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忙しい病から抜け出したい人必読!スキマ時間を戦略的小休止にあてる〝ホワイトスペース〟メソッド

2022.12.15

スケジュール帳をタスクで埋めずに、仕事と人生の質を高めるシンプルな方法

常に忙しくしてないと不安になり、少しでもスキマ時間が生まれたら、タスクを押しこまずにはいられない―この気質は、日本のビジネスパーソン特有のものかと思っていたら、どうやら世界的な現象らしい。

経済学者のジュリエット・B・ショア教授は、現代人の多忙な働き方を、「見せかけだけの忙しさ」と呼び、ほかならぬ自身がその働き方を選んでいるのだと看破した。

卓見すぎて、反論のしようもない。

■世界企業を「忙しい病」から救ったメソッド

こんな働き方の何が問題かと言えば、いろいろと手を動かしている割には、さして生産性が上がらないことである。特に、考える時間が必要な知識労働者にとって、この問題は深刻だ。

しかし、解決に向かうトンネルは、暗く長いものではない。ちょっとの工夫で劇的な改善が見込める―それが「ホワイトスペース」だ。

ホワイトスペースとは「予定が入っていない時間」のこと。「カレンダーの白い未記入の空間を見て思いついた」と語るのは、ジュリエット・ファント氏。

ビジネス研修のコンサル会社の創業者でCEOのファント氏は、グーグルやP&Gなど、そうそうたる一流企業の「忙しい病」にとりつかれた人たちを、ホワイトスペースによって救い出してきた。

この概念は、著書『WHITE SPACE: 仕事も人生もうまくいく空白時間術』(東洋経済新報社)で、細かく記されている。

現代人には、魔法の宝箱のように思えるホワイトスペースとは何か?今回はそのさわりの部分を紹介しよう。

■スキマ時間は戦略的小休止にあてる

前述のとおり、ホワイトスペースは、カレンダーの空白部分から連想されたもの。

いつもなら、なにかしら予定やタスクを入れてしまう空白のスペース……だが、そこはちょっと我慢して、代わりに入れるのが「戦略的小休止」だ。

戦略的小休止の間は、なにも無為に過ごせというわけではない。

考える、計画する、戦略を練る、想像する、感じる、内省するなど、われわれが20世紀のどこかで落としてきた価値ある行為をする(もちろん単に休息しても構わない)。簡単に図解すると、以下のようなイメージだ。

戦略的小休止の基本的な概念(画像提供:東洋経済新報社)

戦略的小休止にかける時間は問わない。それこそ数秒でも1時間でも、何かのきっかけで、たまたま空いた時間を、戦略的小休止にあてると決めてしまえばいい。

ファント氏は、励みになるような科学的な実験をいくつか紹介している。その一つが、イリノイ大学とジョージ・メイソン大学の研究者による、約100人の会社員の休憩の取り方を調べたものだ。

研究の参加者は平日の10日間、日記をつけ、ランチ休憩後に仕事のプレッシャーをどのくらい感じたか、休憩中に何をしたか、1日の終わりにどの程度疲れていたかを記録した。

その後、研究者が各人の休憩時の活動を「リラックス」(ぼんやりする、ストレッチをする)、「栄養摂取」(間食をとる)、「社交」(同僚と雑談する)、「認知活動」(読書、メールチェック、SNS)に振り分けた。

すると実際に効果があったのは、「リラックス」と「社交」だけであることが判明した。

仕事の休憩中に認知に関わる活動をすると、休憩で取り戻そうとしている脳の処理能力の多くに負担をかけるので、疲れはむしろ増してしまう。

神経科学から創造性の認知的処理に至るまで幅広い分野のさまざまな研究が、小休止は仕事の質を高める、と証明している。(本書より)

