超高額商品を売りまくる敏腕セールスは、一体どのように考え、どのように行動しているのだろうか?
彼らの仕事の極意を学びつつ、浮世離れしたゴージャスな内容で現実逃避できる番組をNetflixで発見した。
2022年11月4日よりNetflixで独占配信中の『不動産王 in ビバリーヒルズ』は、アメリカで製作された職業系リアリティ番組。
<あらすじ>
アメリカの高級住宅街ビバリーヒルズに本社を置く家族経営の不動産会社“ジ・エージェンシー”で働く人々に密着取材を行う。
世界中に約40ものオフィスを構える同社の社長マウリシオ・ウマンスキーさんには4人の娘がおり、そのうちファラさんとアレクシアさんが同社に入社した。
姉のファラさんは、高額物件を次々売りさばく敏腕エージェントとして着実に実績を積み上げている。
その後に妹のアレクシアさんがジュニア・エージェントとして同社に入社するが、早速顧客やベテランのシニア・エージェントから厳しい評価を受ける。
<見どころ>
一般的に、売る商品の金額が高くなればなるほど、営業職の力量が試されると言われている。
厳しいことで有名な不動産営業、しかもビバリーヒルズの超高級物件の営業ということで、日本で営業職に従事している人にとっても非常に勉強になる番組だ。
家族経営の会社にありがちな縁故採用と”親の七光り”にも焦点を当てているため、さらに面白さが増している。
生き馬の目を抜くような世界で、ずっと実力勝負で戦ってきた他のエージェントらから見ると、”社長の娘”であるアレクシアさんはやはり甘い部分が抜けきらないように見えるようだ。
「仕事と遊びが一緒になっているの」と楽しそうにはしゃぐアレクシアさんだが、一方で創業者である父親のマウリシオさんの表情は、笑顔を浮かべていてもどこか厳しさが滲み出ている。
今でこそ成功者として豪華絢爛な暮らしを送るマウリシオさんだが、実はかなりの苦労人。
愛娘であるファラさんやアレクシアさんらのことを社会人としてしっかり育てたいというだけでなく、マウリシオさんにとって同じく“大切な子ども”のような存在であるジ・エージェンシーを守り存続させたい気持ちも強い。
そのため、後継者についても娘以外の社員にすべきか真剣に悩む場面がある。
「売り家と唐様で書く三代目」(本作は二代目だが)という日本のことわざがあるが、後継ぎ対策に苦心しているように見えるマウリシオさんの経営判断にも注目。
苦労して一代で財を築いた人と、二代目以降の人の表情や振る舞いの違いも、本作の見どころと言っていいだろう。
とくに叩き上げ系シニア・エージェントのベンさんと、お坊ちゃん系ジュニア・エージェントのジョーイさん(元々アレクシアさんの男友達だった)の火花散る闘いの結末は楽しみだ。
ちなみに、パーティー三昧の華やかな社風で、闘争心の強い肉食系社員が多いからなのか、社内恋愛もかなり盛んであるようだ。
途中からは恋愛ドラマと見間違えるような場面も増えてきて、もはやリアリティ番組なのかフィクションなのか分からなくなってくる。
ということで、海外ドラマ好きにもぜひお勧めしたい作品だ。
楽しく刺激的でドラマ要素が満載の本作なので、年末年始休暇中の現実逃避にいかがだろうか。
Netflixシリーズ『不動産王 in ビバリーヒルズ』
独占配信中
文/吉野潤子