最近人気が再燃している古着。上質な生地感や独特の風合いなど今の新品の服では出せない味わいがあるものの、物によっては破れや色落ちが目立ってしまうため、着るのに躊躇してしまう場合も。この記事では、レザーの基礎知識と、クリーニングやメンテナンス法について紹介する。
まずは基本をおさえよう!洋服の定番レザーの種類
まずは、古着屋でよく遭遇する、レザーの種類を紹介!
牛革
革製品の中でも最も流通量が多くよく利用されているのが牛革。丈夫で、表面加工のバリエーションが豊富、仕上がりも美しいのが魅力だ。染色や加工がしやすいため、財布や鞄、靴、ジャケットなど様々なアイテムの素材として使われる。牛の成長過程や雌雄、部位によって名称や風合いが異なり、物によって価格に幅があるのも特徴。例えば、牛革の中でも高級とされているカーフは生後6ヶ月未満の子牛の革のこと。薄手でキメが細かくなめらかで、肌触りもよいのが魅力だ。
キップスキンは、生後6ヶ月〜2年以内の仔牛と成牛の中間にあたり、なめらかさと耐久性を持ちながら、比較的供給量も安定しているため、ハイブランドのバッグや財布などにも使用されている。生後2年以上の出産を経験した成牛の牝の革はカウハイド。厚みがあり、丈夫で比較的大きな面の革が取れるため、大きな鞄やジャケットなどにもよく使用される。
水牛革(バッファローレザー)
レザーの中でもバツグンの強度を誇る水牛革。厚みと肩の部分に大きなしわがあり、表面のザラザラとした質感と独特の風合いが魅力。
豚革(ピッグスキン)
豚革の特徴は、革の表面に3穴1組の毛穴があること!薄手な割に頑丈で通気性がよいため、鞄や靴のライニングなどに使われることも多い。また、原皮から純国産で生産可能な革という特徴もある(他の革は、原皮を輸入で賄っているため)。
羊革(シープスキン)
キメが細かく柔らかく、しっとりと肌に吸いつくような手触りが魅力。毛を生かしてなめしたムートンも人気で、子羊の革はラムスキンと呼ばれる高級レザーの代表格。
ヤギ革(ゴートスキン・キッドスキン)
キメが細かくしなやかな質感と強度もあるのがヤギ革。使うほど身体に馴染み、型崩れもしないため、ジャケットやアウターの経年変化も存分に楽しめる。成長したヤギの革は「ゴートスキン」、子どものヤギ革は「キッドスキン」と呼び、とくに柔軟で美しいキッドスキンは、手袋や靴の素材にも使用される。
馬革(ホースハイド、ホースフロント)
繊維密度が高くツヤ感としなやかさを兼ね備え、使い込むほど味が出るため人気が高い。ただ、水に弱く、雨に濡れると色落ちや水ぶくれの原因になるので要注意!一般的に馬革と呼ばれるホースハイドとホースレザーの他に、コードバン、ポニーレザー、ホースフロントなど、部位や大きさ、加工方法によって分類が分かれる。特にコードバンは、強度・耐久性に優れた最高級の革として人気で「キングオブレザー」などとも称される。
レザーのクリーニングってどんなことをやるの?
特に冬の時期はレザー製品の需要が高まる季節。ここからは、革ジャンの製造・販売の老舗であるカドヤのリフレザー事業部に、クリーニングと日々のメンテナンス法について教えてもらった!
「リフレザーで行うレザークリーニングは大きく分けて、水洗いとドライクリーニングの2つの方法があります。
例えば、カビが発生したり、水溶性の汚れがある場合は専用溶剤を溶かし込んだ水洗いクリーニング。油性汚れの除去が希望の場合や、ヴィンテージ品など劣化気味の革ジャンにはドライクリーニングが最適です。ドライは、水分が入り込むことによる革伸びのリスクが低いため、ムートンなどデリケートな革にもおすすめですね。」
https://refleather.jp/cleaning/jacket/
「大まかな手順は、例えばレザージャケットであれば、まずエアブラシを使って糸くずや埃を除去。カビや泥汚れ等も、洗いに入る前に除去します。その後、水洗いなら洗浄剤を水に溶かした溶液でブラシやスポンジ等を使い分けながら細かい所まで洗い、洗浄後に専用コンディショナーで革を保湿。
ドライの場合は、大まかな汚れをエアブラシで落とした後、ドライ機械へ投入し、洗いと栄養補給を行なってから、乾燥させます。完全に乾燥させた後は、アイロンプレスによる洗いジワの除去を行い、洗い上がりの検品、仕上げのオイル塗布を行います。
「ただ、革の劣化が激しい革は、溶剤に浸しての水洗いに耐えられないケースもあり、その場合は泡立てた洗剤の泡や、専用ローションを使って汚れを落とします。」
古着のレザージャケットやアウターを購入した場合の基本のメンテナンス方法は?
最後に、レザーアウターを購入した場合の保管方法やメンテナンスについても聞いた。
「まず、レザージャケットを、平置きや他の衣類と重ねて保管する、などは避けてください。また、ハンガーにかける際も、通気性が悪くなるとカビの原因になりやすいので、ビニールカバーなどで覆うことは厳禁!通気性のある不織布カバーで埃を防いだうえで、常に空気が循環する室内などでの陰干しが理想です。
基本の手入れは、使用毎に乾いたキレイなタオルか専用ブラシを使って、全体の埃や汚れを落とすことがベスト。気になる汚れがある場合は、硬く絞った濡れタオル等で叩き拭きを試みます。それでも落ちない汚れには革専用クリーナーを使いましょう。艶がなくなったり、乾燥で硬さを感じたりする場合は、オイルやクリームを使って、革に潤いを与えます。ただし、過度な塗り過ぎには要注意です。臭いが気になる場合は、無香料の消臭スプレーを裏地側で使うことがおすすめです。
※メンテナンス剤などを使用する際には、必ず目立たない箇所でテストを行い、染みや変色等が生じないことを確認してから使用してください。
㈱カドヤ リフレザー事業部[住]東京都台東区浅草6-41-7 1F [電]0338712055 [営]AM9:00~PM5:30 [休]第一・第三土曜日、毎週日曜日、祝日 [HP]https://refleather.jp/
文/あさみ