12月24日は学校給食記念日って知ってた?
今日は待ちに待ったクリスマスイブ。恋人やパートナーと一緒に豪華なディナーを楽しむ予定の方も多いと思うが…聖夜にそんな予定なんかない!という方の為にとっておきの情報を紹介しよう。
12月24日は、実は『学校給食記念日』だ。
ご存じだっただろうか?なぜクリスマスイブが給食の日なのか?ちょっとだけ歴史を紐解いてみよう。
日本で学校給食が始まったのは明治22年。その後、戦争の影響などにより中断されたものの児童の健康や栄養状態を鑑み、昭和22年1月から学校給食が再開。
同年12月24日、アメリカの救済団体からの給食用物資の贈呈式が行なわれ、以来この日が学校給食記念日(学校給食感謝の日)と定められたという。
ということで今回は、日本全国の変わり種給食メニューやイマドキの学校給食事情をクリスマスイブにたっぷりとお届けしようと思う。
日本全国トンデモ給食メニュー列伝!
学校給食には地元色が強いメニューも多く、ご当地の独特な郷土料理も登場する。ここでは、他県出身では考えられない珍しい給食メニューを紹介しよう。
【贅沢!一匹丸ごとベニズワイガニ給食】
海産物が特産の町、富山県射水市。同市の小学校では年に一度カニを丸ごと一匹食べられる全国でも珍しい給食が出される。
もはや給食の域を超えている。蟹の専門店のような豪快すぎるメニューを小学生は堪能している。
ちなみに提供されるカニは前日の午前中に水揚げされた大きさにバラつきのないもののみ。6年生の子ども達一人ひとりが味わえるという。大人顔負けの豪華ランチだ!
【貴重!地元で捕獲されたシカ肉カレー】
巷で流行のジビエも子供たちのお昼ご飯のメニューになっている。
京都府福知山市内の小中学校では市内で捕獲されたジビエ(シカ肉)を使ったカレーが提供され、福井県の清水西小学校でも「ジビエ給食の日」ということでジビエ入りカレーが給食に登場。
児童からは、「美味しい」「ちょっとかたい」等の感想があったとか。
【自慢!長野のキムタクごはん】
長野県塩尻市の木曽楢川小学校で提供されているのが、その名も「キムタクごはん」。
普通の炊き込みご飯のように見えるが、「キムタク」とは「キムチ」と「たくあん」のこと。細かく刻んだベーコン、はくさいキムチ、たくあんを炒めて薄口醤油で味を整え、温かいごはんに混ぜ込んだ逸品だ。
もともとは塩尻西部中学校の栄養士が考案した家庭料理。その後、各校に広まったという。
そんな中、徳島県立小松島西高等学校では驚愕のメニューが登場した。右側の一品、これが何かお分かりだろうか?これはコロッケなのだが、普通のコロッケじゃない。国産食用フタホシコオロギの粉末「グリラスパウダー」を使ったコロッケだ。
【衝撃!コオロギコロッケとは?】
コオロギの粉末を作ったのは、徳島大学発のベンチャー企業として食用コオロギに関連する商品開発などを行なう株式会社グリラス。
小松島西高校の食物科に所属する生徒たちがグリラスパウダーを使ったオリジナルメニュー「グリラスかぼちゃコロッケ」を考案。在校生約170名に対して、食べるか否かを選ぶことの出来る学校給食メニューとして提供された。
グリラス調べでは、食用コオロギが学校給食に使用されたのはこれが国内で初めてとのこと。日本初のコオロギ給食と言っても過言ではない。
一体どんな経緯でコオロギコロッケが給食メニューになったのか?今回、グリラス広報の川原さんに話を聞いた。
ーー食用コオロギが学校給食に使用されることになったきっかけは?
「2022年1月に小松島西高校から連絡があり、当初はサスティナブルな食品としてのコオロギに関する講義のお問い合わせでした」
「その後、弊社のコオロギパウダー(グリラスパウダー)を使用した調理実習を行うなど交流を重ねる中でパウダーを使った給食に挑戦することになったんです」
ーーメニューがかぼちゃコロッケになった理由は?
「これは食物科の生徒さんが考案しました。夏休みの宿題で「コオロギを使用したメニュー案」を募ったところ、肉の代替としてパウダーを使用できる料理としてコロッケが最多得票だったんです」
「それから、コロッケとパウダーに合う食材をいくつか試す中でカボチャが好相性となり、本メニューが生まれました」
ちなみに今回のメニュー、苦手意識を示す生徒はいたものの食べた生徒からは「思っていたよりも美味しい」「意外といける」などかなり好評だったという。
ーーそもそもグリラスパウダー自体はどんな味がするんですか?