「自分は休憩なんかいらないし、プレッシャーがあった方が仕事がはかどるんだよ」という人もいるかもしれない。

しかし、ヘビーなプレッシャーは生産性の向上には寄与しない。時間的プレッシャーは低~中程度くらいで、「脳に内省のためのスペースがある方が成果はあがる」のが真実だ。

■「ただぼんやりしている」ことの大きな効用

戦略的小休止の解像度を、もう少し上げてみよう。ファント氏は、戦略的小休止は目的に応じて、4つに分類できるという。

目的とは、「回復」「削減」「内省」「構築」を指す。なかでも、疲れた脳と体を休ませる「回復のための戦略的小休止」は、一番わかりやすく、ニーズ大きいものだろう。

一方、「削減のための戦略的小休止」は「自分にかかっている負荷を物理的に減らすことが目的」となり、「内省のための戦略的小休止」は仕事に関して「一歩引いて考える時間」を与えてくれるものだ。

そして最後の「構築のための戦略的小休止」とは、「企画をひらめく、製品を発明する」といった熟考の時間だ。

「構築のための戦略的小休止」については、もう少し説明が必要だろう。

ファント氏は、ジョン・クリーズ氏(モンティ・パイソンの結成メンバー)の唱える、仕事における「オープンモード」と「クローズモード」の概念を引き合いに出している。

前者は「創造、フロー、混沌」、後者は「実践、実行」のことで、オープンモードは「構築のための戦略的小休止」と重なる。クリーズ氏は、オープンモードには「90分間入る」べきだとアドバイスしている。

クリーズが言うには、「オープンモード」に入るには「空間の境界と時間の境界」を設けて、一定のあいだ他人や義務から自分自身を遠ざける必要がある。

といっても、別に難しいことはしなくていい。クリーズのおすすめは、「ごほうびが得られるまでただぼんやりしている」こと。

「あくまでも機嫌良く、しかししつこく頭を休ませ続けていると、いずれ潜在意識からごほうびをもらえます。あとでシャワーを浴びているときかもしれないし、朝食をとっているときかもしれませんが、新たなアイデアが突然ひらめくのです。最初に十分考えてさえいれば」(本書より)

ファント氏は、グーグルや3Mという、組織レベルでこの「考えにふける」時間を導入し、成果を上げている企業を挙げている。仕事でブレークスルーを遂げたければ、「ただぼんやりしている」時間は必要不可欠と言えそうだ。

■超短時間のウェッジを活用する

本書では、戦略的小休止に多くの時間をとれない人向けの処方箋も記されている。いわば、ビギナー向けのホワイトスペースで、「ウェッジ」と呼ばれている。

ウェッジとは、「くさび」の意味。「活動と活動のあいだに差し込む少量のホワイトスペース」を意味する。

例えば、ミーティングが終わって、次のミーティングが始まるまで合間のように、何かの区切りを迎える前にもうけるごく短時間のホワイトスペースだ。

極端な話、コーヒーが抽出されるのを待つ時間も、ウエッジとして活用できる。これなら、どんな忙しい人でも、1日に何回かはこのチャンスを得られる。

さらに、タスクの切れ目だけでなく、何かが起きて感情がさざ波立つタイミングでもウエッジは役立つ。例えば、上司から一生懸命作った企画書にダメ出しを出された時。

上司に反論したくなる前に一呼吸おいて、ここでウェッジ。これまでとはまったく違う対応ができ、上司との関係は以前よりも良好になるはずだ。

一歩進んで、本格的に戦略的小休止をとろうと決めたときに、ファント氏は、「補助輪付きエクササイズ」をすすめている。

例えば、「1人で食事をする時、テレビやスマホを見ずに食べる」「皿洗いなどの手作業をしながら空想にふける」といったもの。仕事が立て込んでいても、食事や家事も一切できないという状況はないはずだから、まずはここから始めてみると成功しやすいだろう。

以上、ホワイトスペースの基本的なところをざっと解説してみたが、本書の内容はこれにとどまらない。

時間泥棒やメール中毒の克服法から、ホワイトスペース流の最強チームの作り方まで、仕事のあり方を一変させてしまうメソッドが、多数盛り込まれている。仕事から人生を取り戻したいのなら、取り入れる価値は大いにあるはずだ。

文/鈴木拓也(フリーライター)

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