柄が新高値を更新したタイミングだからです。
そもそも新高値とはその銘柄に新たな価値が付いた瞬間であり、ほとんどの投資家に利益がある状態です。もちろん新高値を起点に株価が下落して結果的に高値掴みをして損をすることもありますが、こうしたグロース株投資のルールを守ることで結果的には勝率が上がるはずです。
株を売却するタイミングとしては四半期決算でアナリスト予想を下回る悪い決算が出たときです。
そのため過度に購入した株に執着して売却するタイミングを逃さないようにする必要があります。
【バリュー株投資】
バリュー株投資の特徴は株価が安いときに購入するというシンプルな手法です。しかし筆者としてはグロース株投資よりも遥かに難しいのがバリュー株投資であると考えます。
実際、株価が下落しているときになぜその銘柄が下落しているのか、企業の内在価値を分析する必要があるからです。これは熟練した投資家でも本当の意味でバリュー投資ができる方はほんの一握りだと思います。例えばコロナ禍で観光や航空産業は大きなダメージを受けていましたが、そのタイミングで株を購入できたでしょうか?こうした様々な事象を分析する力が必要となります。
バリュー株投資の売るタイミングとして本来の価値から割高になったときです。
そのため企業価値の見極めがとても重要になる上級者向けの投資といえるでしょう。
テクニカル分析のキホン
ここでは投資家がチャートを見るときに参考にしているテクニカル分析のキホンについて解説します。そもそもテクニカル分析ではどの指標を見れば良いのかというと、多くの投資家が見ている指標を例外なく見ることです。
具体的には移動平均線とカップウィズハンドルの2つを覚えておきましょう。
まず移動平均線ですが、必ず50日と200日移動平均線を見てください。これは米国株投資家であれば必須の移動平均線です。仮に該当銘柄のチャートが50日移動平均線を割った場合は200日移動平均線まで下落する可能性があります。反対に50日移動平均線を上回った場合は強気な姿勢で買い増しする投資家が多くなります。
次にカップウィズハンドルですが、米国株投資家の多くが重視しており、チャートが取手のついたコーヒーカップのような動きを見せる王道のテクニカル手法です。
テクニカル手法は様々な手法がありますが、この2つは知っておくべきテクニカル分析のキホンです。
おわりに
毎年のことながら年末が近づいて思うことは、常に経済は動き続けているということです。
日々テクノロジーは進化し、新たな産業が生まれ、好景気と不景気を繰り返しています。
そのとき肝に銘じておかなければならないことは「今回こそ違う」という投資家の思い込みほどあてにならないものはないということです。
その時代によって成長する分野は異なりますが、絶えずトレンドは次へ次へと移行していることは今後も変わらないはずです。
その前提に立てば、投資とは常に学び続けることではないでしょうか。
マーケットとは自分の思い通りにならないことばかりです。
だからこそ真摯に向き合い続けることをマーケットから学べるのではないでしょうか。
お金とは人生を豊かにするためのツールだと筆者は考えます。
ぜひ投資を続けて欲しいと願っています。
ライター/鈴木林太郎
編集/inox.
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