「きなこやアーモンドパウダーのようなほろほろとした食感と、甲殻類に似た香ばしい風味やうま味が特徴です」
そんな、コオロギを粉末にしたグリラスパウダーのおすすめの食べ方を教えていただいた。皆さんも是非参考にしてほしい。
【コオロギのグラタン】
小麦粉とコオロギパウダーを2:1で混ぜた特製ホワイトソースで作ったコオロギグラタン。グリラスエキスはカキのような強いうま味と塩味が特徴なので、美味しい味付けも簡単!手軽に本格グラタンができちゃうのだ。
【コオロギポテチ】
ポテトチップスにかけるだけ(※しお味orバター系のフレーバーがよく合うとのこと)。
「小麦粉を使用するタイミングで混ぜる、料理にふりかける、この2つがコオロギパウダーの旨味を感じやすく調理も簡単なためオススメです!」(川原さん)
食品ロス問題解決を目指し立ち上がったベンチャー企業
グリラスが展開する食用コオロギ事業、その原点にあるのはコオロギ研究を長年続けてきた代表の想い、そしてタンパク質危機への挑戦だった。
「もともと、徳島大学でコオロギに関する基礎研究が30年以上に渡っておこなわれており、グリラス代表の渡邉も長らく研究に携わっていました」
「そんな折、2013年にFAO(国際連合食糧農業機関)からタンパク質危機と昆虫食に関するレポートが発表され、2016年から渡邉自身も食用コオロギに関する応用研究を始めたんです。そこから弊社は生まれました。『コオロギに目を付けたから起業』ではなく、『コオロギのプロフェッショナルが時代の動きに合わせて起業した』というのが正確な起業のきっかけと言えると思います」(川原さん)
ーー食用コオロギ、昆虫食のメリットは?
「コオロギの持つメリットとしては、第一に環境負荷の低さです。昆虫は既存畜産とは異なり変温動物のため、自身の体温維持にカロリーを消費する必要がない。そのため餌や水、温室効果ガスの排出などが圧倒的に少なくて済むんです」
「そのため昆虫食は世界人口の急激な増加を既存のタンパク質生産が支えられなくなる『タンパク質危機』を始めとした、食や気候変動に関連する社会課題への解決が期待されています」
さらに、コオロギとその他の食用昆虫を比較した際の「食味の良さ」「雑食性」の2点も大きな魅力だと川原さんは語る。
「コオロギは複雑な加工をしなくても美味しく食べることが出来る上、雑食性のため比較的多くの選択肢から餌を選ぶことができます。グリラスでは食品ロス由来100%で独自開発した配合飼料を用いることで、食品ロス問題解決への寄与も見込んでいます」
それだけじゃない。コオロギの魅力はあまりにも多すぎる。
【食用コオロギの知られざる魅力】
◆乾燥重量あたり70%以上のタンパク質が含まれていてビタミンやミネラルも豊富
◆殻にはキチンと呼ばれる食物繊維が含まれており腸内環境を整える効果が期待できる
◆グリラスのコオロギパウダーは加工時に精製をしていないためこれらの栄養素をまとめて摂ることのできる機能的な動物性タンパクである
◆コオロギパウダーはうま味成分のグルタミン酸、イノシン酸も豊富でトマトやキノコの含有量に匹敵する
食用コオロギが当たり前の食品にならなければならない
昆虫食というキーワードは確かにここ最近よく耳にするものの、未だ多くの人にとっては抵抗感があり、物珍しい食材として認知されているのではないだろうか。そのイメージを変えることで未来の食糧事情も大きく変わってくるはず。
「今後は食用コオロギが『当たり前の食品』として社会に受け入れられていく必要があります。そのためスーパーや馴染みの飲食店など、より身近な場所でコオロギが手に入る用な環境をつくっていきたいと思っています」
「そのためには生産や販売先の拡大と共に、食材としてのコオロギの魅力が浸透していくことが必要不可欠。さらに海外では当たり前の食材であるコオロギをパウダーなどの加工品だけではなく、粉末化をしない乾燥状態の商品なども受け入れられるよう『美味しさ』のアピールを進めていきたいと思っております」(川原さん)
学校給食は進化する、世のため人のため
生活が苦しい家庭の子供に無償で昼食を用意したことが起源と言われる学校給食も、時代の変化に伴い、形を変えながら進化を遂げてきた。
今、注目されているのがスマホを使って栄養士監修のお弁当を毎日に3〜4種類から選択し、注文できるサービス「PECOFREE(ペコフリー)」だ。
前日までに専用アプリから注文すれば、提携する給食業者が学校まで弁当を届けてくれるシステムで、アクティブな学校生活をサポートしてくれる。
全国の高校や幼稚園、専門学校、さらには法人向けの社食など幅広く展開。親御さんの負担減、弁当業界の食品ロス削減にもつながるサービスとして今話題になっている。
学校給食は常に進化し続けている。時代が抱える問題を解決するため、また子供たちの食育のため。今日は学校給食記念日。今夜は少しだけ懐かしの学校給食に思いを馳せてみよう。クリスマスイブだけど。
取材協力
株式会社グリラス
https://gryllus.jp
文/太田ポーシャ