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女性に新たな選択肢を提供したユニクロのヒット商品「エアリズム吸水サニタリーショーツ」開発秘話

2022.12.23

【2022 第35回小学館DIMEトレンド大賞 日用品部門 部門賞受賞】ユニクロ『エアリズム吸水サニタリーショーツ』のヒットの理由

2021年の流行語となったフェムテック。女性特有の体調にフォーカスし、最新テクノロジーを活用して開発された製品群を示す言葉だ。

特に注目を集めているのが「吸水サニタリーショーツ」だ。女性向けの下着には、一般的なショーツとは別にもうひとつ「サニタリーショーツ」という、生理の際に着用することを目的としたジャンルがある。

一般的なショーツよりも股ぐり部が厚手であったり、防水生地との二重構造になるなど、衣類への漏れを軽減する工夫が施されていたり、あるいは生理用ナプキンとフィットする幅やナプキンの羽を入れ込むスリットが作られているものが一般的だが、吸水サニタリーショーツはショーツ自体に優れた吸水性を持たせていることが特徴だ。

2021年3月にGU、同6月にPEACH JOHN、2022年3月にはイオンのトップバリュなど各社が続々と吸水サニタリーショーツを発売し、2022年は新たな市場を形成するに至っている。

各社がしのぎを削る中、ユニクロの『エアリズム吸水サニタリーショーツ』は、消費者に最も身近なフェムテックとして、この新潮流に衆目を集めるきっかけとなった商品といっても過言ではない。

■開発期間は長め、さらに発売日を後ろに倒してまで徹底して改良

ユニクロが『エアリズム吸水サニタリーショーツ』の販売を開始したのは2021年9月のこと。各社の発売日を見比べてみると後発商品のように感じるが、実はさらなる改良を加えるために発表を延期した経緯があった。

それは、同社としても過去に例がない製品であり、ユーザーの手に渡った際に「失敗した」という思いを抱かせることがあってはならないという、メーカーとしての責任感にほかならない。

『エアリズム吸水サニタリーショーツ』開発の経緯について、グローバル商品本部ウィメンズMD部長・炬口佳乃子氏に話を聞いた。 

ユニクログローバル商品本部ウィメンズMD部長 炬口佳乃子氏

「『エアリズム吸水サニタリーショーツ』の開発のきっかけは、3年ほど前。当時は欧米市場で徐々に吸水サニタリーショーツが増えていた時期で、欧米の社員から実際に使っているという声が届いていました」

吸水ショーツはこれから先のライフウエアになる可能性があるのではないかと考え、リサーチを開始。ここからおよそ1年半から2年かけて開発を行なったが、これはユニクロの中でも比較的長い時間をかけて開発した製品だという。

「当時発売されていた他社製品は、吸水性はしっかりしていましたが、吸水部分が分厚く、履いてみるとごわつきが気になったり、隙間から漏れてしまったりなど、改善できる余地はまだまだあると感じていました。ユニクロでやるからには、ユニクロでしかできないメリット、ベネフィットをどう提供できるかについては何度も社内で議論を重ねたのを覚えています」

目指したのは、できるだけ薄く、フラットで普段着に響きにくい吸水サニタリーショーツ。さらに吸水性をしっかりと担保するべく、30~40㎖の吸水量を目指した。

■ガールズ用、吸水量の少ないものなど型数も増え、さらなる改良も継続中

吸水サニタリーショーツにおいて、漏れることは致命的な問題だ。試作を重ねるなかで、その大きな原因となるのは、縫い目の隙間があることだということが明らかになった。

そこから布を合わせる工程を、糸で縫うのではなく、ボンディング加工で圧着することを選択。生地には肌触りがよく蒸れにくい点で高い評価を獲得している、エアリズムを採用した。

発売後は顧客の反応を直に見聞きするために、開発に携わったスタッフも店頭に立ったという。「こんなに薄いのに(吸水機能があって)普段履きできるのはうれしい」というたくさんの声を耳にできたことは、これまでの努力が報われた瞬間だった。

その後2021年11月にはガールズ向け、翌2022年春夏のMame Kurogouchiとのコラボコレクションでは吸水量10~15㎖のデイリー使いできるライトなタイプを発売。

