約300回使える首用カイロ
いよいよ本格的な冬が到来。寒がりの筆者は、冬が来るたびに使い捨てカイロを愛用している。しかしこれ、手軽で安いといっても、毎日使えばそれなりの金額になるし、発生するごみもバカにならない。
■溶液の凝固熱を利用して発熱
そこで今冬は、「脱使い捨てカイロ」を旗印に、充電式カイロなどいろいろ試している。その中で目にとまったのが、「ウォーマーネックリング マフラー付き」。雑貨企画・製造を主業とする(株)スパイスの新製品となる。
外観は、今はやりの電熱式ネックウォーマー(マフラー)に似ているが、電気を全く使わないで発熱するという。
しかも、使い捨てカイロと違い約300回も使えるとか。「繰り返し使える首用エコカイロ」というのが本製品のふれこみだ。
発熱の秘密は中身にある。カバーを外すと、透明の液体に満たされた本体が現れる。
この液体の正体は、酢酸ナトリウム水溶液。これは、何らかの「刺激」を加えると結晶化が始まる性質があり、その際に凝固熱が生じる。本製品は、その熱を利用したものなのだ。
「刺激」を与えるトリガーとなるのは、溶液内に漂う金属片。これを指で押さえ、「パチッ」と音がするまで押す。
すると、溶液が白く結晶化しながら発熱する。 10秒程度で約50度になるので、使い捨てカイロよりも、温まりが非常に早いという利点がある。
実際にやってみると、無色透明であった溶液が、金属片を起点にみるみる白くなり、同時に熱が発生。
これを再度カバーに入れ、首に巻いて外出した。外は、氷点下に近い気温であったが、丁度良い温かさは保たれ、1時間近く持続した。
■煮沸することで繰り返しの使用が可能に
凝固熱の発生が止まると、また使えるようになるための作業がある。やり方は、カバーから本体を取り出し、お湯の入った鍋に入れて5分間煮沸(電子レンジは絶対NG)。
するとまた透明な液体にもどる。煮沸が終わった時点で、湯たんぽと同じ原理で温かいので、しばらくの間はカイロとして使える。冷めたらまた金属片を押して、発熱させて使う。
5分間の煮沸で溶液は透明に戻って再利用できる
耐用回数は約300回なので、永久的に使えるわけではない。が、首かけ用の使い捨てカイロ300個分のコストとゴミの量を考えると、1628円の本製品は、コスパの点では及第点と言えそうだ。
ただ、1回に1時間ぐらいしかもたないことと、お湯で煮沸する手間はマイナス要因となる(ちなみに水1リットルを沸かす電気・ガス代は2円足らず)。購入を検討される際は、そのあたりを天秤にかける必要はあるだろう。
関連情報:https://www.spicestore.jp/shopbrand/ct908
文/鈴木拓也(フリーライター)