『エアリズム吸水サニタリーショーツ』は発売から1年を経過しても高い支持を得ており、2023年1月には追加デザインの製品の発売を予定している。

「時代の潮目を強く感じたのか、2021年はこれまで以上に吸水サニタリーショーツを提案するメーカーが増えたように思います。ですが、その多くが5000~6000円という気軽に手を伸ばしにくい価格でした。この市場に私たちが参入したことで、〝ユニクロ価格であれば吸水サニタリーショーツを試してみようかな〟というきっかけを創出する一助になったのかなという実感はあります」

ユニクロのECサイトの『エアリズム吸水サニタリーショーツ』商品ページにあるコメント欄を眺める中で、筆者が非常に興味深かいとの感じたのは、女性のレビューに混じるように、尿失禁に悩む男性客からの喜びの声が散見されたことだ。

フェムテックであるが、性別や年齢を問わず、多くの層に広がる可能性を持った製品であると強く感じた。

■顧客の声をダイレクトに感じられる「VOICE OF CUSTOMER」から未来を見つけだす

ユニクロでは購入者からのリアクションに応じて、継続して改良を行なっている。特に吸水サニタリーショーツの良し悪しは個人差によるものが大きい。そのため「これでいい」と宣言することが難しい製品だともいう。

「100名程のモニターからの意見を吸い上げながらテストを繰り返して発売に至りましたが、それでももっと履き心地がよく、もっと全員が手に取ってもらえるものにするためには、継続的に改良する必要があると感じています」と炬口さんは話す。

「単純に売っておしまいではなく、販売後にお客様の期待に応えられていることが大事。開発に関わったメンバーは、発売から1か月くらいは毎日、ECサイトにあるお客様のレビュー欄をチェックしていました。ここまでお客様からの反応が気になった商品はありませんでした」。

多くの消費者の生活に役立つことが、ユニクロにとって意味のある製品だと炬口さんは続ける。

「女性に限らず、生活していく上で必要だと思えるもの、新しいニーズが見えてきたものへ積極的に取り組んでいきたいですね。お客様の声はその判断基準になりますし、製品に対する評価をいただけるからこそ、私たちは次の開発や改良・改善など、的を射る仕事を未来へつなげるとこができるのです」

取材・文/北本祐子

DIMEトレンド大賞発表!2022年のヒット商品、話題の人物をまるごとYouTubeで配信中!!

その年を象徴するヒット商品や話題を集めたサービス、人物や団体、これからブレークが予想されるモノ、コト、ヒトなどを表彰する「2022 第35回 小学館DIMEトレンド大賞」の発表番組動画が配信スタート!

今回のMCは、高橋茂雄さん(サバンナ)&久代萌美さん(フリーアナウンサー)の2名。最終選考委員4名(小山薫堂氏、宇賀なつみ氏、ヒャダイン氏、安田典人DIME編集室長)のほか、ニューヨークさん、壱百満天原サロメさん、BE:FIRSTさんなど豪華ゲストも登場。まさかの大物芸人・松本人志さん(?)までも登場し収録現場は大盛り上がり!期間限定の配信なのでお見逃しなく!

【「2022 第35回 小学館DIMEトレンド大賞」発表番組動画】

https://youtu.be/pjc0xPYn5Bk

代官山の蔦屋書店にて「2022 第35回 小学館DIMEトレンド大賞」特別展示がスタート!

「2022 第35回 小学館DIMEトレンド大賞」の発表を記念し、代官山蔦屋書店1号館2F展示スペースにて特別展示を開催。2022年12月16日から2023 年 1 月15日までの期間限定なので、こちらもお見逃しなく!

<開催概要>
「2022 第35回小学館DIMEトレンド大賞」特別展示
開催期間:2022年12月16日から2023 年 1 月 15日まで
会場:代官山蔦屋書店1号館2F展示スペース
https://store.tsite.jp/daikanyama/

メタバース空間でも「2022 第35回 小学館DIMEトレンド大賞」開催中!

小学館のメタバース空間「S-PACE(スペース)」(https://s-pace.land/)でも各賞に関する説明やダイジェスト映像を見ることができます。こちらもぜひチェックを!

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